米中貿易戦争(4月7日)
(米中は実質的に貿易戦争に突入)
今、米中は泥沼の貿易戦争に突入しようとしている。中国は米国による鉄鋼アルミ輸入制限への報復措置として、米国製品128品目に最大25%の関税をかける措置を発動した。さらに米国は中国による知財権侵害を理由に通商法301条に基づいて1300品目の中国製品に25%の関税を上乗せする制裁案を発表した。これに対し中国は米国産大豆や自動車、飛行機などの米国製品106品目に25%の関税をかける案を発表した。...
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(米中は実質的に貿易戦争に突入)
今、米中は泥沼の貿易戦争に突入しようとしている。中国は米国による鉄鋼アルミ輸入制限への報復措置として、米国製品128品目に最大25%の関税をかける措置を発動した。さらに米国は中国による知財権侵害を理由に通商法301条に基づいて1300品目の中国製品に25%の関税を上乗せする制裁案を発表した。これに対し中国は米国産大豆や自動車、飛行機などの米国製品106品目に25%の関税をかける案を発表した。今度はトランプ大統領が「中国は貿易の不正をただすどころか米国の農家と製造業に打撃を与えようとしている」と激怒し、1000億ドル(10兆円)規模の追加関税を中国に課すことを検討するようUSTR・米国通商代表部に指示を出した。
(米国対中国強硬策の背後に対中強硬派のナバロ氏の影)
米国が中国に対して強硬姿勢に出る背景には、貿易赤字7962億ドルのうちの47.1%にあたる約40兆円もの膨大な対中貿易赤字の存在がある。この姿勢を後押ししているのがトランプ大統領が絶大な信頼を寄せる対中強硬派のピーターナバロ氏だ。トランプ大統領の中国に対する1000億ドルの追加関税検討指示もナバロ氏のアドバイスによるもののようだ。一方でサンダース報道官が「双方に関税が課され導入されるまであと数か月ある。我々は中国が正しい道に進むよう期待している」とのコメントを出すなど、話し合いで決着させたいという思いもホワイトハウスにあるとみられる。大局的な観点に立てば米中貿易戦争で得をする国はどこもなく、トランプ大統領が中間選挙対策を意識した側面が大きい。
(世界貿易戦争の日本への影響)
今起きている米中貿易戦争が本格化した場合には円高・株安が進行し、日本も無傷ではいられない。安倍政権が推し進めるアベノミクスは円安・株高を前提としており、この前提が根底から崩れてしまうため、アベノミクス自体が吹き飛んでしまうぐらいの影響が出てもおかしくない。すでにトランプ大統領が中国に対して追加の報復措置を発表してから、世界の株の時価総額は150兆円以上も下がっている。世界が関税の引き上げ競争に同調すれば日本のみならず世界経済も壊滅的な打撃を受けることになりかねないだろう。さらに危惧されることは4月17日、18日に行われる日米首脳会談でトランプ大統領が「巨額の対日赤字をなんとかしろ」と言ってくる可能性が高いことだ。安倍首相に対し、自動車や医療、農業分野での一層の市場開放を迫り、米国への直接投資など、かなり厳しい要求を突きつけてくると同時にFTAなどの二国間交渉を強く迫ってくるだろう。国内では森友・加計・イラク日報問題などで窮地に立たされている安倍首相には外交でも厳しいかじ取りが要求されそうだ。
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米国大統領“中国への制裁措置・増額検討を”(4月6日)
米国のトランプ大統領は、知的財産の侵害を巡る中国への制裁措置に対し、中国側が報復措置を検討するとしたことを受けて、関税を課す対象となる輸入品の額を原案で示した500億ドルから、さらに1000億ドル増やすかどうか検討するよう、通商代表部に指示した。
5日、ホワイトハウスは「中国は、みずからの不正行為を是正するのではなく、米国の農家や製造業に損害を与えることを選択した」とトランプ大統領の声明を出し、中国の報復措置を厳しく非難した。...
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米国のトランプ大統領は、知的財産の侵害を巡る中国への制裁措置に対し、中国側が報復措置を検討するとしたことを受けて、関税を課す対象となる輸入品の額を原案で示した500億ドルから、さらに1000億ドル増やすかどうか検討するよう、通商代表部に指示した。
5日、ホワイトハウスは「中国は、みずからの不正行為を是正するのではなく、米国の農家や製造業に損害を与えることを選択した」とトランプ大統領の声明を出し、中国の報復措置を厳しく非難した。
米国の1000億ドルの関税増額の検討に対して、中国国営の新華社通信は「国際貿易ルールに重大に違反している」と批判している。
一方、トランプ大統領は、中国側と協議を行う考えも示していて、米国の制裁措置の発動時期は不透明となっている。
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中国が報復関税(4月4日)
米国・トランプ政権が、中国による知的財産の侵害の問題をめぐり、中国からの輸入品に25%の関税を課す制裁措置の発動を決定した。
米国通商代表部は制裁措置の原案を公表。高関税措置の対象は航空宇宙、情報通信、ロボット関連など約1300品目、5兆円超の規模となる。
それを受けて、中国政府は、米国から輸入する大豆や自動車、化学製品、航空機など106品目に、25%の関税を追加で課す報復措置を準備していることを明らかにした。...
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米国・トランプ政権が、中国による知的財産の侵害の問題をめぐり、中国からの輸入品に25%の関税を課す制裁措置の発動を決定した。
米国通商代表部は制裁措置の原案を公表。高関税措置の対象は航空宇宙、情報通信、ロボット関連など約1300品目、5兆円超の規模となる。
それを受けて、中国政府は、米国から輸入する大豆や自動車、化学製品、航空機など106品目に、25%の関税を追加で課す報復措置を準備していることを明らかにした。対象品目の去年の米国からの輸入額は、約500億ドル(5兆円)で、米国の制裁措置に匹敵する規模となっている。
中国財政省・朱光耀次官は「中国は貿易戦争をのぞんでいない。貿易戦争になれば双方が敗北することになり、両国の利益を損なうだけでなく世界経済の発展にも損害を与える」と述べ、貿易摩擦の激化を避けたいという考えを示した。
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中国・米国に対抗・128品目に高関税(4月2日)
米国・トランプ政権は先月23日、中国の過剰生産を念頭に鉄鋼製品に25%、アルミニウムに10%の関税を課す異例の輸入制限措置を発動した。
これに対し、中国・財政省は米国から輸入する豚肉などに高い関税を課す対抗措置をきょう付け発動すると発表した。
課税の対象となるのは128品目。果物、ステンレス製のパイプなど120品目には15%の関税、豚肉など8品目には25%の関税を課すとしている。
対商品目の去年の輸入額は30億ドル(日本円で3100億円余り)となる。...
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米国・トランプ政権は先月23日、中国の過剰生産を念頭に鉄鋼製品に25%、アルミニウムに10%の関税を課す異例の輸入制限措置を発動した。
これに対し、中国・財政省は米国から輸入する豚肉などに高い関税を課す対抗措置をきょう付け発動すると発表した。
課税の対象となるのは128品目。果物、ステンレス製のパイプなど120品目には15%の関税、豚肉など8品目には25%の関税を課すとしている。
対商品目の去年の輸入額は30億ドル(日本円で3100億円余り)となる。
今回の決定について、中国側は、WTOのルールにのっとったものであり、自国の利益を守るための正当な措置としている。
一方、米国は知的財産の侵害を理由に通商法301条に基づき、中国から輸入品に高い関税を課す制裁措置の発動を決めている。
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世界貿易摩擦の様相を呈している国際経済(3月31日)
スーパー301条が発動され、1300品目に25%の関税をかけるという前代未聞の米中貿易摩擦ばかりが注目されてきたが、ここにきてトランプ大統領は北朝鮮情勢と経済交渉を絡め、米韓FTAの棚上げを示唆したり、米通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミの貿易制限の対象から同盟国の日本をはずすことなく、貿易摩擦が世界的規模に波及しつつある。中国への25%の制裁関税措置についてUSTR・ライトハイザー代表は4月6日までに対象品目の原案を公表した後、「一般の意見を募る期間を60日間設ける」と中国に交渉の猶予期間を与えた。...
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スーパー301条が発動され、1300品目に25%の関税をかけるという前代未聞の米中貿易摩擦ばかりが注目されてきたが、ここにきてトランプ大統領は北朝鮮情勢と経済交渉を絡め、米韓FTAの棚上げを示唆したり、米通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミの貿易制限の対象から同盟国の日本をはずすことなく、貿易摩擦が世界的規模に波及しつつある。中国への25%の制裁関税措置についてUSTR・ライトハイザー代表は4月6日までに対象品目の原案を公表した後、「一般の意見を募る期間を60日間設ける」と中国に交渉の猶予期間を与えた。関税発動の回避についてライトハイザー代表は「希望はある」と述べている。
経済問題で強硬なトランプ政権
米韓FTA再交渉についてトランプ政権は強制力のある為替条項を盛った形で妥結したと一旦発表したものの、「北朝鮮との合意後まで保留にするかもしれない」と今度は米韓FTAを棚上げにする方針を示唆した。米国がFTAを棚上げした場合、韓国も鉄鋼・アルミ輸入制限措置の対象となる可能性がある。日本は4月の日米首脳会談に向けて鉄鋼・アルミの輸入制限の適用除外を求めていく方針だが、トランプ大統領は22日の会見で「安倍首相の笑顔の裏にあるのは、長い間米国をうまく利用できていた(これからもそれを続けていきたい)との思いからだろうが、そんな日々はもう終わりになるだろう」と意味深長な発言をしており、見通しは決して明るくなさそうだ。日本政府としては、WTOに提訴したり、輸出入に数値目標を設定するなどで対抗していくべきだが、日米2国間によるFTAなど米国の攻勢がますます強くなってくると思われる。その時日本はどう対処するのか。
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