金正恩委員長、トランプ大統領の親書を受け取る(6月23日)
習近平総書記が30時間足らずの訪朝を終え中国に帰国した後、金正恩委員長がトランプ大統領の親書を受け取ったとのニュースが伝えられた。朝鮮中央通信が23日に伝えたもの。いつ受け取ったのかや内容については触れられていないが、親書は「素晴らしい内容」であると伝えている。
習近平訪朝を踏まえての親書であれば、G20サミットの際の米中首脳会談で、3回目の米朝首脳会談が現実味を帯びる可能性は高い。No dealに終わったハノイ会談の後、6月10日にシンガポール会談1周年を前に金正恩委員長がトランプ大統領に親書を送ったことも伝えられている。...
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習近平総書記が30時間足らずの訪朝を終え中国に帰国した後、金正恩委員長がトランプ大統領の親書を受け取ったとのニュースが伝えられた。朝鮮中央通信が23日に伝えたもの。いつ受け取ったのかや内容については触れられていないが、親書は「素晴らしい内容」であると伝えている。
習近平訪朝を踏まえての親書であれば、G20サミットの際の米中首脳会談で、3回目の米朝首脳会談が現実味を帯びる可能性は高い。No dealに終わったハノイ会談の後、6月10日にシンガポール会談1周年を前に金正恩委員長がトランプ大統領に親書を送ったことも伝えられている。トランプ大統領は「素晴らしい手紙」だと語っていた。
習近平総書記の訪朝中に朝鮮半島の非核化について政治的に解決することを支持すると再三述べているが、それに対し、金正恩委員長は「中国が朝鮮問題の解決に対する重要な役割を果たしていることを朝鮮は評価している」と述べているが、自らは非核化には言及しなかったという。中朝間でも華々しい報道とは裏腹に、非核化については成果がなかった可能性もあるが、米中首脳会談で、米中貿易問題や技術移転、中国企業の活動の問題で譲歩を余儀なくされたという印象を与えないためにも、習近平総書記は北朝鮮問題でポイントを稼がなくてはならない。
親書を送りあっている米朝首脳同士であるが、米朝間で実務者同士の接触が行われた様子は現在のところみられない。一方9月になれば、米国では大統領選挙が本格化する。9月までに3度目の米朝首脳会談が行われたとしても成果を出せない可能性は高いと言わざるを得ないが、トランプ大統領にとっては「いずれレガシー(政治的遺産)になる」ことを行っているという「ふり」を米国内に向けて発信し続けられれば、選挙戦に有利になるということであるのかもしれない。
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中朝:党関係は盤石に(6月22日)
20日から北朝鮮を訪問していた中国の習近平国家主席は、21日には、各々の夫人を伴って、錦秀山迎賓館の庭園を散策しながら、金正恩委員長と会見し、午後3時には帰国の途についた。
今回の習近平国家主席の訪朝の発表が中国共産党中央対外連絡部であったことからわかるように、今回の習近平訪朝によって、中国共産党と朝鮮労働党の関係が、1992年以前の良好な関係に戻ったことを意味する。中朝関係は、「党と党が特殊な関係」であると言われていたが、1992年に中国と韓国が国交を樹立して以降は「普通の関係」(他の国交を有している国々と同様な関係)になったといわれていた。...
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20日から北朝鮮を訪問していた中国の習近平国家主席は、21日には、各々の夫人を伴って、錦秀山迎賓館の庭園を散策しながら、金正恩委員長と会見し、午後3時には帰国の途についた。
今回の習近平国家主席の訪朝の発表が中国共産党中央対外連絡部であったことからわかるように、今回の習近平訪朝によって、中国共産党と朝鮮労働党の関係が、1992年以前の良好な関係に戻ったことを意味する。中朝関係は、「党と党が特殊な関係」であると言われていたが、1992年に中国と韓国が国交を樹立して以降は「普通の関係」(他の国交を有している国々と同様な関係)になったといわれていた。
今回の習近平訪朝中時には北朝鮮側も党本部庁舎に習近平国家主席を招き、本部庁舎前で記念撮影をするという異例のことも行っていた。
北朝鮮にとって中国はようやく盤石な後ろ盾になってくれたことになる。
習近平国家主席は、中国が強力な後ろ盾になるから、段階的でもよいので、完全な非核化をすることを金正恩委員長に認めさせることはできたのか。7年間にわたる中朝の不信感を拭い去ることができたのか。G20の折に予定されている米中首脳会談で切られることになる北朝鮮カードはどのくらいの威力があるものになるのだろうか。
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中朝首脳会談、米朝対話に期待(6月21日)
20日12時(現地時間)に、習近平国家主席は平壌に到着、その後中朝の首脳会談が開催された。
習近平国家主席は、北朝鮮が過去1年半に様々な対話を進展させたことで、国際社会の期待を得られたこと、さらに今後も国際社会は朝米会談が継続させ、成果をだすことを期待している、として、朝米会談を継続するようにとの期待を示した。
さらに中国も朝鮮半島問題の政治的解決を希望しており、問題解決のための積極的役割を果たすと述べ、米国への仲介役となることを暗示した。...
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20日12時(現地時間)に、習近平国家主席は平壌に到着、その後中朝の首脳会談が開催された。
習近平国家主席は、北朝鮮が過去1年半に様々な対話を進展させたことで、国際社会の期待を得られたこと、さらに今後も国際社会は朝米会談が継続させ、成果をだすことを期待している、として、朝米会談を継続するようにとの期待を示した。
さらに中国も朝鮮半島問題の政治的解決を希望しており、問題解決のための積極的役割を果たすと述べ、米国への仲介役となることを暗示した。
これに対し金正恩委員長は、過去1年余、北朝鮮は緊張状態を避けるために、様々な措置をとったが、相手側(名指しせず)が積極的な反応を見せず、北朝鮮が望んだようにはなっていない。北朝鮮は忍耐心を持って相手側が向き合ってくれることを望んでいる。合理的な解決法案を探し出し、朝鮮半島問題について対話で成果をもたらすことを願っている。北朝鮮は問題を解決する上での中国の役割を高く評価している、として、朝米対話に対して、中国が仲介役としての役割を果たしてくれることへの期待を明らかにした。
北朝鮮が米国に対し、どのようなカードを切ろうとしているのかは、現段階ではわからないが、中国は、G20での中米首脳会談で、米中貿易問題の他に、もう1枚北朝鮮カードを切ることができるようである。どのくらい強さのカードになるのか、トランプ大統領を動かすことができるのかが、注目される。
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中国・習近平国家主席・きょう北朝鮮へ(6月20日)
中国・習近平国家主席がきょうから就任以来初めて北朝鮮を公式訪問する。中国の最高指導者の訪朝は14年ぶり。金正恩朝鮮労働党委員長と北朝鮮の核問題などを巡って意見を交わす見通しである。
習主席は朝鮮労働党機関紙「労働新聞」に寄稿した。G20大阪サミットに合わせて行われる見通しの米国・トランプ大統領との首脳会談を前に、存在感を誇示する狙いがあるとみられる。
北朝鮮としても2回目の米朝首脳会談が物別れに終わる中、中国との結束を示し、米国との交渉に備え、足場を固めたい思惑もあるとみられる。
習近平、北朝鮮メディアに寄稿(6月19日)
訪朝の前日である19日、「労働新聞」をはじめとする北朝鮮メディアに、習近平主席の署名入り文章が掲載された。文章は中国側の新聞にも掲載された。
中国のトップが訪問を前に、相手国の新聞に文章を寄せることは極めて稀である。それだけ、中国が今回の訪朝に力をいれていることになる。
文章にはもちろん非核化や経済制裁の言葉はない。ただ中朝の伝統的友誼などについて綴った後に、金正恩委員長の指導の下、北朝鮮が新路線を歩み、経済発展に努めており、民生が改善され、社会主義建設が成就していることをあげられている。...
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訪朝の前日である19日、「労働新聞」をはじめとする北朝鮮メディアに、習近平主席の署名入り文章が掲載された。文章は中国側の新聞にも掲載された。
中国のトップが訪問を前に、相手国の新聞に文章を寄せることは極めて稀である。それだけ、中国が今回の訪朝に力をいれていることになる。
文章にはもちろん非核化や経済制裁の言葉はない。ただ中朝の伝統的友誼などについて綴った後に、金正恩委員長の指導の下、北朝鮮が新路線を歩み、経済発展に努めており、民生が改善され、社会主義建設が成就していることをあげられている。次の段落で朝鮮半島の平和について述べていることからすれば、中国としては、北朝鮮に経済建設をしっかりやるように促しているのだと思われる。また中朝関係の発展には新しい動力も必要であり、協力項目について相談し、民間交流を拡大していこう、ということで、教育、文化、スポーツ、観光、地方間交流や民生部門の協力をあげている。国家間の大規模協力プロジェクトはまだ無理ということかもしれない。
朝鮮半島の平和については、中国側は、北朝鮮が半島問題を平和的に解決しようとしていることを強く支持している、と述べている。
これとは別に中央対外連絡部が、習近平主席の北朝鮮滞在中のスケジュールや両国のコンセンサスすら発表している。習近平主席は、金正恩委員長と非核化に関してどこまで話し合うことができるのだろうか。
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