3月12日、朝9時過ぎに江戸川に着き、軽い体操をしてから、市川側の土手を走り東京湾に向かった。素手でハンドルを握っていたので、手が少しかじかんでいた。
春は、外に出ないと寒いのか、そうでもないのか判断がつかない日が多い。その日は空気が冷たく感じた。
いつものようにカワズ桜の並木道を通ると、満開の木と葉桜になっている木が半々になっていた。
行徳橋の下の野球場を通り過ぎると、背番号がアナウンスされ、続いてポジションと氏名が女性の声で告げられていた。
これから試合が始まるのだろうと思った。草野球でもこうしたアナウンスがあると、選手たちもプレーに身が入るに違いない。
また土手に上がると、今度は工事中のところがあり、アップダウンを重ねた。
そうこうする内に、前回見つけた近道を通って、湾岸道路に辿り着き、しばらく走ると、「船橋中央港」への案内板が見えてきたので、湾岸道を右折した。
そのまま、側道を走ると、見覚えのある海の風景が目に入ってきた。
「三番瀬公園」に入ると、右側に大きな野球場があり、左手にはテニスコートが5面ほど見えた。どのスペースも人で賑わっていた。
少し海に近づくと、カーキ色の大きなテントが目に入り、そこに集う2家族ぐらいの楽しそうな姿が見えた。
自転車で、砂浜に入り、そこにそのまま置いて、歩いて遠浅で水が引いた浜に入っていった。
水が引いた後には、横縞の判が続き、太陽の光を浴びて、綺麗に輝いていた。
親子連れや干潟の研究のためのツアー客なのか、10人ほどの集団もいた。中には金属の小さな熊手で、砂を掘って貝を採っている人もいた。
少し寒くは感じたが、そこに集ったは人々はそれぞれ楽しげであった。
干潟にできた文様はかなり続き、その上を歩くと、思いのほか地面は固く、泥濘の感覚はなかった。
遠くには貨物船が往来し、東京や幕張の様子が目に入っていた。
自転車に戻り千葉方向に走ると、黒ずくめのゴム製の潜水服のような物を身に着けたプロの貝漁業者が、水に浸かって漁をしている姿が目に入った。
その日は、そこから湾岸道に引きっ返し、反対側の側道を市川に向けて走った。
湾岸道と外環道との巨大なインターチェンジ建設の中を通り抜け、江戸川に辿り着き、家路へと向かった。
江戸川では、水上バイクが2台競うように猛スピードで、水上を走っていた。
帰宅する直前に、12時を知らせる街のチャイムが聞こえていた。
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