中国の不気味な軍事的攻勢(6月20日)
陸上配備型イージス計画中止で日米同盟にほころびが見える中、中国が不気味な動きを見せている。防衛省によると、18日午後、奄美大島の北東の接続水域を中国海軍のものとみられる潜水艦1隻が浮上しないまま西に向けて航行しているのを海上自衛隊の護衛艦と哨戒機が確認し、追尾にあたった。潜水艦は20日、午前中に接続水域を出て、東シナ海を西に向かったという。
2018年1月には、中国の原子力潜水艦が沖縄県の宮古島や尖閣諸島の沖合を航行しているのが確認されている。...
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陸上配備型イージス計画中止で日米同盟にほころびが見える中、中国が不気味な動きを見せている。防衛省によると、18日午後、奄美大島の北東の接続水域を中国海軍のものとみられる潜水艦1隻が浮上しないまま西に向けて航行しているのを海上自衛隊の護衛艦と哨戒機が確認し、追尾にあたった。潜水艦は20日、午前中に接続水域を出て、東シナ海を西に向かったという。
2018年1月には、中国の原子力潜水艦が沖縄県の宮古島や尖閣諸島の沖合を航行しているのが確認されている。尖閣周辺に来る中国の公船は数年前まで2、3隻で航行していたが、最近では4隻で来ることが主流となり、船も大型化しており1000トン級を上回る規模になっているという。
実は中国のこうした不穏な動きは日本だけにとどまらない。至るところで今、中国が攻撃性を剥き出しにする事象が多発している。19日には、中国軍の戦闘機が台湾南西の防空識別圏に一時的に突入した。この侵入は16日から4日連続で続いているという。台湾は米国への距離感を縮めていることから中国は米台へのけん制を強めており、偶発的な衝突を懸念する声も出ている。
同じく19日、中国当局はカナダ国籍の元外交官と企業家をスパイ罪で起訴した。カナダはファーウェイ幹部の米国への身柄引き渡しをめぐる審理の継続を決めており、その報復として政治的圧力をかけたのではないかとの声も出ている。
17日には中国軍が中印係争地帯でインド軍と衝突した。インド側の将校と兵士、合わせて20人が死亡した。中国外務省は会見で「軍の衝突に関するすべての責任はインド側にある」と強調し、「中国はインドとの関係を重視している」と述べる一方で「インド側の歩み寄りを期待する」と注文を付けた。
オーストラリアのモリソン首相は、複数の政府機関などが数か月にわたって中国が関与しているとみられるサイバー攻撃を受けていることを明らかにした。モリソン首相は今年、4月、「新型コロナウイルスの発生源や感染が拡大した背景などを調べるために、独立した調査が必要だ」という考えを示したが、それ以来、中国との関係が悪化しているという。
15日にはパラセル諸島付近で中国船がベトナムの漁船に異常接近し、ベトナム漁民の漁獲物を奪う事件も起きている。北京の軍事関係筋は「これから中国海軍の軍事訓練のピーク期を迎える。南シナ海でも演習をすることになるだろう」と脅しともとれるような不穏な発言を行っている。
これだけ世界で中国が我がもの顔で動きまわれるのも、米国がコロナと内政で身動きできない状態にあるからであることは容易に想像がつく。中国は米国の覇権に挑戦しようとしていることをもはや隠そうともしなくなったのかもしれない。この動きを新型コロナパンデミックが加速しているともいえる。
世界は中国の横暴に対し連帯すべきであるが、各国は内向きであり国家間の対立や立場の違いがますます浮き彫りとなるG0の時代を迎えている。日本にとっても世界にとっても正念場に来ている。こうした中、9月に米国で行われるG7拡大会合の果たす役割がこれまでになく重要となってくる。
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トランプ大統領「ウイグル人権法案」に署名(6月18日)
米国のトランプ大統領は中国でウイグル族への人権侵害があるとして、これに関わった中国の当局者に制裁を科すウイグル人権法案に署名し法律が成立した。
ウイグル人権法は中国の新疆ウイグル自治区でウイグル族の人たちが大勢不当に拘束されているとして、米国政府に対しウイグル族の人権侵害に関わった中国の当局者に制裁を科すよう求める内容で、先に米国議会の上下両院で可決されていた。
トランプ大統領を巡っては元側近のボルトン前大統領補佐官が近く出版予定の著書の中で、「(トランプ大統領が)中国の習近平国家主席に対しウイグル族を拘束する施設の建設を容認した疑いがある」と記すなど、中国国内の人権問題を軽視する姿勢が明らかになり関心を集めている。...
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米国のトランプ大統領は中国でウイグル族への人権侵害があるとして、これに関わった中国の当局者に制裁を科すウイグル人権法案に署名し法律が成立した。
ウイグル人権法は中国の新疆ウイグル自治区でウイグル族の人たちが大勢不当に拘束されているとして、米国政府に対しウイグル族の人権侵害に関わった中国の当局者に制裁を科すよう求める内容で、先に米国議会の上下両院で可決されていた。
トランプ大統領を巡っては元側近のボルトン前大統領補佐官が近く出版予定の著書の中で、「(トランプ大統領が)中国の習近平国家主席に対しウイグル族を拘束する施設の建設を容認した疑いがある」と記すなど、中国国内の人権問題を軽視する姿勢が明らかになり関心を集めている。
中国外務省は声明を発表し、中国の内政に乱暴に干渉するものだと激しく反発し、「米国が直ちに間違いを正すよう再度忠告する」などとして対抗措置を取ることも辞さない考えを示した。
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米ロ・“新START”今月下旬協議へ・中国は参加拒否(6月10日)
来年2月に期限を迎える米国とロシアの核軍縮条約新START長をめぐる協議が今月下旬に行われることになった。
ただ米国が中国も協議の参加するよう求めたのに対し中国や拒否し条約の延長に向けた協議は難航が予想される。
トランプ政権で軍縮問題を担当するビリングスリー特使がツイッターで中国への参加を求めたことを明らかにし、ロシアのりゃぷこふ外務次官は今月22日にオーストリアのウィーンで協議を行う見通しを示した。...
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来年2月に期限を迎える米国とロシアの核軍縮条約新START長をめぐる協議が今月下旬に行われることになった。
ただ米国が中国も協議の参加するよう求めたのに対し中国や拒否し条約の延長に向けた協議は難航が予想される。
トランプ政権で軍縮問題を担当するビリングスリー特使がツイッターで中国への参加を求めたことを明らかにし、ロシアのりゃぷこふ外務次官は今月22日にオーストリアのウィーンで協議を行う見通しを示した。
ただ、中国外務省・華春瑩報道官は米国のイラン核合意からの離脱やINFの破棄を指摘して3か国の協議には参加しない姿勢を示し、このため条約延長に向けた交渉は難航が予想される。
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人種差別・抗議デモ・米国国務長官“中国が体制正当化に悪用”(6月7日)
米国で続いている黒人男性が死亡した事件に抗議する大規模なデモについて、中国外務省の報道官は「米国政府は香港の抗議活動を美化する一方、国内の抗議デモには軍の派遣も検討して抑え込もうとしている」と批判した。
米国・ポンペイオ国務長官は6日声明を発表し「中国共産党は黒人男性の悲劇の死を悪用することで、自国の強権主義を正当化させようとしている」と非難した。
その上で「中国は平和的な抗議デモを認めず、デモを伝える報道や表現の自由もない一方で米国では認められている」と指摘している。...
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米国で続いている黒人男性が死亡した事件に抗議する大規模なデモについて、中国外務省の報道官は「米国政府は香港の抗議活動を美化する一方、国内の抗議デモには軍の派遣も検討して抑え込もうとしている」と批判した。
米国・ポンペイオ国務長官は6日声明を発表し「中国共産党は黒人男性の悲劇の死を悪用することで、自国の強権主義を正当化させようとしている」と非難した。
その上で「中国は平和的な抗議デモを認めず、デモを伝える報道や表現の自由もない一方で米国では認められている」と指摘している。
そして「中国共産党の行動を米国政府の行動と同一視して宣伝するのは詐欺行為とみなされるべき」だと激しく非難している。
ただ、米国では連邦軍の投入も辞さないトランプ大統領の強硬姿勢を巡って「中国のような強権的姿勢だ」と皮肉る意見も出ている。
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米中とのハザマにある日本(6月6日)
これまでは米国が主導してきた国際秩序、例えば国連、IMF、WTOがあって、開かれた民主主義とか自由とかの上に平和と安定が保たれてきたが、中国はそれとは違う価値観、例えば一帯一路などAIIBなどよって世界を塗り変えようとしている。その中で中国が日本に狙いを定めている節がある。
米国のシンクタンク・CSBA(戦略予算評価センター)は「中国が海軍力で日本を完全に追い抜き、自信を深めている」というレポート「DRAGON AGAINST THE SUN」を発表した。...
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これまでは米国が主導してきた国際秩序、例えば国連、IMF、WTOがあって、開かれた民主主義とか自由とかの上に平和と安定が保たれてきたが、中国はそれとは違う価値観、例えば一帯一路などAIIBなどよって世界を塗り変えようとしている。その中で中国が日本に狙いを定めている節がある。
米国のシンクタンク・CSBA(戦略予算評価センター)は「中国が海軍力で日本を完全に追い抜き、自信を深めている」というレポート「DRAGON AGAINST THE SUN」を発表した。同レポートは「自信を深めた中国は軍事力行使に対するハードルが下がっている」と指摘し、「中国が尖閣諸島を4日以内に占領する」との恐るべきシナリオも提示している。
中国が国内総生産(GDP)で日本を超えたのは2010年のことだが、それからわずか3年後の2013年には中国海軍と海上自衛隊の水上艦艇総トン数が逆転し、中国が日本の海上自衛隊の力を上回った。中国にとっての第一列島線、第二列島線は中国を縛る鎖であり、中国が太平洋に進出していくための障害物であり、断ち切らないといけないものである。米国が近接するのを拒否するためには、中国本土からなるべく遠くで米国を迎え撃ちたい。そのためにはまず第一列島線を突破して2020年までに第二列島線までの制海権を取れというのが1980年代半ばにはすでに指令として出されていたという。中国がこの指令を達成した思いでいることは確かである。尖閣諸島周辺で日本の漁船を中国・海計警局の公船が追尾することは日常茶飯事の出来事となっている。
4月10日に中国海軍が宮古海峡を抜けて、太平洋に入った時は、台湾の東側を南下して台湾とフィリピンの間のバシー海峡を抜けて南シナ海に入っている。中国は空母を持ったことによる自信とミサイルが相まって第一列島線を越えて第二列島線までは自分たちの影響下にあると行動で示している。
現段階において中国は太平洋の西側が米国で東側が中国の管轄であるとの意識を持っている。今世紀半ばまでに世界一流の軍隊になると言ってはいるものの、世界一になるとは一言も言っていない。東側については米国に干渉してこないでほしいというのが中国の本音である。
総合的には軍事力では米国の方がまだまだ強いのは確か。ただし現在のところ日本と中国では中国の方が圧倒的に強い。中国は日本に対して圧倒的な海軍力の優位性を感じており、もしかして日本を攻撃しても同盟国・米国は出てこないのではないかということまで言い始めている。既に中国は尖閣上陸に関していろんなカードを考えている可能性がある。
中国の基本的戦略のひとつは日米同盟を離反させることであり、米国が中国に対して厳しくなると必ず中国は日本に近づいてくる。日本が日米同盟、米国に対してできる最大の貢献は日本の防衛は日本自身でしっかりやるということだが、CSBAレポートは実は日本が自分で守れない状態にあるのではないかとし、米国が日米同盟継続に関して消極的な態度を引き起こす可能性があると指摘している。
そうなれば中国の思う壺で「中国が尖閣諸島を4日以内に占領する」というシナリオが現実化するかもしれない。CSBAのレポートの中には、中国の軍事専門家らが雑誌「現代艦船」に連載した中国の恐るべき尖閣諸島上陸シナリオが引用されている。それによると「海保の船が尖閣諸島海域にいる中国海警の艦船を銃撃する。これに対し、中国海軍の護衛艦が急行し日本側を攻撃し、日中が尖閣を中心に戦闘態勢に入るが、米国が日米安保の発動を拒否し、その後、日本と中国が宮古海峡の西側で短期間だが致命的な戦争を行い、衝突が始まってから4日以内で中国軍が尖閣諸島に上陸する」という筋書きが書かれている。現在のところ、そうならないように日本は米国と緊密な関係をキープしていくしかない困った状況にある。
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