【あの一言】
トランプ政権の一年
笹川平和財団上席研究員・渡部恒雄 トランプ政権の特長のひとつに民主化にこだわらないということがある。世界に民主化をふりまくなどというようなことはしたくない。そういう意味では習近平にとってはやりやすい相手。中国との関係は実利的なもので合意できるものは合意し、できないものはしない。ディールはできると思っている。ただし中国に対する警戒感はものすごく強い。国家安全保障戦略にしても従来ブッシュ政権が一番強いことを言っていた政権だが、それでも中国を直接名指しすることはなかった。
2017/12/29 BS11[報道ライブ INsideOUT]
笹川平和財団上席研究員・渡部恒雄 2018年はロシアゲートの調査が進みトランプにとっては大変な年になる。自分の財務状況が個人から会社、クシュナーの会社までの調べが入る。これがレッドラインといわれている。そこまでいくと大統領が強権を発動するのではないかといわれている。下手をすると、トランプの借金に中国なりロシアなりの影がちらつく可能性もある。ロシアや中国はトランプは一見やりやすい相手だと思っていたが、それゆえにトランプはあまり柔らかくも出れないというひねくれた構造になっている。
2017/12/29 BS11[報道ライブ INsideOUT]
富士通総研主席研究員・柯隆 中国にとっては結果的にイデオロギーを全面的に打ち出すヒラリーでなく、トランプになってくれてよかった。中国とトランプ大統領との間にはキッシンジャーというもともと米中関係の仲人をしてくれた存在もあり、中国人もディールが好きな民族なので相性がいい。台湾の問題や南シナ海、東シナ海の問題もうまく避けてくれ、中国をいじめなかった。習近平からするとほっとした1年だった。
2017/12/29 BS11[報道ライブ INsideOUT]
笹川平和財団上席研究員・渡部恒雄 これから怖いのはじわじわと米国の体力が弱ってくること。米国のソフトパワーという魅力がどんどんなくなってきている。国際的な秩序への信頼がどんどん失われ、みんなが信頼していたニューヨークタイムズ、ワシントンポストなどのクオリティペーパーをみんなが信用しなくなってしまった。代わりにトランプが信頼を置いているニュースはどうかと言えば、もっと信頼は置けずに世界ががたがたしてきた印象。
2017/12/29 BS11[報道ライブ INsideOUT]
笹川平和財団上席研究員・渡部恒雄 彼は1度説得されてやめたことでも、また持ち出す。落ち着いているとみられていた他の問題でもまた蒸し返される可能性もある。先日、トランプが中国に行き一時的に中国が安心していても、トレードとか知的所有権とか再び中国にとって厳しい話を持ち出す可能性がある。エルサレム問題に関して明らかなのは米国国内向けということ。アラバマの補選でキリスト教右派の候補が本人のセクハラ問題で苦戦したが、それを助けるためでもあった。また、来年11月の中間選挙のためでもある。さらにはトランプには大きなユダヤ系の支持者達がいて、その中にはエルサレムに首都を移すべきとの人がいっぱいいる。それによって米国の外交官や米国人が、世界的にリスクにさらされているということをあまりまじめに考えていない。
2017/12/29 BS11[報道ライブ INsideOUT]
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