【あの一言】
制裁決議「交渉難航」国際社会はどうする
拓殖大学大学院特任教授・武貞秀士 中朝貿易は北朝鮮の貿易の90%を占めている。北朝鮮の資源(鉄鉱石、マグネサイト、ニッケル、無煙炭)は中国の工場にとって必要。北朝鮮にとっても中国に北朝鮮の港を使ってもらえれば外貨が入るという相互依存関係だが、地政学的な理由や貿易関係、経済関係、同盟条約が存在することもあり、中国は以前よりもはるかに北朝鮮を守るという政策に出てきた。
2016/02/14 NHK総合[日曜討論]
拓殖大学大学院特任教授・武貞秀士 北朝鮮と中国の国境近くにあるのがトンチャンリ発射場でわずか70kmと中国の防空識別圏に接しているところにある。中国の空軍に暖かく守られたトンチャンリ発射場からワシントンに向けて撃つことが出来るミサイルを作っていて、これは中国と北朝鮮の合作と言ってもいいミサイル。また経済的にも中国は随分投資している。道路、橋など色々なお金を今まで使ってきている。これは中国政府が承認して政府がやっていること。
2016/02/14 NHK総合[日曜討論]
東京福祉大学・国際交流センター長・遠藤誉 習近平政権は北朝鮮のやり方に対してはらわたが煮えくり返るほど怒っている。一方で北朝鮮は米軍から中国を守る防波堤でもある。そのためあまりに北朝鮮を追い詰めると防波堤が崩れ、自分の陸続きの隣に米軍が来てしまうのでそれを避けたいという強い気持ちが働いている。中朝間には友好条約、言わば軍事条約があり、万一戦争になれば米国と戦わねばならない。それだけはどんな事があっても中国は避けたい。
2016/02/14 NHK総合[日曜討論]
前駐米大使・藤崎一郎 米国も中国との戦争は避けたいと思っている。昨日発表された米国国防省の報告を見ても、米国の国家安全保障に北朝鮮のミサイルの影響があると明確に言っている。昔はミサイル技術の移転とかに関心があったが、今は自国の国家安全保障に関係があり、日本とかなり一体化が進んできている。その意味でもかつてより真剣度が増している。
2016/02/14 NHK総合[日曜討論]
早稲田大学教授・リージョンウォン 国際政治的に見ると、大きい構造では中国から見ると米国がこの間アジア重視戦略という事で、中国の台頭に対抗するような体制づくりで、包囲網のようなものを作りつつある。そういう流れで特にこの1、2年は習近平政権になって北朝鮮にとっては厳しいと思われたが、北朝鮮との関係を重視するような流れが出てきており、それがどこかで影響している。更にアジア重視戦略の一環として、韓国にTHAADという新しいミサイル防衛導入の公式協議を始めた。それに中国もロシアも非常に反発し、新冷戦的な状況になり、中国が尚更消極的になるという不幸な構造になっている。
2016/02/14 NHK総合[日曜討論]
拓殖大学大学院特任教授・武貞秀士 一説によれば北朝鮮の大量破壊兵器、発射台も含めて中国の発射台と良く似ているという話もある。中国にとって米国と南沙諸島、人工島、尖閣諸島と決してうまくいっていない。その時に米国が指導する制裁に中国が賛成と言うはずがない。1月6日の核実験後、中国は一貫して北朝鮮を守る、厳しい制裁には反対する、足を引っ張る日米韓の3カ国の協力に対して反対し続け、高高度ミサイルには勿論反対と一貫している。中国の国家戦略の本音が見えてきたと見なければならない。
2016/02/14 NHK総合[日曜討論]
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