サーモスフィア(熱圏)の衛星網の状況(2月1日)
高度約300キロから1350キロの低軌道に飛ばす衛星網はLEO(低軌道:Low Earth Orbit)コンステレーションと呼ばれる。
イーロンマスク率いる「スペースX」は累計1841機もの衛星を打ち上げ、スターリンクと呼ばれるLEOコンステレーションを形成している。このコンステレーションを用いたスターリンクプロジェクトは、基地局がない世界中の山間部や砂漠地帯、過疎地などに向けて電波を送り、高速・低遅延でインターネット接続を可能にするものである。...
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高度約300キロから1350キロの低軌道に飛ばす衛星網はLEO(低軌道:Low Earth Orbit)コンステレーションと呼ばれる。
イーロンマスク率いる「スペースX」は累計1841機もの衛星を打ち上げ、スターリンクと呼ばれるLEOコンステレーションを形成している。このコンステレーションを用いたスターリンクプロジェクトは、基地局がない世界中の山間部や砂漠地帯、過疎地などに向けて電波を送り、高速・低遅延でインターネット接続を可能にするものである。
日本では昨年9月、このスターリンクプロジェクトと「KDDI」が提携して話題になった。
「KDDI」はスターリンクシステムを携帯電話網のバックホールに利用しようと考えているようだ。
気になるのはスターリンクのLEOコンステレーションのうち、既に100機が軌道から外れており、近く50機も軌道から外れるという話が出ていることである。
さらに「スペースX」の衛星打ち上げ頻度が減っていることも「何らかの不具合があったのではないか」などと、様々な憶測を呼んでいる。
一方で「スペースX」は米国・カルフォルニア州にある人工衛星のスタートアップ企業「スウォームテクノロジーズ」の121機を買収したことが話題を呼んでいる。
「スウォームテクノロジーズ」の衛星の特徴はVHFバンドを搭載していることであり、アンテナを使ってIoTサービスを展開しているという。
これらの衛星を使ってイーロンマスクが何をしようとしているのかは現時点では予測がつかない。
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ステイホーム時代の落とし穴(1月15日)
テレワーク時代にPCは必需品である。テレワーク人口の増加に伴い、テレワーク中のトラブルがいくつも出てくるようになった。パソコンの自動更新が勝手に始まり、更新の後今までの動作がしなくなってしまうというのもそうしたトラブルのひとつに挙げられる。
それによって、ネットワークが繋がらなくなり、期限付きの仕事に間に合わなくなるなど業務に支障が生じるケースも多くなっている。
更新する理由について、ソフトウエアーの制作元はセキュリティリスクを抑えたり、脆弱性をフォローアップしたり、使い勝手を良くするためだとしているが、その頻度が確かに多すぎるし、新たなソフトウエアーに致命的な不完全箇所が生じると、その影響は計り知れないものが出てくる。...
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テレワーク時代にPCは必需品である。テレワーク人口の増加に伴い、テレワーク中のトラブルがいくつも出てくるようになった。パソコンの自動更新が勝手に始まり、更新の後今までの動作がしなくなってしまうというのもそうしたトラブルのひとつに挙げられる。
それによって、ネットワークが繋がらなくなり、期限付きの仕事に間に合わなくなるなど業務に支障が生じるケースも多くなっている。
更新する理由について、ソフトウエアーの制作元はセキュリティリスクを抑えたり、脆弱性をフォローアップしたり、使い勝手を良くするためだとしているが、その頻度が確かに多すぎるし、新たなソフトウエアーに致命的な不完全箇所が生じると、その影響は計り知れないものが出てくる。
有無を言わせずに強制的に更新が開始され、一旦、始まってしまうと、少なくとも1時間は当該PCで仕事をすることができなくなることもある。このため、ネガティブなイメージを持ってしまう人も多いと想像する。
ただ、アップデートを行わずにサイバー攻撃被害にあった場合にはソフト会社の公式サポートを受けることはできなくなる。サイバー攻撃に遭うリスクを考えれば、自動更新は仕方がないと達観するしかない。
今はIoT時代である。PCだけでなくスマートフォンもやがて来るEVもネットにつながり自動更新が必須である時代となっている。毎日我々の皮膚は新しく入れ替わっていくが、それと同様に生理現象的なイメージで「更新」をとらえていく必要があるのかもしれない。
それにしても、その「更新」の在り方については、今後深く考察し方向性を決めてゆく必要が出てきたと感じる。
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核融合発電の可能性(12月13日)
「核融合」はCO2を排出せず、原子力発電に比べて、事故も起こりにくく、高レベル放射性廃棄物も出ない。燃料も海水から調達できる。
人類にとっての夢のような「究極のエネルギー」、それが「核融合」である。それは太陽を地上に再現する技術とも呼ばれ、われわれはこの技術をどこか遠い未来の技術かのように捉える傾向にある。
ところが、世界には日本を含めすでに30社を超える核融合スタートアップがあると言われ、実現に向けて競い合うように動き始めていて、日本は出遅れている。...
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「核融合」はCO2を排出せず、原子力発電に比べて、事故も起こりにくく、高レベル放射性廃棄物も出ない。燃料も海水から調達できる。
人類にとっての夢のような「究極のエネルギー」、それが「核融合」である。それは太陽を地上に再現する技術とも呼ばれ、われわれはこの技術をどこか遠い未来の技術かのように捉える傾向にある。
ところが、世界には日本を含めすでに30社を超える核融合スタートアップがあると言われ、実現に向けて競い合うように動き始めていて、日本は出遅れている。
電動車が街で走り始めるようになる2030年代初頭での稼働を目標に掲げる商業用核融合炉「アーク」は2018年設立の米国・MIT(マサチューセッツ工科大学)発の核融合ベンチャーのCFS(コモンウェルスフュージョンシステムズ)が開発したものである。
「アーク」は軸対称な環状 [ドーナツ状] 磁場によって高温のプラズマを閉じ込めるトカマク方式の核融合炉であり、同社は20テスラという同分野で世界最高レベルの磁場を発生させることにも成功している。
支えているのはイタリアのエネルギー大手エニのほか、マイクロソフト共同創業者のビルゲイツやグーグルなどで現在の、累計調達額は20億ドルである。
ゲイツは核融合や小型原発に投資しまくっているだけでなく、蓄電池、再工ネの新技術にも投資している。こうした投資を行う最大の動機は、世界の貧困層の人たちに競争力のある安全な電気を届けることだという。社会的使命感に駆られて動いているのがビルゲイツという人物かも知れない。
原発の事故等で核融合への興味を失ってしまった日本であるが、日本版核融合スタートアップも一つの可能性としてはどうだろうか。
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世界半導体戦争の行方(12月4日)
コロナ禍でワクチンの奪い合い、新薬の奪い合いなどで、世界の国々の自国ファーストの姿勢が露わになっている。産業のコメ「半導体」においても世界規模で激しい奪い合いが見られるようになっている。
特に米中欧は5兆円から10兆円規模の高額な基金をちらつかせ、世界の有力半導体企業を誘致しようという動きに出ていて、その金額がどんどん積み増しされてきている。
日本もこの潮流に乗り遅れまいと必死になっている。...
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コロナ禍でワクチンの奪い合い、新薬の奪い合いなどで、世界の国々の自国ファーストの姿勢が露わになっている。産業のコメ「半導体」においても世界規模で激しい奪い合いが見られるようになっている。
特に米中欧は5兆円から10兆円規模の高額な基金をちらつかせ、世界の有力半導体企業を誘致しようという動きに出ていて、その金額がどんどん積み増しされてきている。
日本もこの潮流に乗り遅れまいと必死になっている。経済安保の強化を掲げる岸田政権は、米国や中国と比べると大分見劣りするものの、台湾TSMCを熊本に誘致し、数百億円規模の基金を創設する方針を固めた。工場立地に必要な資金や設備投資を複数年にわたり援助していく意向である。
TSMCは政府からの補助金以外にもNEDOからの支援を受けた金融機関から低金利で融資を受けることもできる。ただし、計画に違反があった場合には返還を求められるという。
それにしてもTSMCはなぜ基金の額が少ない日本への進出を決めたのだろうか。
TSMC幹部によれば彼らが日本進出にあたって重視しているのは、日本人のメモリー系設計エンジニアで、現段階ではそれ以上のことはわからない。最先端ではない工場を持って来ることだけは間違いない。
TSMCが日本に持って来る工場は回路線幅45ナノの半導体である。一方、米国・アリゾナではスマホなどに使われる10ナノの先端半導体を想定している。アリゾナへの誘致は米国政府の強い圧力によるもので自主的なものではないようである。
TSMCは最先端の2ナノの製造は台湾で行うという。TSMCは28ナノの工場を中国にも持っている。
こうしたことから台湾政府の意向とは別にTSMCは自らの思惑で動いているとみた方が自然かも知れない。ビジネスの論理で動いている企業と経済安全保障に組み込みたい政府の思惑はどこまで一致するのか、この先も不透明である。
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米中AI競争の先行き(11月20日)
2021年5月11日に、ニコラスシャラン(米国空軍初代ソフトウエア責任者)は米国の民主的手続きがボトルネックとなり、技術革新が進まないため、AI分野において「米国は今後15年から20年間、中国との競争で勝てる見込みはない。既に勝負は決着している」と敗北宣言を出した。
今後はAIを使ったドローン兵器など中国が多用してくる可能性があるため、日本にとっては耳を疑う発言であった。
米国の他のAI分析会社は別の見方をしている。...
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2021年5月11日に、ニコラスシャラン(米国空軍初代ソフトウエア責任者)は米国の民主的手続きがボトルネックとなり、技術革新が進まないため、AI分野において「米国は今後15年から20年間、中国との競争で勝てる見込みはない。既に勝負は決着している」と敗北宣言を出した。
今後はAIを使ったドローン兵器など中国が多用してくる可能性があるため、日本にとっては耳を疑う発言であった。
米国の他のAI分析会社は別の見方をしている。ベンチャーキャピタル「サンダーマークキャピタル」はAIの研究開発におけるもっとも重要な3要素である「アルゴリズム」「ハードウエア」「ビッグデータ」のうち、アルゴリズムとハードウエアについてはすくなくとも今後数年は米国が中国より優位に立っていると分析している。ただ14億人のデータを活用した「ビッグデータ」においては米国の力は中国より劣勢になるとしている。
中国国務院は「2025年までに人工知能の基礎理論において重要な突破口を開き、一部技術と応用において世界を牽引する水準に到達する」とし、2030年までに「人工知能理論、技術と応用において総合的に世界を牽引する水準となり、世界の主要AIイノベーションセンターとなる」という長期戦略を立てている。
しかし、中国のAI研究開発に必要となる関連技術や開発支援ツールの多くは米国で開発されたものを使用しており、特に半導体開発技術については米国の技術に大きく依存しており、米中覇権争いが表面化したことで、その脆弱性が指摘されている
端的にいえば、中国のAI技術の裏側を突く隙間を米国はたくさん知っているということになる。
先端的なAI技術を持つ中国のAI兵器は今後、日本にとっての脅威となることは確実であるが、対抗策としてはサイバー攻撃、レーザー兵器となるとみられる。米陸軍が実証実験したところ、高エネルギーレーザー兵器等によってAIドローン兵器の迎撃に成功したとの実験結果が出ており、尖閣にAIドローンで上陸を試みると予想される中国に対する日本の有効な打ち手として期待される。
レーザー兵器は、巡航ミサイルや極超音速ミサイルにも有効であると言われており防衛分野で日本が予算を割くべきポイントと言えるかもしれない。
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