米中対立激化の中で日本は(5月30日)
新型コロナ拡大については中国に対する配慮から、パンデミック宣言を出すのが遅れたWHO(世界保健機関)の責任を問う声もあるが、トランプ大統領は「中国に偏向し過ぎている」との理由でWHOからの脱退を決め、拠出している資金を別の衛生分野に充てる考えを明らかにした。この同じタイミングで中国・李克強首相は、米国が抜け日本が主導するTPPへの積極的な参加意欲を示し始めたことが気がかりである。
さらに香港をめぐり中国が「国家安全法」を採択したことについて、トランプ大統領は、中国人留学生3000人以上の追放を検討するなど、中国に対する制裁を発表した。...
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新型コロナ拡大については中国に対する配慮から、パンデミック宣言を出すのが遅れたWHO(世界保健機関)の責任を問う声もあるが、トランプ大統領は「中国に偏向し過ぎている」との理由でWHOからの脱退を決め、拠出している資金を別の衛生分野に充てる考えを明らかにした。この同じタイミングで中国・李克強首相は、米国が抜け日本が主導するTPPへの積極的な参加意欲を示し始めたことが気がかりである。
さらに香港をめぐり中国が「国家安全法」を採択したことについて、トランプ大統領は、中国人留学生3000人以上の追放を検討するなど、中国に対する制裁を発表した。これに台湾・蔡英文総統も「香港人の在留、居住など台湾は資金や資源を提供し支援する」との声明を発表し、米国・英国・カナダ・オーストラリアも共同で「香港市民の自由を損ない、香港の自治を大きく奪うことになる」と中国を非難するなど、中国包囲網を構築している。
米国はここのところ台湾との距離を急速に縮めており、世界第1位の台湾シリコンファウンドリであるTSMCが中国・ファーウェイからの注文を今後受けないこととなった一方で、米国・アリゾナに半導体工場を建てることが大きな話題として伝えられている。
日本は「国家安全法」制定については民主主義国家として声を上げるべきだったが、残念ながら声明を出すタイミングを逸した。どうやら日本は習近平国家主席を国賓として迎えることに未だにこだわっているように見える。内向きのベクトルの米国と外向きのベクトルを持っている中国、その狭間にあって日本が今後、どうしていくのかが問われる局面に来ている。
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今、米国で何が起こっているのか(5月30日)
米国では新型コロナウイルスの死者数が遂に10万人を超え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、仕事を失った人が申請した失業保険の件数は非常事態宣言が出された3月中旬からの合計で4000万件を超えた。こうした中、トランプ大統領は自身が所有するバージニア州のゴルフクラブでゴルフをプレーした。さらにメリーランド州では戦没将兵を追悼するメモリアルデーに参加したが、マスクもせずに参列した。
大統領選でトランプ大統領と戦うことになる民主党・バイデン前副大統領はキャンペーン動画を公開した。...
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米国では新型コロナウイルスの死者数が遂に10万人を超え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、仕事を失った人が申請した失業保険の件数は非常事態宣言が出された3月中旬からの合計で4000万件を超えた。こうした中、トランプ大統領は自身が所有するバージニア州のゴルフクラブでゴルフをプレーした。さらにメリーランド州では戦没将兵を追悼するメモリアルデーに参加したが、マスクもせずに参列した。
大統領選でトランプ大統領と戦うことになる民主党・バイデン前副大統領はキャンペーン動画を公開した。この動画では新型コロナの患者に対応する医療従事者の映像とゴルフをプレーするトランプ大統領の映像が交互に編集され、「10万人近くが命を落とす中、大統領はゴルフに時間を費やしている」と痛烈に批判している。
トランプ大統領は、新型コロナウイルスに対してはワクチンの早期開発・供給を目指す、「ワープ・スピード作戦」を発表し、早期の解決を目指す一方で失業者4000万件という数字が重くのしかかっている。今後、米国の失業率はさらに高まる可能性があると指摘されている。トランプ大統領にとって経済再生は再選の鍵であるが、経済回復への見通しはなかなか厳しいものがある。トランプ大統領が、マスクの着用やソーシャルディスタンスを守らなかったりするのも、11月8日までにコロナ前の好調な経済に戻す必要に迫られている苛立ちが態度に出ているとみるべきである。
トランプ大統領は現在置かれている不利な状況を打開するために、中国叩きに狙いを定めており、「新型コロナウイルスは中国・武漢市のウイルス研究所から流出した可能性がある」とのキャンペーンを展開し、中国叩きに躍起になっている。これには感染拡大の責任追及をかわそうという狙いもある。
トランプ大統領にとってタイミングの良いことに、香港に対する統制を強めたい中国が「国家安全法」を制定したため、トランプ大統領は早速これに食いついた。中国に対する制裁措置として、これまで香港に認めてきた貿易などの優遇措置を停止し、当局者に制裁を科す方針を発表した。今後、大統領選の状況も見据えつつファーウェイ問題や台湾問題、ウイグル問題など矢継ぎ早に中国が嫌がるカードを切っていくとみられる。中国がこうした動きにどう対処するのか注目が集まっている。
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米司法省、朝中の33名を起訴(5月30日)
米国司法省は28日、朝鮮貿易銀行がマネーロンダリングをしたとして、28名の北朝鮮人と5名の中国人を起訴した。対北朝鮮制裁違反事件としては最大規模のものである。
報道によると、朝鮮貿易銀行と中国やロシアにある朝鮮貿易銀行の支店が、250のダミー会社に支払ったようにして処理した金額は25億㌦にのぼり、北朝鮮の核兵器の開発のための資金となっていた。このようなマネーロンダリングは2013年から始まっており、今年の1月まで続いていた。...
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米国司法省は28日、朝鮮貿易銀行がマネーロンダリングをしたとして、28名の北朝鮮人と5名の中国人を起訴した。対北朝鮮制裁違反事件としては最大規模のものである。
報道によると、朝鮮貿易銀行と中国やロシアにある朝鮮貿易銀行の支店が、250のダミー会社に支払ったようにして処理した金額は25億㌦にのぼり、北朝鮮の核兵器の開発のための資金となっていた。このようなマネーロンダリングは2013年から始まっており、今年の1月まで続いていた。2015年以降、米国はすでにいくつかの口座を凍結し、6300万㌦を没収している。
33名はマネーロンダリングなど10近い罪状で訴えられている。起訴された者の多くは銀行員で、朝鮮貿易銀行の2名の前頭取や2名の前副頭取も含まれている。うち1名は朝鮮の情報機関でかつて仕事をしていた。
米国の北朝鮮問題の専門家は、誰を引き渡すのか、いくら没収されるのかなどで、北朝鮮にとって大きな打撃となるだろうと語った。ロイター社はこれによって、米朝関係がさらに悪化し、米朝首脳による非核化のための交渉は一層膠着状態に陥り、両国の摩擦はさらに激化するだろうとみなしている。米国の国務省と財務省は先月北朝鮮の違法行為に警告を発しており、とくに北朝鮮が金融領域で、数年にわたってハッキングなどで、資金を盗んでいる、としていた。
ロイターによると、北朝鮮の外交部は29日、「米国が核やミサイル、人権問題に加えて北朝鮮がマネーロンダリングをしているということで、朝鮮の名誉を毀損し、朝鮮を動揺させようと企図するものだ」との声明を発表した。中国の外交部の趙立堅報道官は29日に「中国は、米国が国内法を根拠として、中国の組織や個人を弾劾しようとすることに断固反対する」と述べている。
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応酬・中国・米国制裁なら「断固反撃する」(5月26日)
中国で開かれている全人代・全国人民代表大会では香港の「国家安全法」を審議した。
米国のオブライエン大統領補佐官は「国家安全法」が導入された場合、中国政府関係者らに制裁を科すことなどを示唆している。
中国外務省はこれに対し「香港問題に米国が指図する資格はない」と反発した。
米国が中国の利益を損なうのであればあらゆる必要な措置を講じ断固反対すると対抗措置を取る姿勢を示した。
米国政府高官・中国に対し制裁示唆(5月25日)
米国政府の高官は、中国が香港の治安維持のための法律を制定すれば制裁を科す可能性があることを示唆し、警告した。
米国では、去年、香港人権法が成立し、国務長官が毎年、香港の現状を議会に報告し、高度な自治が失われたと判断した場合、通商上の優遇措置の停止や当局者への制裁を行うことができる。
米国・オブライエン大統領補佐官は「現状では、中国がこの法律を制定すれば、香港で高度な自治が維持されているとポンペイオ国務長官が認めるのは難しいだろう」と述べた。...
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米国政府の高官は、中国が香港の治安維持のための法律を制定すれば制裁を科す可能性があることを示唆し、警告した。
米国では、去年、香港人権法が成立し、国務長官が毎年、香港の現状を議会に報告し、高度な自治が失われたと判断した場合、通商上の優遇措置の停止や当局者への制裁を行うことができる。
米国・オブライエン大統領補佐官は「現状では、中国がこの法律を制定すれば、香港で高度な自治が維持されているとポンペイオ国務長官が認めるのは難しいだろう」と述べた。
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