G7「台湾」明記へ調整(6月8日)
G7・主要7カ国は11~13日に英国で開く首脳会議で「台湾海峡の安定」が重要だと首脳宣言に明記する調整に入った。
日米に欧州諸国を加えた枠組みで、中国による台湾への圧力を抑止する。
香港情勢や新疆ウイグル自治区での人権弾圧にも反対する。
G7首脳が対面で会議を開くのは2019年8月以来である。
台湾海峡に関する文言を首脳宣言に盛り込むのは初めてとなる。
次世代・半導体産業復興に大きく踏み込んだ日本(6月5日)
米中対立の激化によって時代は、経済と安全保障がカップリングした経済安全保障にシフトしている。これからの世界の鍵を握るのは経済安全保障の8つの主要分野である。
具体的には半導体、AI、高速通信規格、ビッグテータ、量子コンピューター、サイバーセキュリティー、金融、ワクチンを含むバイオテクノロジーである。このうちの半導体について今、日本政府が大きくアクセルを踏み込み始めた。
経済産業省が4日、国家事業として半導体事業にてこ入れする「半導体・デジタル産業戦略」計画を打ち出した。...
全部読む
米中対立の激化によって時代は、経済と安全保障がカップリングした経済安全保障にシフトしている。これからの世界の鍵を握るのは経済安全保障の8つの主要分野である。
具体的には半導体、AI、高速通信規格、ビッグテータ、量子コンピューター、サイバーセキュリティー、金融、ワクチンを含むバイオテクノロジーである。このうちの半導体について今、日本政府が大きくアクセルを踏み込み始めた。
経済産業省が4日、国家事業として半導体事業にてこ入れする「半導体・デジタル産業戦略」計画を打ち出した。先月には安倍前首相と麻生副総理兼財務大臣を最高顧問に迎え「半導体戦略推進議員連盟」を発足させるなどしていることからも、経済産業省の本気度が窺える。
1980年代後半には日本は電子立国の看板を掲げ、半導体市場の5割を占めていたが、日米半導体戦争に敗北して以来失速し、現在のシェアは1割程度に留まっている。主要企業もソニー、キオクシア、ルネサスエレクトロニクス、東京エレクトロンと数えるほどしかない。
デジタル庁の発足と、台湾の世界的半導体ファウンドリー・TSMCの開発部門のつくば市への誘致をきっかけにして、半導体を日本の成長産業につなげていきたい思惑が見える。
TSMCが日本に設けるのは製造拠点ではなく、あくまでも研究開発拠点だが、経産省はTSMCにシリコンウエハーなどの半導体材料や製造装置という日本の切り札をちらつかせることで、近い将来の半導体インフラ構築につなげたいと考えているように見える。
その中でナノスケールの超小型化技術の開発や新しい産業ニーズに合ったコンセプトクリエーションやアーキテクチャー作りにも踏み込んでいきたい狙いもある。
先行きは不透明で、実際に踏み出してみないとわからない部分がある。例えば台湾に本拠地があるTSMCが中国に乗っ取られることや、資金面においてのリスクも覚悟しなくてはならない。
しかし、これからの自動車業界の主役を担うEVや高度なデジタル化の動きや、テレワークの普及などで今後、高性能な半導体の需要はますます高まることが予想される中で、日本が半導体に再びチャレンジしていくことは必然的選択と考えられる。
ただし、その道もかなり厳しいものとの覚悟が肝要である。
閉じる
中国・火星表面の調査に成功・米国に次いで2か国目(5月23日)
中国の国営メディアは、今月15日に火星に着陸した中国の探査機「天問1号」から、きのう初めて探査車「祝融号」が地上に降ろされ、調査を始めたと伝えた。
太陽電池を電源に6つの車輪で走行しながら、今後、火星の地形や地質の構造、地表の物質などを調査することにしている。
火星表面の調査に成功したのは米国に次いで2か国目で、中国メディアは、この分野における米国の独占を打ち破ったなどと伝えている。
米中が動き出したデジタル通貨覇権争い(5月22日)
これまで米中は貿易分野、ハイテク分野で覇権争いを繰り広げてきたが、遂にデジタル通貨でも覇権争いに突入した。
きっかけは5月18日から19日に起きた4万ドルを大きく割り込んだビットコインの大暴落だった。この半値以下の大暴落によって数千ドル(数十兆円)の時価総額が失われた。
国家の裏書きがないビットコインはそもそも安定性には欠けるというデメリットがあるが、今回のような大きな下落はあまり見られなかった。...
全部読む
これまで米中は貿易分野、ハイテク分野で覇権争いを繰り広げてきたが、遂にデジタル通貨でも覇権争いに突入した。
きっかけは5月18日から19日に起きた4万ドルを大きく割り込んだビットコインの大暴落だった。この半値以下の大暴落によって数千ドル(数十兆円)の時価総額が失われた。
国家の裏書きがないビットコインはそもそも安定性には欠けるというデメリットがあるが、今回のような大きな下落はあまり見られなかった。暴落の裏側には、中国人民銀行が「仮想通貨を中国は認めていない。中国では実生活においても、いかなる用途であっても仮想通貨を使うことはできない」と発言するなど、中国当局がビットコインに対して規制強化する姿勢を示したことが大きい。
加えて中国・清華大学顧問員会の顧問を務める親中派のテスラ社・イーロンマスクCEOが「マイニングによって膨大なCO2が発生するので仮想通貨は環境に悪い」という見方を示したことも大きく影響した。
意図的に中国はビットコインを暴落させた可能性も感じられる。その理由としては2022年のデジタル人民元発行に向けた環境整備のためということが考えられる。つまり、中国市場からビットコインを締め出すという中国の意思表示であり、デジタル人民元発行に本腰を入れるという中国のシグナルということである。中国は中央銀行が発行するデジタル通貨で世界の先頭に行き、国際標準づくりの主導権を握りたい考えである。
一方の米国の動きを見てゆくと、2020年に、ムニューシン財務長官(当時)が「米国は2024年まではCDBCを発行しない」と発言したことからもわかるように、CDBCには慎重姿勢を取っており、中国に出遅れた感は否めない。しかし、ここに来てようやく重い腰を上げた。FRB・パウエル議長が「今夏にCBDCを討議するための資料を公表する」と発表するなどし、米国も前倒しでCDBCに乗り出す構えを見せている。
今後ますます世界中がCDBCに向かって突き進んでいくことが考えられる。日銀も4月にCBDCの実証実験を開始した。ワクチン開発のような状況を生まないためにも、新たな戦略の構築とその準備をする時が来ている。
閉じる
米国高官・台湾海峡めぐり・中国の行動けん制“日米協力が重要”(5月5日)
米国のアジア政策を統括する高官は台湾海峡を巡って中国が挑発的な行動を取っているとけん制し、日米の協力が重要だと強調した。
NSC(国家安全保障会議)でアジア政策を統括するカートキャンベルインド太平洋調整官はオンラインのイベントに参加。台湾周辺で中国の戦闘機が飛行するなど挑発的な行動を取っていると指摘したうえで、われわれが状況を注視し台湾海峡の平和と安定を守る準備ができていることを示す必要があるとけん制した。
日本とともに適切な措置を取ると確信していると述べ、日米の協力が重要だと強調した。
「米中覇権争い」内の検索