米朝首脳会談と北朝鮮の経済発展(2月10日)
2月27-28日にハノイで開催されることが決まった第二次米朝首脳会談の実務者交渉で平壌を訪問していた米国のビーガン北朝鮮担当特別代表は、9日ソウルで、日韓の政府高官と会談し、日米韓の協力を確認した。一方韓国の康京和外相との会談では「難題も残っている」とも述べており、首脳会談までに準備が進み、首脳会談の米朝双方が望む成果を出せるかに関しての不安を残している。
昨年6月の米朝首脳会談も事前の準備不足もあり、実質的な成果も出せず、会談以降の7か月間は、米朝の交渉は膠着状態に陥っていた。...
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2月27-28日にハノイで開催されることが決まった第二次米朝首脳会談の実務者交渉で平壌を訪問していた米国のビーガン北朝鮮担当特別代表は、9日ソウルで、日韓の政府高官と会談し、日米韓の協力を確認した。一方韓国の康京和外相との会談では「難題も残っている」とも述べており、首脳会談までに準備が進み、首脳会談の米朝双方が望む成果を出せるかに関しての不安を残している。
昨年6月の米朝首脳会談も事前の準備不足もあり、実質的な成果も出せず、会談以降の7か月間は、米朝の交渉は膠着状態に陥っていた。今回の会談では北朝鮮が核物資や核施設の申告を行う用意があるのかが、北朝鮮の非核化の本気度を確かめることになる。一方北朝鮮が求めている見返りとして米国は何を行うのか。朝鮮戦争の終戦宣言か制裁の緩和か。
トランプ大統領は非核化がなされない限り北朝鮮への制裁を解除しないと言っているが、一方で、8日(現地時間)にトランプ大統領は「北朝鮮が金正恩のリーダーシップもとで偉大な経済国家になるだろう」とツィートしている。北朝鮮が核開発と経済発展の並進路線から2018年には経済発展路線に舵を切ったとはいえ、経済制裁下では経済の発展には限界がある。だからこそ金正恩委員長は、制裁の緩和を切実に求めているのである。トランプ大統領が、その北朝鮮の経済が発展するだろうと述べているのは、制裁の一部緩和、あるいは南北朝鮮の協力事業を特例措置として認める、ということをしようとする心積もりがあるからなのだろうか。
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米朝関係は膠着状態を脱せられるのか(2月8日)
トランプ大統領は5日(現地時間)の一般教書演説で、後半部分であるが、北朝鮮情勢に触れた。内政で多くの問題をかかえるトランプ大統領にとって、外交で見せ場を作らざるを得なかったわけである。「(朝鮮半島で)核実験は止まり、ミサイル発射は15か月行われておらず、私が大統領でなければ、北朝鮮との間で戦争が起こり、何百万人もが犠牲になっていただろう。私と金正恩委員長との関係は良い」と述べ、2月27日、28日にベトナムで再び会談を行うことを表明した。...
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トランプ大統領は5日(現地時間)の一般教書演説で、後半部分であるが、北朝鮮情勢に触れた。内政で多くの問題をかかえるトランプ大統領にとって、外交で見せ場を作らざるを得なかったわけである。「(朝鮮半島で)核実験は止まり、ミサイル発射は15か月行われておらず、私が大統領でなければ、北朝鮮との間で戦争が起こり、何百万人もが犠牲になっていただろう。私と金正恩委員長との関係は良い」と述べ、2月27日、28日にベトナムで再び会談を行うことを表明した。
ベトナムでの開催については、①金正恩委員長の専用機の飛行可能距離を鑑みて、②ベトナムはかつて米国と戦争をしていたが、今では国交を樹立し、友好関係にあること、③ベトナムもドイモイ政策以降経済的に発展しており、それが北朝鮮の経済発展のモデルになることを金正恩委員長に見せるため、ともいわれている。もっとも①については、また中国が航空機を貸与する可能性もある。
②については、朝鮮戦争では、米国を中心とする国連軍と北朝鮮はは戦火を交えている。さらに2017年には「チビのロケットマン」「老いぼれ」と罵倒しあい、あわや戦端が開かれるのではないかとの心配すらあった。それほど敵対関係にあったとしても、友好関係を築くことができるという手本にはなり得るのかもしれない。
ただし昨年の米朝首脳会談のときと同様に、今回も準備不足の感も否めない。実務者交渉は首脳会談の日程が発表された後に行われている。米朝首脳会談で1番の目的であった北朝鮮の非核化は本当に進むのか。金正恩委員長は「将来の核」つまりこれ以上核は造らないとは言っているが、現有の核の放棄は言明していない。②の部分を強調し、ベトナムでの開催を効果的に見せようとして、朝鮮戦争の終戦宣言のみが先行する可能性もある。終戦宣言が非核化のスタートになればよいが、米朝首脳の間で、ゴールになってしまう可能性もある。
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米朝首脳会談は2月27~28日ベトナムで(2月6日)
米国のPoliticoが伝えたところによると、第二次米朝首脳会談は2月27~28日にベトナムで開催されることが決まった模様。
本年1月1日の金正恩委員長は「新年の辞」で朝鮮半島の非核化の決意を表明し、トランプ大統領との再会談をいつでも応じると述べていた。これに対しトランプ大統領も金正恩委員長との会談に期待すると応じていた。
本日、米国のビーガン北朝鮮問題特別代表は平壌で、北朝鮮との実務者交渉を行っている。...
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米国のPoliticoが伝えたところによると、第二次米朝首脳会談は2月27~28日にベトナムで開催されることが決まった模様。
本年1月1日の金正恩委員長は「新年の辞」で朝鮮半島の非核化の決意を表明し、トランプ大統領との再会談をいつでも応じると述べていた。これに対しトランプ大統領も金正恩委員長との会談に期待すると応じていた。
本日、米国のビーガン北朝鮮問題特別代表は平壌で、北朝鮮との実務者交渉を行っている。実務者交渉が当初いわれていた板門店ではなく、平壌で行われているのは、実務者交渉で決めることに対し、金正恩委員長などの決裁や了解を迅速にとれるようにするためと見られる。
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在韓米軍の駐留費:米韓ともに譲歩(2月5日)
在韓米軍の分担金や協定の期間をめぐって米韓での交渉が2018年中にまとまらず、「在韓米軍駐留経費負担に関する特別協定」の期限切れとなっていたが、このほど米韓双方が譲歩することによってまとまることとなった。
2014年の協定では期間5年で、韓国の負担金は9600億ウォン(約8.6億㌦)であったが、トランプ大統領は韓国側の負担を2倍近い16億㌦まで引き上げるように要求し、期間は1年としていた。...
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在韓米軍の分担金や協定の期間をめぐって米韓での交渉が2018年中にまとまらず、「在韓米軍駐留経費負担に関する特別協定」の期限切れとなっていたが、このほど米韓双方が譲歩することによってまとまることとなった。
2014年の協定では期間5年で、韓国の負担金は9600億ウォン(約8.6億㌦)であったが、トランプ大統領は韓国側の負担を2倍近い16億㌦まで引き上げるように要求し、期間は1年としていた。現在在韓米軍は2.85万人である。
今回韓国が期間については1年で譲歩し、一方分担金については、10億㌦を超えない範囲ということで、米国が譲歩することで、新しい協定が結ばれることになった。
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2度目の米朝首脳会談に前のめりなトランプ大統領(2月2日)
(2度目の米朝首脳会談に前のめりな米国)
CIAのコーツ長官が議会で「北朝鮮は現在も核・ミサイル開発を継続しており、核兵器を将来的に放棄する可能性は低い」と証言しているにも関わらず、トランプ政権は2度目の米朝首脳会談に積極的な姿勢を示している。トランプ大統領は1月31日、記者団に対し「北朝鮮との関係は非常に良好であり、外交はとてもうまくいっている」と述べ、2月5日の一般教書演説で米朝首脳会談の正式な開催日と開催地について言及することを示唆した。...
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(2度目の米朝首脳会談に前のめりな米国)
CIAのコーツ長官が議会で「北朝鮮は現在も核・ミサイル開発を継続しており、核兵器を将来的に放棄する可能性は低い」と証言しているにも関わらず、トランプ政権は2度目の米朝首脳会談に積極的な姿勢を示している。トランプ大統領は1月31日、記者団に対し「北朝鮮との関係は非常に良好であり、外交はとてもうまくいっている」と述べ、2月5日の一般教書演説で米朝首脳会談の正式な開催日と開催地について言及することを示唆した。さらにスティーブビーガン北朝鮮特別代表も、自身の講演会で「北朝鮮に核の全容申告と非核化の検証を求め、これに北朝鮮が応じる場合には、米国も同時並行的に関係改善に向けた行動をとる」と非常に柔軟な姿勢を示している。トランプ政権が米朝首脳会談に前のめりな背景には国内で政権の足元がぐらついていることがある。メキシコ国境の壁建設の予算をめぐり1か月以上も政府機関を閉鎖させていたが、民主党に大幅に譲歩してこれを再開させたことからもわかるように下院の過半数が民主党というねじれ議会によって政治的な体力が奪われ、支持率が低下していることに加え、アップルショックで株価が大幅に暴落するなど米中貿易戦争の余波が米国企業にも及び始めていること、ロシア疑惑に関する捜査報告書がこれから発表されるなど良い材料がみられず、これを外交によって挽回したいという思いがあるとみられる。
(米朝会談で何が話し合われるのか)
北朝鮮が米朝首脳会談でまず米国に求めてくるのは制裁の緩和である。国連安保理決議2397は最大の貿易相手国中国との貿易を困難にさせるもので北朝鮮の資金が底をつきかけているという話も出ている。それほど北朝鮮は経済的に苦しい状況にある。米国は北朝鮮の出方によっては段階的に制裁緩和に応じる可能性がある。米国は北朝鮮に核の全容提示やIAEAの査察に応じるよう求めているが、北朝鮮としてはヨンビョンの核施設、ブンゲリ核実験場、ミサイル発射台の廃棄、大陸に届くICBMミサイルの廃棄あたりが最大限の譲歩点でこれに米国がどう反応するかがポイントとなる。さらに北朝鮮は朝鮮戦争の終結宣言を出すことをもとめてくるとみられるが、朝鮮戦争の終結宣言が出された場合には在韓米軍は撤退しなければならないと休戦宣言に記載されている。終結宣言に仮に米国が応じた場合、在韓米軍は段階的撤退となるのかもしれない。日本にとってのワーストシナリオは長距離ミサイルのみの廃絶、在韓米軍の撤退を米国が日本に無断で決めてしまうことで、その場合は核のある朝鮮半島と在日米軍と伴に向き合うことになりかねない。そうならないように米国との情報共有を密にしていかなければならない。
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