【あの一言】
名越章浩の発言まとめ
墓から見る現代社会 日本人の多くは明治時代から家を基本としてきた。近代国家への脱皮を目指した明治時代の基礎は家制度で、そこでは長男が代々継承し、男がいなければ婿養子を迎えるのが当たり前だった。明治の民法で家の継承を重視する家制度が定められ、先祖代々一家がまとめてひとつの墓に祀られるようになった。大正時代には墓石に家の名前を刻みこむようになり〇〇家の墓という墓石が一般的になった。墓は家の繁栄と家族と絆の象徴だった。ところが戦後、民法の家制度は廃止され、家を基礎とした仕組みは様変わりした。核家族化が進み、墓を家で守っていくというスタイルが失われてきた。ライフスタイルが多様化している今、墓地のあり方も1つである必要はない。マンション型、宇宙葬、散骨、樹木葬。私たちはライフスタイルの多様化に応じた新しい墓のあり方を模索する、選択の自由の時代に突入したと言っても過言ではない。
2017/08/12 NHK総合[時論公論]
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