金日成没後25年(7月9日)
25年前の7月8日に、北朝鮮の建国の父である金日成主席が亡くなった。おりしも朝鮮半島の第一次核危機の時代であり、米国の元大統領ジミー・カーター氏が訪朝し、金日成主席と会談した後であった。
25年後の現在、北朝鮮は2017年に6回目の核実験をした後に、核実験は控えているが、非核化に関する交渉は進展していない。一方で8日の「労働新聞」は社説で、金日成主席の遺訓として経済建設を邁進するように促している。...
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25年前の7月8日に、北朝鮮の建国の父である金日成主席が亡くなった。おりしも朝鮮半島の第一次核危機の時代であり、米国の元大統領ジミー・カーター氏が訪朝し、金日成主席と会談した後であった。
25年後の現在、北朝鮮は2017年に6回目の核実験をした後に、核実験は控えているが、非核化に関する交渉は進展していない。一方で8日の「労働新聞」は社説で、金日成主席の遺訓として経済建設を邁進するように促している。社説では「自力更生の威力により、偉大な首領様の尊名で輝く社会主義朝鮮のまばゆい歴史をしるさなければならない」としている。2018年4月から金正恩委員長のもとでそれまでの軍事と経済の「並進路線」から経済建設に舵がきられたものの、経済制裁のもとで、思うような成果が出せずにいることから、なお一層経済建設に励むようにと箍の締め直しを促すものなのだろう。
なお昨年は金正恩委員長は命日の参拝を行わなかったが、25周年の今年は、錦繍山太陽宮殿を参拝した。また正午には北朝鮮全域で3分間追悼のサイレンが鳴らされた。
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北朝鮮“日本は首脳外交できず孤立”と日本批判(7月7日)
北朝鮮は3回目の米朝首脳会談を受けて米国との対話に乗り出す中、日本だけが北朝鮮との首脳外交を行えず孤立しているとして制裁決議の完全な履行を呼びかける日本を批判した。
安倍総理は前提条件を付けずキムジョンウン委員長と対話を目指しているが、北朝鮮は植民地支配の謝罪や賠償などを求めて日本に対するけん制を続けている。
北朝鮮、豪留学生を「追放」と報道(7月7日)
スウェーデンの支援の下、北朝鮮に拘束されていたオーストラリア人留学生のシグリー氏が解放され、7月4日に北京経由で東京に到着したが、6日付の朝鮮中央通信は、同氏がインターネットを使って反北朝鮮活動を行っていたとして、6月25日に拘束し、7月4日に追放処分にした、と報じた。
報道によると、シグリー氏は反北朝鮮団体に唆されて、留学生の身分を利用して、何回かにわたってその団体に集めた資料や写真を渡していたという。...
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スウェーデンの支援の下、北朝鮮に拘束されていたオーストラリア人留学生のシグリー氏が解放され、7月4日に北京経由で東京に到着したが、6日付の朝鮮中央通信は、同氏がインターネットを使って反北朝鮮活動を行っていたとして、6月25日に拘束し、7月4日に追放処分にした、と報じた。
報道によると、シグリー氏は反北朝鮮団体に唆されて、留学生の身分を利用して、何回かにわたってその団体に集めた資料や写真を渡していたという。「シグリー本人も内部情報を提供するというスパイ活動を行ったことを認め、朝鮮の主権を侵したことを反省し、許しを求めていた」「朝鮮政府は人道主義に基づいて、7月4日に国外に追放したもの」と報道している。
第3次米朝首脳会談が行われた時期でもあり、北朝鮮が国際世論を意識していたことが、シグリー氏の早期解放をつながったことになる。
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米国が北朝鮮に大幅譲歩か(7月6日)
(北朝鮮に寧辺プラスアルファを突き付けた米国)
6月30日に板門店で電撃開催され米朝友好ムードばかりが強調して伝えられてきた米中首脳会談だが、この会談の中で米国が金正恩が求める北朝鮮への経済解除を拒否した上で、「寧辺の廃棄とプラスアルファ」を突き付け、北朝鮮側がこれに難色を示していたことがわかった。米国が求める「プラスアルファ」はカンソンにある秘密ウラン濃縮施設やサヌムドンの秘密ミサイル工場などを非核化する措置を指すものとみられ、金正恩にとっては最後の切り札に相当する。...
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(北朝鮮に寧辺プラスアルファを突き付けた米国)
6月30日に板門店で電撃開催され米朝友好ムードばかりが強調して伝えられてきた米中首脳会談だが、この会談の中で米国が金正恩が求める北朝鮮への経済解除を拒否した上で、「寧辺の廃棄とプラスアルファ」を突き付け、北朝鮮側がこれに難色を示していたことがわかった。米国が求める「プラスアルファ」はカンソンにある秘密ウラン濃縮施設やサヌムドンの秘密ミサイル工場などを非核化する措置を指すものとみられ、金正恩にとっては最後の切り札に相当する。今後2~3週間以内に開催されるとみられる米朝実務者協議で北朝鮮がどういう態度を示すかに注目が集まる。トランプ大統領としては2020年大統領選に向けて「寧辺プラスアルファ」をひとつの成果としたい思惑があるが、金正恩が簡単に最後のカードを手放すようにはみえない。
(政権内部からリーク・米国が北朝鮮に大幅譲歩?)
一方、ウォールストリートジャーナルとニューヨークタイムズなどは、米国トランプ政権が「完全で、検証可能、かつ不可逆的な核・ミサイル計画を放棄すること」という要求を取り下げ、北朝鮮が現在保有している核兵器・ミサイルを凍結するという案を検討しているとの驚愕のリーク記事を掲載した。情報をリークさせたのはビーガン北朝鮮特別代表と言われており、イバンカ大統領補佐官やジャレットクシュナー大統領上級顧問の名前も挙がっているものの、真相は今のところわかっていない。対北朝鮮強硬派のボルトン大統領補佐官はこの記事に「ホワイトハウスのNSC関係者や、私自身の間でこうした案について議論されたり、聞いたりしたことは一度もない」と猛反発している。ボルトン補佐官、ポンペオ国務長官を板門店での米朝首脳会談に同席させないなどトランプ政権内部の不和が指摘されている中で、こうした記事が出ること自体、トランプ政権の足並みがそろっていないことを示している。もしこの記事が本当だとすれば、北朝鮮はインド、パキスタン並みの核保有国として扱われることになり、日本にとっては到底許容できる話ではない。ただ、トランプ大統領は米国の利益を優先させると公言している以上、まったくありえない話ではない。
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中国人の北朝鮮観光盛んに(7月6日)
6月30日に第三次の米朝首脳会談が板門店で開催されたことで、板門店に世界の眼が注がれたが、板門店をはじめとして北朝鮮に観光旅行に来る中国人が益々増えている。観光は国連の制裁にも入っていないので、今や観光旅行が北朝鮮の貴重な外貨収入源となっている。中国からの北朝鮮への観光旅行について「人民日報(海外版)」が伝えている。
毎日数百人の中国人観光客が遼寧省の丹東から列車や大型バスで、鴨緑江の友好大橋を渡って北朝鮮にやって来て、北朝鮮の有名観光スポットである、平壌の金日成広場や凱旋門、あるいは板門店や妙香山、金剛山、馬息嶺のスキー場などを訪れる。...
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6月30日に第三次の米朝首脳会談が板門店で開催されたことで、板門店に世界の眼が注がれたが、板門店をはじめとして北朝鮮に観光旅行に来る中国人が益々増えている。観光は国連の制裁にも入っていないので、今や観光旅行が北朝鮮の貴重な外貨収入源となっている。中国からの北朝鮮への観光旅行について「人民日報(海外版)」が伝えている。
毎日数百人の中国人観光客が遼寧省の丹東から列車や大型バスで、鴨緑江の友好大橋を渡って北朝鮮にやって来て、北朝鮮の有名観光スポットである、平壌の金日成広場や凱旋門、あるいは板門店や妙香山、金剛山、馬息嶺のスキー場などを訪れる。とくに昨年3月に金正恩委員長が初訪中して以来、中国人観光客は増加しており、年20万人近くにのぼっている。
観光業は北朝鮮に外貨収入をもたらすので、北朝鮮政府も重視している。平壌観光大学にはガイド学部や経営学部があり、中国語・英語・ロシア語・観光開発・観光経営などの学科がある。全校で1000名の学生がおり、毎年200名余の卒業生が北朝鮮の各旅行社に配属される。海外から来る観光客の7割が中国人であることから、平壌観光大学でも中国語が主要な課程になっており、中国語を学習する学生が在校生の半分以上になっている。
中朝両国ともに観光業が中朝の民間交流の重要な柱になっていて、潜在力も大きいことから、今後さらに発展してくものと期待している。
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