【あの一言】
エルサレム“首都認定”の波紋
高橋祐介解説委員 ティラーソン国務長官の影が薄いこともあり、米国の中東政策ではペンスがキーマンとなりそうだ。エルサレム帰属を巡り、過去に何度も大きな衝突が起きてきた。トランプの発表を受け、パレスチナの政治勢力が一斉に抗議行動を呼びかけており、イスラム世界全体に広がる可能性もある。ISなどのイスラム過激派組織がテロを行う恰好の口実となる。米国の緊密な同盟国・日本もリスクを抱えることになる。エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとって聖地。過去の悲劇から教訓を学び、細心の注意を払わなければならない問題だが、トランプ大統領はそのことを十分に考えていない。今回の決定は越えてはならない一線を越えた感があり、新たなテロや暴力の連鎖を招き、中東地域を一層不安定にさせるおそれがある。
2017/12/08 NHK総合[時論公論]
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