中国“超低価格”EV・人気の秘密(8月19日)
各国が開発にしのぎを削る電気自動車であるが、中国の最新情勢はどうなっているのだろうか。
中国で人気の小型EVだが、最大の売りは日本円でおよそ48万円からという超低価格にある。
安さの秘けつはぎりぎりまで機能を抑えたことだ。バッテリーは低価格の国産品を採用し、走行距離は1回の充電で120キロと短めにした。急速充電には対応していないほか、最も安いモデルでは冷房がついていない。
中国で人気の小型格安EVの生産工場に来ている。...
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各国が開発にしのぎを削る電気自動車であるが、中国の最新情勢はどうなっているのだろうか。
中国で人気の小型EVだが、最大の売りは日本円でおよそ48万円からという超低価格にある。
安さの秘けつはぎりぎりまで機能を抑えたことだ。バッテリーは低価格の国産品を採用し、走行距離は1回の充電で120キロと短めにした。急速充電には対応していないほか、最も安いモデルでは冷房がついていない。
中国で人気の小型格安EVの生産工場に来ている。生産ラインは1日1200台余り100%の稼働率だということだ。
去年7月の発売以来、販売台数は30万台を突破。中国で最も売れているEVになっていて供給が追いつかないほどになっている。この車がつかんでいるのはいわゆる街乗りのニーズだ。
上海に住むこちらの家族はすでに乗用車を持っているが、買い物や子どもの習い事の送り迎え用にと購入を決めた。
一方、安さとは全く違う戦略でブランド化を図るEVメーカーもある。バッテリーの定額サービスでは、日本円で月々およそ1万6000円を支払うことで何度でも充電済みのバッテリーに交換できるというものもある。
交換にかかる時間は最短で3分。EV普及のハードルとなってきた充電時間を大幅に短縮できるとしている。バッテリー交換の設備はこれまでに国内およそ300か所に設置してある。
追加料金を支払えば、指定した時間と場所に車を取りに来てもらいバッテリーの交換やメンテナンスをしてくれるサービスもある。
このメーカーが出荷を始めたのは2018年だ。出荷の販売台数は4万台と前の年から倍増した。中国のEV市場を巡ってはネット検索大手のバイドゥや通信機器大手のファーウェイなど異業種から参入する動きもあって、今後、競争が激しくなりそうだ。
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習近平国家主席の視線の先(8月14日)
創立100年の節目を迎えた中国共産党だが、国内はお祝いムード一色なのかと思いきや、国内にはどことなく不穏な空気が漂っている。
その要因は、中国政府が中国の成長を支えてきたIT企業への締め付けを強化していることに起因している。
アリババ傘下アントグループやTikTokなどは欧米の資本主義ルールに則って成功を収めてきた企業群であるが、「企業は国に報いなければならない」や「民間企業が強くなりすぎてはならない」という中国共産党の思想と、こうした企業の存在との整合性が取れない状況になっており、これを正そうという動きの一環と捉えることができる。...
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創立100年の節目を迎えた中国共産党だが、国内はお祝いムード一色なのかと思いきや、国内にはどことなく不穏な空気が漂っている。
その要因は、中国政府が中国の成長を支えてきたIT企業への締め付けを強化していることに起因している。
アリババ傘下アントグループやTikTokなどは欧米の資本主義ルールに則って成功を収めてきた企業群であるが、「企業は国に報いなければならない」や「民間企業が強くなりすぎてはならない」という中国共産党の思想と、こうした企業の存在との整合性が取れない状況になっており、これを正そうという動きの一環と捉えることができる。
またアントグループに対しては、中国政府がデジタル人民元に本腰をこれから入れていく上で障害となるという判断もあったと見ることもできる。
これまでの欧米的な資本主義のやり方ではまずいと考えた習近平国家主席が、そこから脱却して、デジタル人民元を基軸通貨とした新しい社会主義的な経済市場を作ろうとしているようにも見える。
習近平国家主席の視線の先には、これまで世界標準とされてきた欧米的価値基準とは全く異なる世界が広がって行く可能性がある。
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中国・ベンチャー企業の締め付けを強化(8月7日)
ここにきて中国当局が国内新興ベンチャー企業に対して締め付けを強化している。特にIT系企業に対する中国政府の風当たりが相当厳しくなっている。
国営新華社通信系国営紙・経済参考報はゲームを「精神的アヘン」と批判し、「テンセント」に圧力をかけ、その後、同社は12歳未満の子供に対する全面的なゲーム禁止に踏み切る可能性を示した。
6月にニューヨーク証券取引所で新規株式公開を果たした大手配車サービスの「ディディ」や、2014年に上場済みの「アリババ」も中国当局の規制対象となっている。...
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ここにきて中国当局が国内新興ベンチャー企業に対して締め付けを強化している。特にIT系企業に対する中国政府の風当たりが相当厳しくなっている。
国営新華社通信系国営紙・経済参考報はゲームを「精神的アヘン」と批判し、「テンセント」に圧力をかけ、その後、同社は12歳未満の子供に対する全面的なゲーム禁止に踏み切る可能性を示した。
6月にニューヨーク証券取引所で新規株式公開を果たした大手配車サービスの「ディディ」や、2014年に上場済みの「アリババ」も中国当局の規制対象となっている。
「アリババ」傘下の電子決済サービス「アリペイ」を運営する「アントグループ」の上場が中止に追い込まれたことは記憶に新しいが、同グループは金融データの引き渡しを当局から要求されるなど、厳しい管理下に置かれている。
2030年にもGDPで米国を追い抜こうという中国だが、中国経済に勢いをつけた立役者であるこうした企業群に対して、規制を強化することは、一歩間違えれば、自分で自分の勢いを削ぐに等しい行為である。
中国がこうした強い措置を取るようになった背景には、彼らが中国共産党の1党支配を脅かすほどに大きくなり過ぎたということがある。
中国当局の裏をかいて覇権を争っている米国で上場を果たすというようなことは中国共産党の面子を潰す行為であり、絶対にあってはならないことであったとも言える。
こうした企業を中国は一気に潰すことはしないとみられるが、少なくとも影響力を低下させ、彼らがもっていたビッグデータや技術を国家に移行しデジタル監視国家を構築を目論んでいるものとみられる。
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北京五輪まで半年・中国“感染対策の徹底図る方針”(8月4日)
来年、中国・北京で開かれる冬の五輪の開幕まで半年。開催地として新型コロナウイルスの感染対策をどう進めるか、中国は東京大会も参考にしながら対策の徹底を図る方針である。
中国では、新型コロナの感染が全国各地に拡大の傾向。北京五輪組織委員会・劉玉民部長は「施設ごとに感染対策を策定する」と述べた。
中国政府は、冬の北京大会を感染を抑え込み経済回復を象徴するイベントにしたい考えである。
欧米からは人権問題を理由に外交的なボイコットを呼びかける動きも出ており、同調する動きが広がらないか神経をとがらせている。
中国の今後の動向を読み取る(7月31日)
2008年のリーマン・ショックの際、苦境に陥っていた世界は中国が打ち出した4兆元によって救われた。北京五輪も開催したこの年から中国の爆発的経済成長が始まった。
2010年GDPで中国は日本を追い抜き、世界第2位に躍り出た。技術的・経済的にはあまり成果も生まなかった東京五輪を尻目に2022年の冬季北京五輪ではデジタル人民元を大々的にお披露目し、5Gなどハイテク通信技術でも圧倒的優位性を誇示する可能性も感じさせ、更に中国は2027年から2030年までには米国を追い抜き、世界第1位になると言われている。...
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2008年のリーマン・ショックの際、苦境に陥っていた世界は中国が打ち出した4兆元によって救われた。北京五輪も開催したこの年から中国の爆発的経済成長が始まった。
2010年GDPで中国は日本を追い抜き、世界第2位に躍り出た。技術的・経済的にはあまり成果も生まなかった東京五輪を尻目に2022年の冬季北京五輪ではデジタル人民元を大々的にお披露目し、5Gなどハイテク通信技術でも圧倒的優位性を誇示する可能性も感じさせ、更に中国は2027年から2030年までには米国を追い抜き、世界第1位になると言われている。
急速な経済成長、人口、軍事力をばねにして、「一帯一路」、「AIIB」で、世界的な影響力を拡大している中国は14億人市場を武器に経済的にも他国に影響力をちらつかせ、東アジア地域的包括的経済連携(RCEP)を立ち上げるなど、影響力を行使するための仕掛けを着々と考えている。
環境分野でも中国は主導権を発揮しようとしており、ガソリン車では日本に勝ち目がないことを知り尽くしている中国は、EVや再生可能エネルギー関連で中国の部品なしでは立ちいかないような仕組みを欧州と組んで、したたかに作りあげようとしている。
軍事力も中国は年々増加させている。陸海空サイバー宇宙電磁波領域と活動領域を押し広げている。米ロの軍縮の影に隠れ中距離ミサイルもここ20年の間に2.7倍も増やしてきた。ステルス戦闘機や空母など武器の近代化も着々と進め、海警などを人民解放軍傘下に組み込んで、尖閣にも上陸するかのような強硬姿勢を見せている。4隻目の空母は原子力空母となるとみられているが、原子力潜水艦の建造も時間の問題と言われている。
中国はまた宇宙開発も貪欲に進めている。2022年には中国初の有人宇宙ステーションを完成させる予定だが、宇宙ステーションを軍事目的に使用するのではないかと懸念もされている。さらに衛星破壊兵器(ASAT)も多数開発しており、月面開発に乗り出したのも月を宇宙における軍事拠点にするのではないかとの見方が出ているほどである。
中国は毛沢東時代からの夢で世界を赤化するという夢を持っているが、実際に全世界に中国人を送り込み、孔子学院のような組織を通じて世界の中華化を図っている。大胆なことに中国復旦大学をハンガリーに建設しようと中国は目論んだが、建設直前になってハンガリー国民がこれにNOを突き付けたという事例もある。
中国はマスク外交やワクチン外交など様々な手法で世界中に影響力を伸ばしていることは間違いない。その触手は国際機関にまで及んでいる。国連にはFAO(国際連合食糧農業機関)、UNIDO(国際連合工業開発機関)、ITU(国際電気通信連合)など15の専門組織があるが、中国は中国人や中国の息がかかった人物を国連専門機関の長に就かせることによって、中国の意向を反映させる戦略を持っているように見える。
ASEANの多くの国々を中国寄りにしようとし、追随国の中から率先してデジタル人民元を使わせることになるかもしれない。当然のことながら中国に都合のよい法律をアジア地域に押し付けてくる可能性もある。
こうした状況の中、日本にとっては中国が台湾海峡でどういう行動を起こしてくるかが喫緊の課題となっている。中国は2027年までに台湾を何らかの形で併合し、第1列島線から米国の影響力を駆逐するという動きに出てくることは確実である。既に台湾を威嚇するために台湾に武力侵攻した場合のシミュレーション動画を発表しており、準備段階に入っているようにも見受けられる。
日本と台湾とは同盟関係にはないので、日本に台湾を防衛する義務はないが、与那国島まで110キロ、石垣島まで200キロ、宮古島まで300キロ、沖縄本島ですら600キロしか離れていないことが気がかりである。
中国が台湾に武力侵攻する場合には必ず広範囲な海上封鎖をかけるが、これによって沖縄本島まで含めた日本の南西諸島と国民が中国の軍事的コントロール下に置かれることになる。
これは国民の生命・財産の侵害にあたる。台湾有事の際、日本は日本の防衛として対処しなければいけないということを中国に分からせておく必要がある。そのために日本の防衛力を今から準備しておく必要があるのではないか。
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