米朝首脳会談から1年(6月12日)
~トランプ大統領:「素晴らしい手紙」受け取る~
史上はじめての米朝首脳会談がシンガポールで開催されてから1年が過ぎた。同会談では4項目からなる合意文書に署名がなされたが、当初懸念されていた通り、事前の準備不足もあり、米兵の遺骨の返還の他は、具体的な進展はなく、ハノイで今年の2月に行われた2度目の米朝首脳会談は両者の合意もないまま終わった。
会談から1周年を前にした11日、トランプ大統領は金正恩委員長から「素晴らしい手紙」を受け取ったことを明らかにした。...
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~トランプ大統領:「素晴らしい手紙」受け取る~
史上はじめての米朝首脳会談がシンガポールで開催されてから1年が過ぎた。同会談では4項目からなる合意文書に署名がなされたが、当初懸念されていた通り、事前の準備不足もあり、米兵の遺骨の返還の他は、具体的な進展はなく、ハノイで今年の2月に行われた2度目の米朝首脳会談は両者の合意もないまま終わった。
会談から1周年を前にした11日、トランプ大統領は金正恩委員長から「素晴らしい手紙」を受け取ったことを明らかにした。トランプ大統領は手紙の具体的な内容については明らかにしていないが、非核化について合意できることへの希望は持っており、多分3回目の米朝首脳会談で何らかの道筋は見いだせると考えていることを明らかにした。さらに金正恩委員長の良い関係はまだ保たれている、つまり彼は約束を守っているからだ、と述べている。北朝鮮は5月初めには2回にわたって短距離ミサイルを発射しているが、核実験をしていないことと、ICBMの発射実験をしていないことから、約束を守っているとしているらしい。
トランプ大統領はさらに、金正恩委員長の異母兄で、2017年2月にマレーシアの空港で暗殺された金正男氏が、中央情報局(CIA)に対しかつて情報を提供したことがあることも明らかにした。
北朝鮮は「今年末までは忍耐心を持って待つ」としているが、トランプ大統領は2020年の大統領選挙をにらんで、9月以降は全国遊説を始めるとみられている。トランプ大統領にとっては自身の再選が最優先事項であり、北朝鮮問題の優先順位はだいぶ後ろのほうになってしまっている。米国民にとってもICBMが飛んでこなければ、北朝鮮問題に対する関心は低くなり、雇用や消費の問題が大きな関心事項になっていくだろう。この状況で3回目の首脳会談は行えるのか。今年中に行うとなれば8月しか日程がとれないと思われるが、そうなると、前の2回と同様に準備不足で何も決まらない恐れもある。2回目の会談では「中途半端な合意」よりもno dealで良かったと評価されたトランプ大統領であるが、no dealを何度も繰り返すわけにはいかない。3度目の交渉をするならば、北朝鮮から少なくとも非核化の手順や日程を明らかにした行程表(ロードマップ)を引き出さなくてはならない。その見返りには米国としては、制裁の緩和よりは北朝鮮の体制を保証することのほうがハードルは低いものと思われる。
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マスゲーム、上演中止に(6月10日)
3日に金正恩委員長が観覧していた北朝鮮のマスゲームの上演が中止されている。経済制裁のために主要な外貨獲得品目である鉱産物などが輸出できない北朝鮮にとって、マスゲームの上演はいまや貴重な外貨獲得源になっているだけに、上演中止がいつまで続くのか、注目される。
当初は金正恩委員長がその内容を叱責したためだとの観測もあったが、どうやらマスゲームのために地方から動員された学生たちに十分食べさせることができず、栄養不足から風邪などをひく学生が続出し、満足な公演が行えないからではないかと見られている。...
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3日に金正恩委員長が観覧していた北朝鮮のマスゲームの上演が中止されている。経済制裁のために主要な外貨獲得品目である鉱産物などが輸出できない北朝鮮にとって、マスゲームの上演はいまや貴重な外貨獲得源になっているだけに、上演中止がいつまで続くのか、注目される。
当初は金正恩委員長がその内容を叱責したためだとの観測もあったが、どうやらマスゲームのために地方から動員された学生たちに十分食べさせることができず、栄養不足から風邪などをひく学生が続出し、満足な公演が行えないからではないかと見られている。
マスゲームの観覧料は、3等100ユーロ(約1万2200円)、2等300ユーロ、1等500ユーロとかなり高額である。中国から来る観光客にはビザ発給の条件にマスゲームの観覧が含まれているというほど今や北朝鮮はなりふり構わず外貨を獲得しようとしていた。それほどまでして外貨を稼がなくてはならない北朝鮮にとって、マスゲームの上演中止は切歯扼腕の出来事であろうし、それだけ北朝鮮の食糧事情が深刻な状況であることを示している。
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殻に閉じこもった北朝鮮(6月8日)
(殻に閉じこもった北朝鮮)
「前提条件なしで対話する用意がある」と安倍首相は北朝鮮側に対して呼びかけを行ったが、ウランバートルで行われた国際会議に北朝鮮は欠席し、日朝の接触はならなかった。北朝鮮は安倍首相の発言の中で「前提条件なしで」という箇所に特に強く反発しており、「日本の過去の清算が先」であるとしている。米朝首脳会談の決裂以来、北朝鮮は外に目を向けなくなっているようにみえる。こうした状況の中、韓国・文大統領が北朝鮮への本格的な人道支援に乗り出した。...
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(殻に閉じこもった北朝鮮)
「前提条件なしで対話する用意がある」と安倍首相は北朝鮮側に対して呼びかけを行ったが、ウランバートルで行われた国際会議に北朝鮮は欠席し、日朝の接触はならなかった。北朝鮮は安倍首相の発言の中で「前提条件なしで」という箇所に特に強く反発しており、「日本の過去の清算が先」であるとしている。米朝首脳会談の決裂以来、北朝鮮は外に目を向けなくなっているようにみえる。こうした状況の中、韓国・文大統領が北朝鮮への本格的な人道支援に乗り出した。世界食糧計画(WFP)などに800万ドル(8億6700万円)の拠出を決めた他、大規模な食糧支援に向けて時期や方法を探っているという。韓国の野党など保守層には食糧支援に懐疑的な見方が強く、これに反発している。彼らは北朝鮮は食糧には困っていないとみている。米国も懐疑的な見方で、ヘイリー前米国国連大使は「金正恩委員長が食糧を受け取れば、節約した資金は核兵器開発に回されることになる」と警告している。文大統領は食糧を送ることによって南北対話の機会が生じるものとみられるが、効果のほどは疑問である。
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米朝の対立続く(6月7日)
既報のように4日北朝鮮は「北朝鮮の忍耐にも限度がある」として、米国が北朝鮮に一方的に非核化を迫っていることを非難したが、この他にも米国を非難していることがわかった。
5月24日には北朝鮮は米国が北朝鮮への「敵対行為」を止めず、「一方的な非核化を迫っている」のをやめない限り、両国の関係は永遠に修復されない、と非難していた。
一方米国の対応はどうか。6月4日の北朝鮮の外務省報道官の発言に対する米国の反応は今のところないが、5日米国国務省は、北朝鮮のマネーロンダリングや制裁違反(瀬取りなど)およびサイバー犯罪、大量殺傷兵器の拡散に関する情報の提供を求め、得られた情報に対し、最大500万㌦の報奨金を出すとしている。
平壌で国際見本市(6月6日)
~外国企業の参加は昨年の2.5倍~
4日付の「朝鮮新報」は、5月20日~24日まで、平壌で毎年開催されている「平壌国際商品展覧会」が開催されたが、外国企業の参加は昨年の2.5倍になったと伝えた。国内外の参加企業は450社にのぼった。
同見本市は国際的な経済制裁にも関わらず、春と秋に毎年開催されているもの。今回の見本市でも中国企業の参加が最も多かったというが、パキスタンやロシアの企業の参加も見られた。...
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~外国企業の参加は昨年の2.5倍~
4日付の「朝鮮新報」は、5月20日~24日まで、平壌で毎年開催されている「平壌国際商品展覧会」が開催されたが、外国企業の参加は昨年の2.5倍になったと伝えた。国内外の参加企業は450社にのぼった。
同見本市は国際的な経済制裁にも関わらず、春と秋に毎年開催されているもの。今回の見本市でも中国企業の参加が最も多かったというが、パキスタンやロシアの企業の参加も見られた。掲載された写真では、軽工業産品が多いように見えるが、毎回農業機械やトラックなども展示されており、また本年は北朝鮮製の繊維強化プラスチック製の船舶なども展示されているという。
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