【あの一言】
対日姿勢を強める中国
東京大学大学院教授・高原明生 中国側の主要な論調は日本が右傾化し軍事大国になろうとしていて、中国にとって安全保障上の脅威になっているというものだ。なぜ中国は日本脅威論を国の内外で唱えているのか。第1に中国の国内政治上の理由がある。成長が速すぎることもあって多くの社会的矛盾が国内で生じている(所得格差の拡大、汚職腐敗の蔓延、縁故主義の広がりなど)。莫大な利益を得ている国有企業の寡占体制を解体する、所得格差を是正するための分配制度を改革するなど、難しい部分にはほとんど手が付けられていないし、既得権益層の政治力を崩すような政治改革にも今の指導部は興味がないように見える。習近平国家主席が強調しているのは中華民族の偉大な復興を実現するという中国の夢だ。ナショナリズムを鼓吹する上で領土の問題に日清戦争や日中戦争という歴史を絡め、日本を闘争の対象とすることは有効な手段だと考えられている。
2014/04/09 NHK総合・東京[視点・論点]
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