トランプ政権は、中国に対し更なるプレッシャーをかける(12月7日)
中国はデジタル人民元の設計、開発、発行を視野に入れ、その整備を急いでいる。その背景には米国に取引内容を筒抜けにされてしまうドルの支配から一刻も早く抜け出し、人民元を将来的にドルに代わる基軸通貨に据えたいという思惑がある。米国は現在、デジタル通貨とは距離を置いており、今後5年間程度はデジタル通貨の発行を不要と考えている。第2次大戦後、ドルを唯一の金本位通貨とし、各国通貨の為替レートをドルとの間で固定するブレトンウッズ体制のもとでドル基軸通貨体制は始まった。...
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中国はデジタル人民元の設計、開発、発行を視野に入れ、その整備を急いでいる。その背景には米国に取引内容を筒抜けにされてしまうドルの支配から一刻も早く抜け出し、人民元を将来的にドルに代わる基軸通貨に据えたいという思惑がある。米国は現在、デジタル通貨とは距離を置いており、今後5年間程度はデジタル通貨の発行を不要と考えている。第2次大戦後、ドルを唯一の金本位通貨とし、各国通貨の為替レートをドルとの間で固定するブレトンウッズ体制のもとでドル基軸通貨体制は始まった。1973年に変動相場制へ移行した後も実質的にドルが基軸通貨の役割を果たしている。1948年から1951年まで実施されたマーシャルプラン等によって世界にドル決済が広まり、ドルの信認が厚くなったことで現在のドル体制が確立された。米国としては将来的にもずっとドル体制を維持していきたい構えである。中国がデジタル人民元を発行すれば、世界初のデジタル通貨発行国となり、基軸通貨としてのドルの優位性が揺らぐリスクもあり、これを静観していることは考えられない。今後ありとあらゆる方法を使い米国は中国の影響力をこれ以上拡散しないよう抑え込んで行くとみられる。
例えば米国は「中国政府は少数民族であるチベット族やウイグル族を弾圧しており、これは重大な人権侵害にあたる」と国際社会に訴えることによって中国包囲網を構築し、中国の信頼を下げている。特に今、300万、500万人ともいわれる驚くほどの数のウイグル人達が収容施設で強制的に同化させられている実態を米国は問題視している。3日、米国下院は対中制裁も含めた対応を求めていく「ウイグル人権法案」を可決させた。この問題がどんどん拡大していくと中国の信頼を大きく毀損することにつながる。香港デモにおいても武装した警官が一般人を暴力によって制圧していく香港(中国)当局のやり方を問題視し「香港人権・民主主義法」を成立させ、トランプ大統領が署名したことは記憶に新しい。一国二制度を口では許容しておきながら、実際には本土化をハイスピードで進めている中国は信用のおけない国だということを国際社会に知らしめている。台湾では来年1月の総統選で親中派の総統が誕生しないよう米国は蔡英文氏を支援し、中国の影響力が拡散しないよう動いているが、台湾では「中国が中台湾統一に向けて情報工作を進めているのではないか」との危機感が高まっている。こうした中国による不正行為への警戒を呼び掛けるデモが台湾国内で行われ、6月には10万人を集めた。11月には豪州に亡命した男性が台湾でのスパイ行為を暴露し、ニュージーランドもこの動きに連動して中国が介入できないように改正選挙法を可決した。中国は各国に広がる中国人による工作活動への不安の火消しに追われている。ここでも中国は信用を落としている。
ところで米中の攻防の最前線と言っても過言でもないエリアが南シナ海を囲む九段線から東シナ海を通る第一列島線にかけてのライン周辺である。南シナ海において中国は国際社会の意向を無視し、南沙人工島基地群の建設をはじめとした軍事的支配を進めている。また東シナ海においても資源開発を活発化させており,政府として,日中の地理的中間線の中国側で,日本政府に許可なく作られた計16基の構造物が確認されている。このように強引な中国の手法はそのまま中国に対する強い警戒心を抱かせることにつながる。直近のツイッターではトランプ大統領が「世界銀行が中国に融資する必要はないのではないか」と投稿したが、今後、中国に対する米国の姿勢がよりはっきりと表れてくることになり、さらにプレッシャーをかけていくものと思われる。
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ロシア・国の威信をかけて中国へ・パイプライン稼働(12月3日)
米国と対立を深めるロシアが急接近しているのが中国だ。その象徴ともいえる一大プロジェクトが昨日稼働した。ロシアと中国を結ぶ3000キロにも及ぶ天然ガスのパイプラインである。
総工費は日本円で10兆円とも言われている。昨日供給開始を記念する式典が行われ、プーチン大統領と習近平国家主席がビデオ中継で参加しロシアと中国の緊密ぶりをアピールした。
ロシア・プーチン大統領はエネルギー分野での両国の戦略的互恵関係を新たなレベルに引き上げるものだとコメントした。...
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米国と対立を深めるロシアが急接近しているのが中国だ。その象徴ともいえる一大プロジェクトが昨日稼働した。ロシアと中国を結ぶ3000キロにも及ぶ天然ガスのパイプラインである。
総工費は日本円で10兆円とも言われている。昨日供給開始を記念する式典が行われ、プーチン大統領と習近平国家主席がビデオ中継で参加しロシアと中国の緊密ぶりをアピールした。
ロシア・プーチン大統領はエネルギー分野での両国の戦略的互恵関係を新たなレベルに引き上げるものだとコメントした。
中国・習近平国家主席はこのパイプラインは両国のエネルギー分野での協力における代表的なものだとコメントした。
ロシアの天然ガスを中国に輸出するパイプラインは「シベリアの力」と呼ばれる。起点の一つがチャヤンダガス田である。
少ない人数でもガス田が制御できるよう最新システムを構築したという。天然ガス埋蔵量が世界第1位を誇るロシアだが、これまで主な販売先は欧州だったがウクライナ情勢をめぐり関係が悪化していた。
そのためアジア市場、中でも中国に目を向けた。しかし地元では中国にシベリアの資源を奪われるだけだと反発の声が上がっている。それでもパイプラインの完成はプーチン政権の最優先のプロジェクトだという。
エネルギーの専門家・クルチヒンはロシアのガスの供給ルートが新たにアジア方面に開通したと示す必要があったとコメント。ロシアと中国は課題を抱えながらも連携を強めている。
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中国「デジタル人民元」の狙いはどこに(12月2日)
中国の中央銀行が近くデジタル通貨を試験発行するとの観測が浮上した。
「デジタル人民元」の導入を検討する狙いは何か、専門家は「中国はデジタル通貨で国民の経済活動を監視したいのだろう。デジタル人民元が成功すればドルの基軸通貨として地位を脅かすだろう。中国が優れた効率的なものを導入すれば、アフリカ全土が大きな関心を持つ。デジタル人民元の経済圏が形成されれば、米国にとって大きな問題になる」と論評している。
米国国務長官“中国の人権侵害裏付け”(11月27日)
ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)は中国政府の内部文書を公開した。中国がウイグル族を監視する大規模なシステムを構築し、1週間で15000人余りを収容施設に送ったと指摘した。
米国・ポンペイオ国務長官は中国政府の対応を非難し、拘束した人たちを直ちに解放し抑圧をやめるよう改めて要求した。
ポンペイオ長官は中国のウイグル族に対する政策をこれまでも繰り返し非難しているが、中国政府は事実に基づいていないと反発も予想される。
香港区議会議員選挙・民主派圧勝で中国では(11月26日)
香港の区議会議員選挙は18区議会の合わせて450人の議席を巡って争われ、政府に批判的な立場の民主派がすべての議席の80%を超えて圧勝した。
中国のメディアはきのう午後、選挙が行われた事は報道も民主派の圧勝も伝えず、抗議活動を厳しく批判した。
区議会で最大勢力に躍進した民主派の政党のトップはきのう記者会見で、政府に対し、警察の対応を検証する独立調査委員会の設置や行政長官の直接選挙など5つの要求の実現を求めた。...
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香港の区議会議員選挙は18区議会の合わせて450人の議席を巡って争われ、政府に批判的な立場の民主派がすべての議席の80%を超えて圧勝した。
中国のメディアはきのう午後、選挙が行われた事は報道も民主派の圧勝も伝えず、抗議活動を厳しく批判した。
区議会で最大勢力に躍進した民主派の政党のトップはきのう記者会見で、政府に対し、警察の対応を検証する独立調査委員会の設置や行政長官の直接選挙など5つの要求の実現を求めた。
中国報道官も選挙結果について直接の論評を避けた。選挙結果を否定すれば批判はさらに高まることも予想されるため抗議活動への批判に論点を絞っているとみられる。
今回の結果は香港の政治にどう影響するのか?抗議活動の大きな要求の一つは「行政長官を直接選挙で選ぶこと」としていた。なぜなら行政長官選挙は区議会選挙と違い、一般市民に選挙権がなし、業界団体・議員などから選出された「選挙委員」1200人が投票する仕組みになっている。
選挙委員は主に政府寄りの業界団体から選出されている。現在は7割を占める9割近くが親中派、民主派は300人余りである。しかし、今回の結果で、民主派が4割近くになり、行政長官選挙にも影響がでるとみられる。
さらに来年行われる立法会議員選挙も民主化が躍進すれば、民主派がさらに上積みされる可能性がある。それでも過半数確保は困難。選挙制度の変更は中国政府の同意が必要となる。
香港政府が独自にできない。専門家は民主的な選挙はやらせないという中国政府の意思はますます強くなる可能性があるとしている。林行政長官はきょう会見が予定されている。
香港政府が歩み寄りを見せるのかどうかは不透明だが、今後の対応次第では混乱が深まる可能性もあるだけに難しい対応が迫られている。
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