【あの一言】
南シナ海・仲裁裁判・中国とどう向き合う
田外語大学教授・興梠一郎 レッドライン、スカボロ礁でどう中国が出てくるか。これを進めれば中国にとって致命的なことになってしまうので中国が正常に判断するならば控えるだろう。ただパトロールの常態化とかは始めるのかもしれない。習近平は法の支配を宣言したわけで、日本としては法の支配を全面的に出していくことが大事。
2016/07/24 NHK総合[日曜討論]
神田外語大学教授・興梠一郎 経済が中国共産党の正当性を裏付けている。経済成長を続けてきたから一党独裁体制を国民が受け入れてきた。そうした経済という土台が揺らいだというのは非常に大きな変化で、習政権の最大のアキレス腱。改革もなかなか難しいという状況がある中でもうひとつの手段である強力なナショナリズムが「中華民族の偉大なる復興」という時代錯誤的なスローガンを出してきた。これは国民を団結させるためには機能するという判断からきていて、一種のポピュリズム。それが国内の非常に苦しい台所事情を解決するために外交的に反応するという非常に危険なことで国民を煽っている。ブレーキとアクセルを自分で操作している。
2016/07/24 NHK総合[日曜討論]
上智大学国際機関関係研究所代表・前駐米大使・藤崎一郎 日本の目から見ると日本はこの100年で2回大きな過ちをした。1番目は明治維新の後、軍事中心になってしまった。2番目は環境軽視になってしまった。この2つの轍を中国には踏まないでほしいと思っている。
2016/07/24 NHK総合[日曜討論]
神田外語大学教授・興梠一郎 おそらく米国向けの交渉と中国国内向けのスタンスを変えると思う。米国はスカボロー礁がレッドラインだと言っている。スカボロー礁はフィリピンが目の前であり米軍にとっても非常な脅威になるし、レッドラインを超えると米国ももう示しがつかなくなる。他の周辺諸国にも非常に大きな影響を与えるのでそこは言っていると思うので、中国はそこで基地を作るとかは一旦やめないといけなくなる可能性がある。ただし国内向けには絶対に守るんだ、戦うんだという姿勢を見せていて分裂しており、米国と対立にならない範囲内で国内向けのデモンストレーションを行う。
2016/07/24 NHK総合[日曜討論]
慶應義塾大学准教授・神保謙 米国海軍と中国海軍のトップ同士の会談で、呉勝利司令官は仲裁裁判の結果に関らず今後も人工島の埋め立ては継続し完成させるとの強い決意を示していて、そこに様々な軍事施設を含む機材を入れていくということになる。ひとつの焦点はこれがどこまで拡大するかで、特にフィリピンのルソン島から西200キロぐらいにスカボロー礁があるがそこの埋め立て軍事化が始まるとフィリピンにおける米軍基地を含む様々なレーダー施設や対艦ミサイル、戦闘機が行動半径に含まれるということでこれまでの埋め立てとは違った意味を持つ。これを米国がどう判断するかということはかなり緊張含みの展開になる。
2016/07/24 NHK総合[日曜討論]
神田外語大学教授・興梠一郎 中国側が裁判に出てこなかったことが非常に問題。中国にとってはむしろ九段線というのは曖昧にしておきたかった部分があったが、フィリピンを追い込んだために訴訟に持ち込まれ、国際社会においてそれが存在しないと証明されてしまった。その意味では外交的に大きな失敗だった。
2016/07/24 NHK総合[日曜討論]
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