米中協議続ける(5月20日)
17日から2日間の日程で始まった米中通商協議だが、ホワイトハウスは19日、米国両国の共同声明を発表し、米国の貿易赤字を大幅に削減するため、中国向けの農作物やエネルギーの輸出を増やすことで一致したことを明らかにした。
米国が問題視している“知的財産侵害”を巡っては、中国が「特許関連を含め、法律や規制の修正を進める」と明記し、関連の法律や規制の改正を進めるとしている。
米国側が求めてきた対米貿易黒字2000億ドルの削減を含め、具体的な数値は一切盛り込まれておらず、、両国は具体策の協議を続けるとしている。
米中2度目の通商会議開催(5月19日)
(米中2度目の通商会議が開催)
米中貿易摩擦回避に向けて2回目の米中通商協議がワシントンで開かれている。中国側からは習近平国家主席の経済ブレーンであるリュウカク副首相、米国側からはムニューシン財務長官、ロス商務長官が参加している。今回の会談における焦点は3つあり、1つ目は米国の対中国における巨額貿易赤字を削減できるのかどうかということ。2つ目はIT、工作機械・ロボット、電気自動車(EV)など重点10分野を軸に次世代化を加速する「中国製造2025計画」の扱いについてで、これは米国の安全保障にも関わっているとの理由で米国側は中国ハイテク産業への不当な補助金の即時停止を求めているが、中国側はこれを拒否している。...
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(米中2度目の通商会議が開催)
米中貿易摩擦回避に向けて2回目の米中通商協議がワシントンで開かれている。中国側からは習近平国家主席の経済ブレーンであるリュウカク副首相、米国側からはムニューシン財務長官、ロス商務長官が参加している。今回の会談における焦点は3つあり、1つ目は米国の対中国における巨額貿易赤字を削減できるのかどうかということ。2つ目はIT、工作機械・ロボット、電気自動車(EV)など重点10分野を軸に次世代化を加速する「中国製造2025計画」の扱いについてで、これは米国の安全保障にも関わっているとの理由で米国側は中国ハイテク産業への不当な補助金の即時停止を求めているが、中国側はこれを拒否している。3つ目は北朝鮮やイランに通信機器を不正輸出していたとの理由で厳しいペナルティを受けている中国の通信大手ZTEに対する制裁を緩和できるかということ。それぞれが非常に複雑で難しく先行きは不透明だ。
(ZTEに対する制裁緩和に米議会が反対)
巨額貿易赤字の削減に関して一部米国メディアは、中国が関税撤廃することで、米国からの輸入を大幅に増やし、対中貿易赤字削減に貢献することを米国側に提案したと報道しているが、中国外務省・ルーカン報道局長はこれを否定している。少なくとも中国側は農産品やLNGの輸入拡大などの提案をしていることだけは確かなようだ。「中国製造2025計画」については、ハイテク分野が中国にとっての今後の生命線であり、そう簡単に譲歩できないという姿勢を中国は米国に対して示している。ZTE制裁緩和については、トランプ大統領自身が緩和を示唆していたが、ここに来て米議会が「中国の通信会社は中国政府と提携しており、中国の通信会社を受け入れることはサイバースパイの脅威を抱えることにつながる」として緩和に反対しているため、先行きがまったく読めない状況になっている。現在、米国の制裁によってZTEは向こう7年間米国企業から部品を調達することができなくなっているが、米国を中国以上に重視してきたZTEにとっては、米国のキャリアとの提携関係を失うことは大きな打撃となる。さらには先月には香港で株式の取引きも停止され、ドル箱となってきたアフリカ市場も失う可能性が出てきた。打開に時間がかかる場合にはさらに多くのキャリアがZTEから離れていくことも予想されZTEは崖っぷちに立たされている。
(米中摩擦の行方)
米中貿易摩擦は、最終的には経済・技術・安全保障まで含めた21世紀の覇権争いといえる。米国は経済的パートナーでもある中国とはそう簡単に手を切るわけにもいかない。当初、米国は中国が自分達の経済圏に入ってくることを想定していたが、中国は一帯一路やAIIBなど独自の経済圏、金融システムを作り上げ影響力を拡大していて米国の脅威となっている。中国はこれまでのルールは欧米が中心となって作り上げたルールであり、これに自分達は縛られることはないという態度を明確に見せ始めている。問題は将来のイノベーションや技術を米中どちらが先に獲得するのかという部分にあるが、中長期的視野で考えれば両国とも引くに引けない状況になっている。当面、中国も米国も決定的な対立構造に持ち込みたくはないと考えているため、決裂という形にはならずにしばらくは継続協議という形で膠着状況が続くものと考えられる。
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米国トランプ大統領“ZTE主力事業再開へ協議”(5月14日)
米国政府は“中国通信機器大手ZTEはイラン、北朝鮮に違法に通信機器輸出後も虚偽報告を行っていた”として、制裁措置を科したため、ZTEは主力事業が行えなくなり、経営への影響が深刻になっている。
トランプ大統領は13日ツイッターに“ZTEが事業を再開する方法を提供するため中国・習近平国家主席と協議している”と投稿し、対応策を検討していることを明らかにした。
米中の貿易をめぐる対立が緩和に向かうきっかけとなるか注目されている。
米国通商代表“中国の知財侵害が問題” (5月2日)
米国・ライトハイザー通商代表は、中国との貿易摩擦を巡って知的財産の侵害が最も重要な問題だとした。
明日から中国で開く通商政策に関する会議でも主要なテーマになる見通し。
ライトハイザー代表は「最も重要なのは知的財産の問題」とコメントした。
トランプ政権は知的財産の侵害をめぐり、中国からの幅広い輸入品に関税を課す制裁処置を考えている。
ライトハイザー代表は日本とのFTA交渉に意欲した。
日米貿易戦争始まる(4月21日)
(日米首脳会談・貿易問題で日本に強硬姿勢示したトランプ大統領)
フロリダで行われた日米首脳会談においてトランプ大統領は、北朝鮮問題では日本と足並みをそろえていくことを示したが、貿易問題では「TPPが日米両国にとっては最善の策だ」と主張する安倍総理に対し、よほどの好条件が提示されない限り、TPPに参加することはないとした上で、「2国間取引きの方がより好ましい」と日本に厳しい姿勢を突き付けた。また鉄鋼とアルミの輸入制限からの適用除外を求めた安倍総理に対し、「日本の扱いは新協議の行方次第だ」とし、安倍総理の要求には応じなかった。...
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(日米首脳会談・貿易問題で日本に強硬姿勢示したトランプ大統領)
フロリダで行われた日米首脳会談においてトランプ大統領は、北朝鮮問題では日本と足並みをそろえていくことを示したが、貿易問題では「TPPが日米両国にとっては最善の策だ」と主張する安倍総理に対し、よほどの好条件が提示されない限り、TPPに参加することはないとした上で、「2国間取引きの方がより好ましい」と日本に厳しい姿勢を突き付けた。また鉄鋼とアルミの輸入制限からの適用除外を求めた安倍総理に対し、「日本の扱いは新協議の行方次第だ」とし、安倍総理の要求には応じなかった。新協議とは麻生副首相・ペンス副大統領による日米経済対話に代わる茂木経済再生大臣とライトハイザー米国通商代表部(USTR)代表による閣僚級の枠組み「自由で公正な相互にメリットのある貿易・投資の在り方」のことで、ライトハイザー氏は80年代の日米通商交渉の際に日本側が作成してきた文書でいきなり紙飛行機にして投げてしまうという荒っぽいやり方で日本を威嚇したことなどで知られる強硬派で日本にとっては手ごわい相手である。
(トランプ大統領・日本をFTAに引っ張り出したい)
なぜ貿易問題で米国は日本にこれだけ強い姿勢を示してくるのだろうか。その背景には米国が抱える85兆円にも及ぶ貿易赤字の存在がある。このうちの約12分の1に相当する7兆円が日本によるものだという。トランプ大統領にとっては中間選挙に勝つことが至上命題であり、そのために最も欲しい成果のひとつが対日貿易赤字の削減で多国間協定より二国間協定のFTAに日本を引き込むことで特定品目の輸入を増やしたり、輸出の自粛といった成果を得やすいと考え、米国に有利な土俵に力づくで、日本を引っ張り出したいという思惑があるものとみられる。
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