脳を訓練・記憶の衰えを防ぐ(6月22日)
高齢化が進む日本から注目を集める研究をイスラエルのベンチャー企業が続けている。特殊な機械で脳を訓練して記憶力の衰えを防ぐというシステムを開発した。
ITビジネスの先進地、イスラエル。開発を進めるベンチャー企業を立ち上げた医師がこの日、研究に参加したのは70代の女性で、記憶力が衰え始め、生活に不安を感じている。
取り着けたのは脳の働きをグラフで表す脳波計。システムではアルファ波と呼ばれる脳波の成分のみを抽出。...
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高齢化が進む日本から注目を集める研究をイスラエルのベンチャー企業が続けている。特殊な機械で脳を訓練して記憶力の衰えを防ぐというシステムを開発した。
ITビジネスの先進地、イスラエル。開発を進めるベンチャー企業を立ち上げた医師がこの日、研究に参加したのは70代の女性で、記憶力が衰え始め、生活に不安を感じている。
取り着けたのは脳の働きをグラフで表す脳波計。システムではアルファ波と呼ばれる脳波の成分のみを抽出。認知機能が低下すると、アルファ波の頂点の値が低くなるというふうにいわれている。
この値を上げようというのがシステムのねらい。被験者には、脳波計を着けたまま動画を見てもらう。アルファ波の値が基準値より低くなると画面が暗くなる。基準値より高くなると明るくなる。
暗い画面にストレスを感じた脳は画面を明るく保とうとアルファ波の値を高める方法を自然に学んでいく。被験者は週2回30分ずつ3か月間取り組む。認知機能を測る試験の結果、訓練を始める前と比べてスコアが改善していた。
このシステムは高齢化が進む社会の課題解決につながるとして日本の経済産業省主催のコンテストで優勝している。
実用化を目指し研究を進めている。こうした脳波の出し方をトレーニングして治療などに応用しようという研究は日本の大学でも行われていて今注目集めている分野である。
紹介したシステムでは、今後、多くの人に効果があるかどうか研究を進めていくという。
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防衛省・AI搭載の無人機開発へ(6月14日)
航空自衛隊の次期戦闘機の開発に合わせ、防衛省は、戦闘機と離れた空域を飛行して早期に危険を探知するAIを搭載した無人機の開発も進める方針である。
防衛省は、無人機が天候や地形に合わせて自律的に飛行できるようにするため、AI技術の高度化に向けた研究費用を来年度予算案の概算要求に盛り込むことにしていて、次期戦闘機と同じ2035年ごろの配備を目指している。
TSMC熊本で半導体工場検討(6月11日)
半導体受託生産の世界最大手、台湾のTSMCが日本で初めてとなる半導体工場を熊本県に建設する検討に入った。
日本は経済安全保障の観点などから国内で半導体産業の再考を目指していて、最先端技術を誇るTSMCの誘致が実現すれば大きな追い風となる。
日本が直面する難問を一挙に解決する(6月5日)
ロボティクス、自動化、クラウド、AI、ビッグデータなどの最先端技術を援用しつつ国、社会全体を高機能にするためのムーブメントがこれから地球規模で起こってくる。
今後、超高齢化社会に直面することになる日本にとって、最も深刻な問題となるのが介護問題である。
介護問題を最先端テクノロジーで解決することができるようになれば、介護、人材不足、家族関係など社会問題の解決とテクノロジーの開発を同時に満たすことができ、しかも、そこで培った技術と製品を高齢化社会を迎える国々にパッケージで提供することができる。...
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ロボティクス、自動化、クラウド、AI、ビッグデータなどの最先端技術を援用しつつ国、社会全体を高機能にするためのムーブメントがこれから地球規模で起こってくる。
今後、超高齢化社会に直面することになる日本にとって、最も深刻な問題となるのが介護問題である。
介護問題を最先端テクノロジーで解決することができるようになれば、介護、人材不足、家族関係など社会問題の解決とテクノロジーの開発を同時に満たすことができ、しかも、そこで培った技術と製品を高齢化社会を迎える国々にパッケージで提供することができる。
例えば、施設ごと、街ごとに介護ロボットがうまく機能できるように予め設計することができれば理想的である。紙パンツなどもロボットの動きと、うまくシンクロするように作られてくる。
例えば、その日の老人の体調に合わせた食事がひとりひとりに全自動で運ばれてきて、入浴やトイレもボタン一つ押せば連れて行ってもらえる。
問題の排泄時も自動的に下着を脱がすようにプログラムされていれば、相手はロボットなので介護される人の心が傷つけられることもない。
AIセンサーでその日の老人の体調を判断し、必要となれば病院に自動送迎することもできる上、AIプログラムが老人の話し相手にもなってくれる。
誰でも老化するという確実に起きる未来に向けて日本の限られた資源とエネルギーと才能を使っていくことが日本の将来にとって有益となると考えるが夢物語ではないはずだ。
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次世代・半導体産業復興に大きく踏み込んだ日本(6月5日)
米中対立の激化によって時代は、経済と安全保障がカップリングした経済安全保障にシフトしている。これからの世界の鍵を握るのは経済安全保障の8つの主要分野である。
具体的には半導体、AI、高速通信規格、ビッグテータ、量子コンピューター、サイバーセキュリティー、金融、ワクチンを含むバイオテクノロジーである。このうちの半導体について今、日本政府が大きくアクセルを踏み込み始めた。
経済産業省が4日、国家事業として半導体事業にてこ入れする「半導体・デジタル産業戦略」計画を打ち出した。...
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米中対立の激化によって時代は、経済と安全保障がカップリングした経済安全保障にシフトしている。これからの世界の鍵を握るのは経済安全保障の8つの主要分野である。
具体的には半導体、AI、高速通信規格、ビッグテータ、量子コンピューター、サイバーセキュリティー、金融、ワクチンを含むバイオテクノロジーである。このうちの半導体について今、日本政府が大きくアクセルを踏み込み始めた。
経済産業省が4日、国家事業として半導体事業にてこ入れする「半導体・デジタル産業戦略」計画を打ち出した。先月には安倍前首相と麻生副総理兼財務大臣を最高顧問に迎え「半導体戦略推進議員連盟」を発足させるなどしていることからも、経済産業省の本気度が窺える。
1980年代後半には日本は電子立国の看板を掲げ、半導体市場の5割を占めていたが、日米半導体戦争に敗北して以来失速し、現在のシェアは1割程度に留まっている。主要企業もソニー、キオクシア、ルネサスエレクトロニクス、東京エレクトロンと数えるほどしかない。
デジタル庁の発足と、台湾の世界的半導体ファウンドリー・TSMCの開発部門のつくば市への誘致をきっかけにして、半導体を日本の成長産業につなげていきたい思惑が見える。
TSMCが日本に設けるのは製造拠点ではなく、あくまでも研究開発拠点だが、経産省はTSMCにシリコンウエハーなどの半導体材料や製造装置という日本の切り札をちらつかせることで、近い将来の半導体インフラ構築につなげたいと考えているように見える。
その中でナノスケールの超小型化技術の開発や新しい産業ニーズに合ったコンセプトクリエーションやアーキテクチャー作りにも踏み込んでいきたい狙いもある。
先行きは不透明で、実際に踏み出してみないとわからない部分がある。例えば台湾に本拠地があるTSMCが中国に乗っ取られることや、資金面においてのリスクも覚悟しなくてはならない。
しかし、これからの自動車業界の主役を担うEVや高度なデジタル化の動きや、テレワークの普及などで今後、高性能な半導体の需要はますます高まることが予想される中で、日本が半導体に再びチャレンジしていくことは必然的選択と考えられる。
ただし、その道もかなり厳しいものとの覚悟が肝要である。
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