YUIMETALが体調不良で出演見送り(12月4日)
12月2日、3日に広島グリーンアリーナで開催した「LEGEND - S - 洗礼の儀 -」にYUIMETALが体調不良のため、出演見送りとなり、SU-METALとMOAMETALの二人でのステージとなった。
また、BABYMETALは来年5月18日~20日にオハイオ州コロンバスで開催される「Rock On The Range 2018」に出演が決定。詳細は後日発表とのこと。
12/03 09:56 テレビ東京 【JAPAN COUNTDOWN】
今年初のワンマンライブも大成功の模様(第45回)
LAのHollywood Palladiumで開催されたBABYMETAL今年初のワンマンライブ(もう6月なのに初、というのも驚きだが)。
チケットは3日間でSOLD OUT。ライブ中は全米やら日本からの遠征組で溢れかえった4000人の観客で、会場は狂躁状態。それはまぁいつものこと?
なかでも出色だったのが海外版のみに納められていた「From Dusk Till Dawn」のライブ初披露だった。...
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LAのHollywood Palladiumで開催されたBABYMETAL今年初のワンマンライブ(もう6月なのに初、というのも驚きだが)。
チケットは3日間でSOLD OUT。ライブ中は全米やら日本からの遠征組で溢れかえった4000人の観客で、会場は狂躁状態。それはまぁいつものこと?
なかでも出色だったのが海外版のみに納められていた「From Dusk Till Dawn」のライブ初披露だった。生演奏での再現は不可能、といわれていた曲なのに、圧倒的なパフォーマンスとダンスと生声! で聴かせてくれた。ほんとにすごい子(演奏陣も。とくに青山神のドラム!)たちだ、つくづくそう思う。
天空を貫くようなSU-METALの澄み切った高音も素晴らしいし、この曲でダンスするユイモアもとんでもない。
観客の「ウォーウォー」や「BREAK!」のコール・アンド・レスポンスも、とても初披露とは思えないほど息がぴったりで、大いに盛り上がっていた。
曲、歌、ダンス、演奏の総合力で、ここまで魅せて、聴かせてくれるバンド(ユニット)をほかに知らない。そもそもCD音源よりもライブがいいって、どういうことなの? 驚くしかない。
海外版にしか収録されていないが、個人的にもこの傾向の曲は大好物なので、ライブで披露されたことがとにかく嬉しい。
そもそもこの曲のジャンルは何なのだろうか? この壮大感、この疾走感はただごとではない。ロックでもメタルでもプログレでも、ましてやアイドル曲でもない。でもそのすべて+ααα…、ともいえる。まさにBABYMETALの真骨頂だし、つねに新しい次元を拓き続けるBABYMETALの、重要な成長へのステップとなる曲ではないかと強く感じている。
ライブ終了直後、YouTubeにFancam映像が溢れかえっていたのもご愛嬌。歓声がうるさすぎる動画か多いが、その分当日の会場の盛り上がりをよく伝えてくれている。それとオープニングのDEATHで、小さな女の子を肩車していたFancam映像が愛らしかった。
↓以下はみ?んなFrom Dusk Till DawnのFancam映像(他にもたくさんある)。興味のある方は聴き比べて見るのも一興でしょう。場所によってかなり音の違いがある。
BABYMETAL - From Dusk Till Dawn Live
https://youtu.be/ocsjPddpFZ4
From Dusk Till Dawn // Babymetal live at Hollywood Palladium
https://youtu.be/H6slhjmMekg
From Dusk Till Dawn
https://youtu.be/VVRSLn2Mq8M
Babymetal From Dusk Till Dawn Hollywood Palladium First Live
https://youtu.be/oCZxPL3wxcU
BABYMETAL From Dusk Till Dawn at the Hollywood Palladium v2
https://youtu.be/t7HFLItdwHg
ちなみにこちら↓はOpeningのDEATH。
2分40秒頃から肩車された小さな女の子が確認できます。
BabyMetal Palladium Opening
https://youtu.be/ruXViFLCZHI
♪ ♪ ♪
そしてつい先程、今年も「SUMMER SONIC 2017」にBABYMETALが参戦することが発表された。
http://natalie.mu/music/news/237303
昨年の夏、夏の国内4大フェスのすべてに参戦して、圧倒的なパフォーマンスを披露し、驚異的な観客動員を集めたBABYMETAL。
とくに「SUMMER SONIC」は2012年に史上最年少アーティストとして初出演して以来、5年間連続して参戦。最初は端っこにある小さなステージで神バンドもいなかったが、6年目の今年、ついに、というか早くも、というか、BABYMETALは2ndヘッドライナーとしてメインのMARINE/OCEAN STAGEに登場する。これは日本人アーティストでは最高ランク。ついにBABYMETALは、邦楽分野においてもトップに登りつめたのである。
振り返ってみれば、BABYMETALは毎年同じことは繰り返さない。昨年もWembleyから始まった世界ツアーを回る傍ら日本の4大夏フェスを制覇し、東京ドームでこれ以上ない大花火を打ち上げた。その後は打って変わっての沈黙ぶり(休養?)、さすがに燃え尽き症候群? と思っていたら、レッチリやガンス、METALLICAといった世界的な超大物バンドのサボートアクトを務めた。ただしその間、実はワンマンは一度もなし。オールアウェイでの武者修行を続け、わずか30分の前座公演でありながら、観客の心をしっかりと掴み、会場を熱狂と興奮の渦に巻き込む技と力を重層的に身につけてきた。そして満を持してのLAでのワンマンライブである。そしてあの狂躁ぶりである。
つまりオールアウェイでの挑戦とコアなファンとの一体的な熱狂を、BABYMETALは幾度も繰り返してきたわけだ。そんなことが可能なのは、驚異的な実力あればこそだが、一歩間違えば大失態、総スカン、奈落の底に落とされる危険性だってあった。
運営も酷なことをするよなぁと、またまたヲッサンは思うわけだが、この試練に勝ち続けることで、3人の女の子たちは驚くべき成長を遂げている。そういう戦略なのかもしれないが、つねに期待以上の結果を残し続ける女の子たちは本当に凄いと思う。
今年は6月後半からのKornのサポートアクトで米国西海岸を回り、7月に日本に帰国(来日?)してからは「5大キツネ祭りin JAPAN」(東京、大阪、名古屋)で小箱祭り(チケットは2分で売り切れたとか)がスタート。そして9月と10月は、埼玉と大阪で大規模なライブが予定されている。
(ただしこちらもチケットをとるのは至難の業だろうな)
主要メディアではほとんど取り上げられることがないが、このように3姫はけっこう忙しい。情報が少ないとかファンとの接触がない、など一部からは不満の声も聞こえてくるけれど、ユイモアはまだ高校生だし、有意義な青春を過ごすためにはこのくらいのスケジュールがちょうどいいのではないかな。
しかも節目節目にまた驚くほどの進化を見せてくれるだろうから、それもまた楽しみで仕方がないのである。
11月以降の予定はまだ未定だけれど、ヲッサンは漏れ出るFancam映像を楽しみながら、ライブ参戦への夢を追いつつ、その歩みをゆっくりと見守らせていただくのです。
http://www.babymetal.jp/news/detail.php?id=517
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日本語とROCKとかMETALとかRAPとか①(第44回)
イギリスに続き、アメリカでのレッチリ帯同ツアーも大成功だったようで、良かった。よかった。しかもイギリスではチャド・スミス(Dr)だけの飛び入り参加で盛り上がったが、今回はほとんどのメンバーが前座ライブに乱入して3姫とコラボし、聴衆も大盛り上がり。レッチリファンにもかなりの好感触で受け入れらたようで、今後のアメリカでの活動も広がりそうだなぁと、期待はいやが上にも高まっていくのである。
さて。
ここんとこ、DOMEライブのベビロテ状態が続いていたのだけれど、一言だけ感想など。...
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イギリスに続き、アメリカでのレッチリ帯同ツアーも大成功だったようで、良かった。よかった。しかもイギリスではチャド・スミス(Dr)だけの飛び入り参加で盛り上がったが、今回はほとんどのメンバーが前座ライブに乱入して3姫とコラボし、聴衆も大盛り上がり。レッチリファンにもかなりの好感触で受け入れらたようで、今後のアメリカでの活動も広がりそうだなぁと、期待はいやが上にも高まっていくのである。
さて。
ここんとこ、DOMEライブのベビロテ状態が続いていたのだけれど、一言だけ感想など。MOIMOIのダンスのシンクロ度がかなり高くなった。同じ意味でMOAMETALのダンスが一段と凄くなった。
二人のシンクロ度が高くなったおかげで、遠目で見ると、どっちがどっちだかわからなくなった場面が多くあった。
YUIMETAL切れ味に、MOAMETALが近づいた、ということなのか。もともとMOAMETALはダンスの動きが大きくて、それがダイナミックな印象につながっていたのだけれど、切れ味という点ではYUIには及ばなかった。それが同等に近くなってきたことで、MOAのダンスはキレのあるダイナミックさ、という新境地に到達してきた。しかもあの天使の笑顔で観客を煽るわけだから、ほとんど無敵の段階に近づいてきたといえるだろう。
♪ ♪ ♪
ということで、前置きが長くなったが、表題の内容について、縷々語らせていただく。テーマは、ざっくりという日本語と洋楽。
BABYMETALが登場した頃、いわゆる脳内Pの方々の「海外を目指すなら英語で歌え」といった戯言が主にネットで飛び交っていたことがあった。でもマーティ・フリードマンのアドバイなどもあったのかなかったのか、結局は日本語で歌い続けているBABYMETALだが、かつてROCKは英語で歌うべきか、いや日本語で歌うべきか、大論争になったことがあった。火を付けたのは当時のミュージックマガジンらしいが、英語派の筆頭が内田裕也氏。今では妖怪のような風貌が度肝を抜く内田氏だが、以前からその偏屈ぶりは際立っていたようで、いまでに英語にこだわっていらっしゃるようだ。
一方で、日本語でROCKを歌う新境地を拓いたのが、『はっぴいえんど』だといわれている。
でもね。
はっぴいえんどの楽曲って、あまりROCKという感じは受けないのだよね。
たしかにいい曲は多いけど、ジャンルからいえばソフトロック、スローロック、あるいはバラードといった印象が強く、その意味ではその後に続くJ-POPのベースを築いたといえないこともないのだけれど、ただROCKの持っている若者ならではの熱さとか、焦り、メッセージ性、攻撃性とかの要素はあまりないな、という印象を持っている。
端的な例が、『風をあつめて』という楽曲。
https://youtu.be/vfSe3MG8tTw
とても素敵なラブソングだとは思うし、アメリカ映画のテーマ曲になったこともある。ちなみにその映画とは『ロスト・イン・トランスレーション』(監督はソフィア・コッポラ、あのフランシス・コッポラの娘です。作品は世界中でいろいろな賞をとっていて、アカデミー賞では主要4部門ノミネートされ脚本賞を受賞している)。
映画の内容は、いまや落ち潰れてCM撮影のため嫌々?来日した往年の大スター(ビル・マーレイ)と、たまたま日本に新婚旅行に来ていたけど旦那に放置されていた美しくも寂しいアメリカ人妻(スカーレット・ヨハンセン そういえば、攻殻機動隊実写版に主演していますね! 芸域の広い女優さんです)との淡く儚いラブストーリー。
https://www.youtube.com/watch?v=q53ddUpimRY
映画の雰囲気にとても合っていた名曲でした。
『風をあつめて』はたしかに現代にも生きるいい曲だとは思うけど、ロック感はない。松本隆氏の詩はとても文学的だけど、大滝さんや細野さんの歌唱は普通に日本語をつぶやいている感じ、というのが個人的な印象なのである。
音楽史的にいうと、このROCK日本語論争に決着を付けたのはキャロルということになっている。矢沢永吉のあの独特の巻舌唱法は、たしかにROCKのリズムに日本語を乗せることに成功した最初の例、とはいえるだろうでも難癖をつけるようで恐縮だが、キャロルはロックンロールであって、ロックではないよなぁ、というのがこれまた個人的な印象なのである。
当時、日本語で歌うロックグループは他にもたくさんあった。「サディスティック・ミカ・バンド」や「RCサクセション」も頑張っていた。仲間内では「クリエイション」の人気が高かったし、個人的には当時まだアメリカ施政化にあった沖縄出身の「紫」が気に入ってアルバムも持ってた(なんと「紫」はミュージックライフ)誌77年度の人気投票で国内部門グループ第1位になったこともある)。ただ「紫」は英語で歌っていたが。
クリエイション 【ロンリー・ハート】 1981
https://youtu.be/CHAHzftH7dc
kinawa rock_8 紫~MURASAKI~
https://youtu.be/zIKKMHAAWj0
そして、個人的に強く印象に残ってるのが、『頭脳警察』というグループだった。
当時を代表するバンドのひとつだったが、時代は学生運動の真っ只中。あの頃、感受性の高い若者は影響を受けずにはいられなかったろうが、そのあまりにも政治的に過激な歌詞やライブパフォーマンスによって、出す曲、出すアルバムがことごとく発禁や放送禁止、ライブは入場禁止になるなど、数々の伝説を残した。
それってやっぱ、ROCKだよなぁ。
同じく学生運動の教祖に祭り上げられた岡林信康が、自分の状況に嫌気がさして早々に引退宣言したのに比べ、頭脳警察は成田闘争に参加するなど、政治的にも音楽的にも過激度を増していった。
あの頃、『頭脳警察』はもっともエッジに立っていたバンドだったと思う。まぁ、POP感はほとんどなかったので、大衆受けはまったくしなかったが。
当時はまだ善良で優等な青少年だった自分にとって(笑)、頭脳警察はあまり近づいてはいけない、怖いお兄さんたちではあった。
でもいまYouTubeなどで聴き直してみると、たしかに“血を流せ”とか、過激な科白はあるけれど、寺山修司が詩を提供した『時代はサーカスの象にのって』など文学的芳香漂う名曲もある。曲はいいし、曲調には幅があるし、歌うまいし、演奏すごいし、もっと評価されてもいいバントだったと思う。
ということで、かつての自分のチキンぶりに落とし前をつける意味でも、日本語ロックの嚆矢は『頭脳警察』である、と個人的にではあるが断言してしまいたい。
それと、この文章を書くためにちょっと調べ直してみたら、今も現役を続けているらしい。時代の流れや流行りにまったく頓着していない姿勢は、今も変わらないようだ。そのスタンスで、今後も頑張ってほしいものです。
頭脳警察 万物流転
https://youtu.be/0VfmlKP9dyE
一方、キャロルによって拓かれた日本語ロックンロールを、これまた独特の巻舌唱法とロック感溢れるリズム、親しみやすいメロディでついに“歌謡ロック”という未踏の領域を確立し、絶大な人気を集めたバンドが、サザンオールスターズだった。桑田佳祐のあの独特の唱法によって、ROCKはついに日本の歌謡界において市民権を得たのである(あくまで個人的な印象です)。
で、そもそも洋楽と日本語の関係って、作り手や聴衆にはどう意識されてきたのか、振り返ってみた。
(長くなりそうなので、次回に続く)
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分裂と融合と(第43回)
またまた私事で恐縮だが、生まれて初めて参戦したHard Rockのコンサートは、Deep Purpleの武道館公演だった。
とはいえ1972年8月の初来日のライブではなく、1973年6月の二回目の来日公演。
知ってる方は知ってると思うが(当たり前か)、初来日のライブを納めたアルバムは世界的に大ヒットし、自分もこのアルバムをきっかけにDeep Purpleにはまった。
勢い込んでの初の(二回目の)武道館ライブ参戦だったわけだが、こちらもご存じの方は十分ご存知のように、このコンサーはとんでもなく荒れに荒れた。...
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またまた私事で恐縮だが、生まれて初めて参戦したHard Rockのコンサートは、Deep Purpleの武道館公演だった。
とはいえ1972年8月の初来日のライブではなく、1973年6月の二回目の来日公演。
知ってる方は知ってると思うが(当たり前か)、初来日のライブを納めたアルバムは世界的に大ヒットし、自分もこのアルバムをきっかけにDeep Purpleにはまった。
勢い込んでの初の(二回目の)武道館ライブ参戦だったわけだが、こちらもご存じの方は十分ご存知のように、このコンサーはとんでもなく荒れに荒れた。きっかけはアンコールに応えなかったメンバーに対して、観客が大激怒したから。怒号が飛び交い、パイプ椅子が飛び交い、収集のつかない大騒ぎになった。
世が世なら騒乱罪が適用されるほどの狂乱状態ぎだった。
原因は、あとから聞いたところでは、ライブ中に観客がステージに花火を投げ込み、危険を感じたメンバーがアンコールをボイコットしたから、だったらしい。
でも多くの客はそんなことは知らないから、手を抜かれた、バカにされたと思い込んで、大暴れしたのだろう。
こちらはなにせ、はじめてのハードロックのコンサート。「ハードロックってこええ」と恐れおののき、以降トラウマになったのである(大げさ)。
ただその後、いろいろなロックのコンサートに顔を出したが、あんな大騒ぎはあれ以降まったくなかったので、いまではいい想い出ではある。
Deep Purple - Smoke On The Water 1972 (HQ)
https://youtu.be/ikGyZh0VbPQ
このDeep Purpleを始め、Led ZeppelinやUriah Heep、Black Sabbathなど、当時四天王と呼ばれたハードロックのアルバムは、当時は本当によく聴いた。
※ところで最近ロック史を振り返る資料など読むと、現在Black Sabbathは元祖メタルという位置づけらしい。これにはちょっとびっくり、
さて、Hard Rockはその後、より先鋭的なMETALやPUNK、Glam Rock、Electro、LAPなどさまざまな派生ジャンルを生みつつ今日にいたっているわけだが、その過程ではいろいろと分裂や細分化を続けている。
ロックの歴史を紐解くと(超個人的な感想だが)、甘くて軽いアメリカンポップ全盛の時代に、突如、それまではマイナーだったブルースやR&Bをベースにしたロックンロールが登場する。旗印の役を担ったのが、つい最近亡くなったチャック・ベリー(R.I.P)やエルビス・プレスリー。お行儀のいいそれまでのポップスとは一線を画し、若者の反抗心や熱い情熱を詰め込んだそれらの楽曲は、当時の若者の熱狂的な人気を集めた。
そしてそのロックンロールをRockへと一大進化させたのが、いうまでもなくBeatlesだ。
ビートルズに関しては多くの識者や評論家が語り尽くしているし、自分が言うべきことはことさらないが、とにかくとてつもないバンドだったとはいえる。
現在のほぼすべてのPOPSやROCKは、その源流にBeatlesを置く、と言ってもいいすぎではないだろう。ブルースやR&Bをベースにしながらも、クラッシックや民族音楽なども大体に取り込み、融合させ、さらにさまざまな音楽的な実験を試み、しかも時代に対する熱いメッセージもあった。ほんとにとんでもないグループだったと思う。自身の音楽体験からいっても、感謝してしすぎることはない。
さて。
Beatlesによって大きな可能性をひろげたロックミュージックは、その後さまざまなジャンルに細分化される。それがサイケデリック・ロックだったり、前述したハードロックだったり、プログレだったりするわけだが、それそれぞれのジャンルがさらに次々と派生ジャンルを生んでいった。
たとえばハードロックから派生したMETALも、さらにデスメタル、スラッシュメタル、パワーメタル、オルタナティヴ・メタル、ゴシック・メタル、シンフォニックメタルなどさまざまな派生を生み、もはや収集がつかない。こっちが歳をとったせいだけかもしれないが、とても追いつけない。
しかし、派生ジャンルとはいえ、理由や背景もなくぽっと生まれたのではない。それぞれが時代の必然性の中から、強烈な個性と天才的なカリスマ性を携えたバンドやアーティストたちによって、初めて誕生していると思う。
ハードロックは前述したようにLed ZeppelinやDeep Purple、
プログレッシブならPink FloydやKing Crimson、
METALは諸説あるが、Beatlesの「Helter Skelter」をきっかけにして
ブラック・サバスなどを経て、 IRON MAIDEN、Def Leppard、METALLICAなどへ連なっていく。
グラム・ロックならT. RexやDavid Bowie、
バンクで一世を風靡したSex Pistols、
グランジで世界中に毒を撒き散らかしたNirvana、
過激な韻律で新たなRAPブームを巻き起こしたEMINEM、
などなど、などなど。
(上記に関しては諸説あるので、あくまで個人的な印象です)
彼らは時代に屹立して存在したからこそ、多くの若者から支持を得たのだろう。
ただ最近のオルタナティプや普通のPOPSカテゴリーは、分裂から一息ついて最近ではいろいろなジャンルを融合した楽曲も登場し始めているという印象を抱いている。ネタ切れなのか、新たな挑戦なのか、たぶんその両方だとは思う。
だがMETALのように、ツーバス、デスボイス、大仰な演出といった固定された様式美が特徴のジャンルはその堅牢性ゆえか、はたまた単にファンが石頭だからなのか、なかなか他のジャンルを受け入れるのが難しいようだ。
そんな堅物の世界に女の子のアイドルグループという全く異質の、相容れない世界をぶつけ融合させたのだから、BABYMETALの狂気性は際立つ。
分裂と融合は世の習い。
それが単なる未分化のごった混ぜなのか、溶解なのか、またまたあうふへーべんなのか。
♪ ♪
多くの先人がそうであったように、新たなカテゴリー、新たなジャンルには、新しい世界観を切り拓く新たな才能たちが存在する。
かつてのROCKやMETALの多くが、焦りや怒り、激情、時代への反逆など、ようするに引かれ者の小唄をテーマにしてきたのに比べ(異論はあるでしょうが)BABYMETALのそれは、かなり異なる。BABYMETALの世界観は、時には現実をポジティブにとらえる前向きな姿勢であり、時には過去の自身を克服するための内なる戦いであり、あるいは微笑みの溢れる世界を願う人々への呼びかけであったりする。
このきわめて肯定的な世界観こそ、BABYMETALの真骨頂だ。
それはこれまで若者のためのロックミュージックが担ってきた怒りや激情などの世界観、その中で果たしてきたメンバーたちのやさぐれた振る舞いからの、大きなシフトチェンジだ。だからBABYMETALのライブは、にこやかなモッシュであふれ、間違っても怒りにまかせた暴力沙汰など起こらない(はず)。
BABYMETALは、これまでにないまったく新しい世界観を聴くもの、見るものに感じさせてくれる。だがらこそ、多く人々から支持を得ている、のだと思う。
では果たして、BABYMETALは今後どんな時代の音を奏でるのだろうか。
新しい調べによって、BABYMETALは新たにBABYMETALという派生ジャンルを確立できるのだろうか? いやそれはもしかしたら、Beatles以来の新たなメインストリームを現出させる可能を秘めているのだろうか?
そんな意味でも、BABYMETALというプロジェクトの行末に、興味が尽きないのである。
♪ ♪ ♪
4月12日。ついに東京ドームのライブ「LIVE AT TOKYO DOME」が発売される。
会員限定ですでに先行販売されているようで、圧倒的高評価の噂もちらほら聞こえてくる。楽しみ、楽しみ。Trailerも公開されている。あの感動が蘇る。
BABYMETAL - LIVE AT TOKYO DOME Trailer
https://www.youtube.com/watch?v=Nx8IBcVjWno
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わが永遠の歌姫たち(第42回)
またまた、だいぶご無沙汰してしまいました。
昨年末以降、ほぼ毎日のようにWembleyのライブアルバムを聴きまくっていた。
このアルバムで一番感心したのは、多くの人が感じたことだろうけど、それぞれの楽器の粒ひとつひとつ際立っていること。とくにベースやバズドラの音がこれまでにないくらいはっきり聴こえてきて、これはバンド好きにはたまりませんわ。
最大の理由はミックス・エンジニアの力量だろう。...
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またまた、だいぶご無沙汰してしまいました。
昨年末以降、ほぼ毎日のようにWembleyのライブアルバムを聴きまくっていた。
このアルバムで一番感心したのは、多くの人が感じたことだろうけど、それぞれの楽器の粒ひとつひとつ際立っていること。とくにベースやバズドラの音がこれまでにないくらいはっきり聴こえてきて、これはバンド好きにはたまりませんわ。
最大の理由はミックス・エンジニアの力量だろう。クレジットを見るとTue Madsenという人で、『LIVE IN LONDON -BABYMETAL WORLD TOUR 2014-』にも参加している。
世界中のHR/HMシーンで活躍しているヨーロッパの著名エンジニアらしく、このようにバックを支えるスタッフにも世界有数の天才級の人を起用するのが、まさにBABYMETALスタイルなのだなあ、と感心することしきり、なのである。
そして見事にミキシングされたそれら各楽器の音粒たちのはるか天上から舞い降りるSU-METALの歌声。そしてスクリーンを見れば、キレキレのダンスと天使のような笑顔を振りまくYUI&MOA-METAL。まさに極上のアルバム。こんなに繰返し聴きいった(見いった)アルバムは、これまでのそこそこ長い人生でも初めてだ。
さて。
そうはいっても、年初から続くBABYMETALロスも2ヶ月超におよび、さすがに辛くなってきたので、最近はまたいろいろなジャンルの楽曲を聞いている。
お察しかもしれないが、音楽に関して自分はかなり守備範囲が広いというか、雑煮嗜好というか、ようするにミーハーなので、けっこうなんでも聴く。なかでも好きなのが、女性ボーカルなんである。
いにしえのジャズならエラフィッチ・ジェラルド、サラ・ボーン、ビリー・ホリデイ等などの有名どころ。シャンソンは、なんといってもエディット・ピアフ。
ロックといっていいのかどうかわからないが、ケイト・ブッシュ、Bjork(ビョーク)なんかも大好物。日本の歌謡曲やJ-POPなんかでも、山口百恵、中森明菜、ZARD、坂本冬美、石川さゆり、レベッカ、MISIA、最近ではKalafinaや家入レオ、aimerなど無節操にいろいろ聴いている。
なかでも、これまでの個人的女性ボーカル史のなかで、とくに脳天ガツンとやられたのが、エディット・ピアフだった。
歌の上手さはよく知られているところで、もちろんリアルタイムで知っているわけではないが、その素晴らしさを強く印象づけてくれたのが、映画「エディット・ピアフ 愛の讃歌」だった。主演のマリオン・コティヤールの鬼気迫る演技は本当に素晴らしかった(セザール賞、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞等など主だった女優賞を総なめ!)。そして、なんといっても劇中に挿入される本物のピアフの歌声が、とんでもなかった。
スクリーン上にピアフが蘇ったようで、こんなにすごい歌手だったんだ、と改めて深く深く感銘を受けたのでした。
「エディット・ピアフ 愛の讃歌」日本版劇場予告
https://www.youtube.com/watch?v=g74vRWApZ1g
「エディット・ピアフ 愛の讃歌」ラストシーンより☆「水に流して」
https://youtu.be/YtpcKgacdf8
日本人でもいろいろな女性歌手や女優がピアフの歌に挑んでいて、それぞれいいではあるのだけれど、やはりオリジナルははるかに素晴らしい、と思わざるをえないのであった。
さて。
ROCK界隈に目を転じてみると、でも実は女性ボーカルって実は少ないのだよね。
そんな中でも、わが青春のメモリアルとして心に深く刻み込まれているのは、なんといっても、ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin)だ。
1960年代を代表するロックスターの一人であり、その魂の底の底から振り絞るように放たれる歌声は、聴く者を震撼させ感動させた分。27歳してまさに「生きながらブルースに葬られ」た夭折の天才だった。
自分がまだはるかに若かりし頃にJanisの歌を聞いた時、まさに脳天に強烈な一撃を食らったような衝撃を受けた。魂を根こそぎ持っていかれた気がした。弱冠19歳の春であった。その歌声に、多感な男の子の心はビシバシと震えたのである。
ちなみにJanisの死因は、ドラッグ。彼女の死は、ロックスターが反逆・反権力のアイコンとして祭り上げられたあの時代に殉じた、壮絶な最後だったのだと、今なら思う。
Janis Joplin - Summertime (Live -1969)
https://www.youtube.com/watch?v=bn5TNqjuHiU
Janis Joplin (ジャニス・ジョプリン) Move Over
https://youtu.be/fIaKHV88ui8
さらにMETAL界で女性シンガーを探すと、さらに困難を極める。もともとMETALは男っぽい、マッチョなジャンルなので、だいたいは汗臭くてがさつな男どもが大声張り上げているイメージがある(異論は認める)。
そのなかでも女性シンガーが比較的多いのが、ゴシック・メタルというジャンルだ。
BMきっかけで、ゴシック・メタルもいろいろ聴いてみたが。なぜかヨーロッパが中心のようだ。そしてヨーロッパでゴシックということなのかどうなのか、いかにもクラシック勉強してました、発声はオペラです、という人が多い気がする。
たとえばこのジャンルの代表的なバンドがフィンランドのNightwish。上手いことは上手いし、人気もそこそこあるみたいだけど、ボーカルのフロール・ヤンセン(Floor Jansen)という女性、これはもろクラシックの唱法でしょ。ま、ジャンル的にはシンフォニックメタルというそうなのだけど、なんか後付という気がする。
まあ絶叫しているだけの、いわゆる嬢メタルよりはまだまし、という気はするが(異論は認める)。メタルサウンドをバックにソプラノで歌われても、自分は違和感しか感じないのだよねぇ。ま、所詮、音楽なんて個人の趣味なんですけどね。
NIGHTWISH - ?lan (OFFICIAL VIDEO)
https://www.youtube.com/watch?v=zPonioDYnoY
そんなゴシック・メタルのなかで、図抜けているのが、ご存知の方にはなにを今さら、と言われそうだが、やっぱりエヴァネッセンス(Evanescence)のリードボーカル・エイミー姐さん(Amy Lynn Hartzler)だろう。
Evanescenceは2003年にデビューした米国のゴシック・メタル・バンドだが、リードシングル「ブリング・ミー・トゥ・ライフ - Bring Me To Life」が大ヒットし、英国で1位、米国ビルボート3位、全世界で1500万枚のセールスを記録。グラミー賞の最優秀新人賞と最優秀ハードロック・パフォーマンス賞を受賞している。日本でも人気に火がつき、その年のゴールドディスクやニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー(日本ゴールドディスク大賞)に輝いている。
(以上Wikipediaより要約)
全世界で1500万枚のセールスとは、とてつもない。
まだまだBABYMETALは足元にも及ばないなぁ、と思う次第である。
Evanescenceが人気を集めた最大の理由は、もちろん楽曲の良さもあるが、なんといってもリードボーカルであるAmyの歌唱力にある。
パワフルで、情感豊か、当時はまだビジュアルもよかったしw、それになんといってもそのおどろおどろしい歌唱力は、まさに天下一品、クイーンと呼ばれるにふさわしかった。
実際、デビュー以来最近まで、Amyはクイーン・オブ・メタルの名をほしいままにしてきた。
そして一方、BABYMETALのコアなファンの間では、SU-METALこそクイーン・オブ・メタルであると主張する人々がけっこういる。
どちらも上手いしパワフルだし、とはいえおどろおどろしさでは天下一品(?)のAmyに比較して、SU-METALはカワイイ、すごい、など天性の多彩な声も持っているのが特徴といえるだろう。
それぞれ魅力的なのだから優劣をつけることはないとは思うが、クイーンメタルの新旧対決、なんてものをいつか同じステージで見てみたい気はする。
Evanescence - Bring Me To Life
https://youtu.be/3YxaaGgTQYM?list=PLk9ynMEm_rmg2wDOV_-fAr6qx8xMk5g1G
♪ ♪ ♪
BABYMETALをきっかけに、最近の洋楽を聴く機会も増えた
個人的な嗜好を言わせていただければ、ピアフ、ジャニス、エイミーといった錚々たる女性ボーカリストの系譜に、SU-METALが世界的な歌姫としてこれからの時代に君臨する日は、そう遠くないと思っている。
今はまだ、メタル村という辺境の地で崇拝されているだけだが、革命は周辺より生ずる、といったのはチェ・ゲバラだっけ?
いつかSU-METAL(その時はもうSUZUKA NAKAMOTOかもしれないが)、メタルというジャンルを超えて世界の音楽シーンで人々の間に衝撃と感動の輪を広げている状況を想像してしまう。
とはいえ、ここ最近のベビメタロスの間隙をぬって、最近気になっているのが「水曜日のカンパネラ」、略して水カンというユニット。ほんと、我ながら無節操です、ミーハーです(笑)
ということで、今回はかなり個人的な嗜好が色濃い内容になってしまった。
それもこれも、ベビメタロスのなせる技。なにせネタ不足。すまぬ。
p.s.
最新のニュースでは、6月に行われるKORNのアメリカ・ツアーに、BABYMETALがまたまたサポートゲストとして出演するそうな。これまではレッチリとかガンズとかロック傾向の方々とのジョイントが続いてきたが、今回はまたメタルに戻ってきたということか。
ロックやらメタルやら、そしてJ-POPやら、さまざまなジャンルを飛び越えていくBABYMETAL。さて次はどんなジャンルと融合を果たすのか。その意味でも、今後予定されているアニメの主題歌がどんなものになるのか、ハードでヘビィでシュガーポップな新曲で全米ランキングを急上昇、なんてことが起きるのか、少しばかりの不安と大いなる期待を抱いて、興味津々な今日この頃なのである。
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