中朝貿易再開か(6月28日)
5月の中国通関統計の数字によると、中国の対朝輸出5857万㌦、輸入475万㌦となり、4月に比べ各々2.7倍、2.2倍の水準となっている。ただし国境閉鎖前の1月の水準には達していない模様。
中朝貿易は1月末に北朝鮮が国境を封鎖したことから、2月以降は極端に減少していた(ただし中国通関統計ではコロナウィルスの影響もあり、1月と2月の貿易額をあわせて発表しているので、2月だけの正確な貿易額はわからない)。...
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5月の中国通関統計の数字によると、中国の対朝輸出5857万㌦、輸入475万㌦となり、4月に比べ各々2.7倍、2.2倍の水準となっている。ただし国境閉鎖前の1月の水準には達していない模様。
中朝貿易は1月末に北朝鮮が国境を封鎖したことから、2月以降は極端に減少していた(ただし中国通関統計ではコロナウィルスの影響もあり、1月と2月の貿易額をあわせて発表しているので、2月だけの正確な貿易額はわからない)。なかでも中国の輸入(北朝鮮の輸出)が極端に減少している。たとえば3月の中国の対朝輸入額は前年同月と比べると96.3%減の61.6万㌦にとどまっていた。経済制裁により北朝鮮の主力輸出品である鉄鉱石や石炭、非鉄金属などが輸出できなくなり、かわって制裁品目ではない、時計やかつら・つけまつげなどを北朝鮮は中国に輸出していたが、コロナウィルスの影響により国内の生産体制に影響があり、輸出できなかったものと思われる。中朝貿易は2017年後半から中国が経済制裁を本気で行いだしたことから、大きく減少していたが、それがさらに減少したことになる。とくに中国の輸入が大きく減少しており、北朝鮮は外貨獲得が難しくなっていた。
ただし5月の貿易額が増加したといっても、すでに少なくなっていた2019年の水準にすら遠く及ばない(2019年の月平均の輸出額は2億1571万㌦、同輸入額は1749万㌦)。
中朝間の鴨緑江の友誼大橋のトラックの往来が増加しているとの目撃情報もあることから、今後は少しずつ中朝間の貿易も増加していくものと思われる。
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米国が北朝鮮を核保有に進ませた(北朝鮮外務省)(6月27日)
朝鮮戦争勃発70周年の6月25日、北朝鮮の外務省軍縮・平和研究所は米国が朝鮮戦争を起こし、休戦後も北朝鮮への敵視政策を続け、韓国に核兵器を持ち込み、核戦争演習を続けたことによって、北朝鮮は米国の核の脅威を取り除くために核保有に進まざるを得なかったのだとする研究報告書を発表した。25日の「朝鮮中央通信」が伝えたもの。
そのなかでは米国は19世紀から北朝鮮への侵略を計画しており、朝鮮戦争も米国の三段階からなる極東侵略の第一段階だったとして、米国が準備を主導したとしている。...
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朝鮮戦争勃発70周年の6月25日、北朝鮮の外務省軍縮・平和研究所は米国が朝鮮戦争を起こし、休戦後も北朝鮮への敵視政策を続け、韓国に核兵器を持ち込み、核戦争演習を続けたことによって、北朝鮮は米国の核の脅威を取り除くために核保有に進まざるを得なかったのだとする研究報告書を発表した。25日の「朝鮮中央通信」が伝えたもの。
そのなかでは米国は19世紀から北朝鮮への侵略を計画しており、朝鮮戦争も米国の三段階からなる極東侵略の第一段階だったとして、米国が準備を主導したとしている。また休戦後1954年に開催された朝鮮問題の平和的解決のためのジュネーブ会議を破綻させたのも米国だと非難している。
さらに1950年代から80年代にかけて韓国に1000基をこえる核兵器を搬入したばかりではなく、「原子力空母、原子力潜水艦、核戦略爆撃機など、三大核戦略資産が朝鮮を狙った核戦争演習に総動員された」として「我々が自衛的抑止力を非常に強化しなかったなら、朝鮮半島は数百回もの戦争の惨禍に陥ったはずであり、第三次世界大戦という大災難がすでに起こったであろう」とも述べ、第三次世界大戦が回避できたのは、北朝鮮の抑止力のおかげであるとしている。
そのうえで「米国の核威嚇を取り除くために朝鮮政府は、対話を通じた努力も、国際法に基づいた努力もやってみたが、全部水泡に帰した」「残った最後の選択はただ一つ、核には核で対抗するだけであった。結局、米国が我々をあくまで核保有に進ませたのである」と述べている。2020年5月に開催された中央軍事委員会の拡大会議でも金正恩委員長は「国の核戦争抑止力をいっそう強化」するようにと指摘していたとも述べている。北朝鮮の核は米国の脅威に対抗するためのやむを得ないものであり、あくまで抑止力であり、自衛のためのものであるとの主張である。
また朝鮮戦争も、北朝鮮がソ連の承諾を得て南侵したということが定説となっているが、あくまで米国の極東侵略の一環であったと主張している。
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軍事行動「保留」はいつまで続くのか(6月25日)
2020年6月25日は朝鮮戦争が勃発してから70周年となる。朝鮮戦争では休戦協定しか締結されていないので、朝鮮半島の緊張状態が続いている。
5月31日に韓国の脱北者団体が北朝鮮に向かって気球につけたビラを飛ばしたことから、北朝鮮は韓国非難をヒートアップさせ、軍事行動をほのめかすまでになった。ようやく6月23日になって中央軍事委員会の予備会議が開催され、北朝鮮は軍事行動の“保留”を発表した。...
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2020年6月25日は朝鮮戦争が勃発してから70周年となる。朝鮮戦争では休戦協定しか締結されていないので、朝鮮半島の緊張状態が続いている。
5月31日に韓国の脱北者団体が北朝鮮に向かって気球につけたビラを飛ばしたことから、北朝鮮は韓国非難をヒートアップさせ、軍事行動をほのめかすまでになった。ようやく6月23日になって中央軍事委員会の予備会議が開催され、北朝鮮は軍事行動の“保留”を発表した。その後、北朝鮮のメディアに掲載された対韓非難の13件の記事は削除され、軍事境界線付近に設置された拡声器も撤去された。1200万枚印刷されたというビラの散布も行われていない。
ただしこれで一挙に平和攻勢がはじまるかといえばそうでもなさそうである。24日に金英哲副委員長は「威嚇的に聞こえるかも知れないが、われわれの“保留”が“再考”になるときに吠え面をかくことになるであろう」と警告を発している。これは韓国の鄭景斗国防部長が「軍事行動は“保留”ではなく完全“撤回”になるべき」と発言したことに対して述べられたもの。そのうえで金英哲副委員長は「朝鮮半島の軍事的緊張緩和は、一方の自制と善意的な行動の結果だけでは実現されないし、相互尊重と信頼に基づく双方の努力と忍耐によってのみようやく守られて保証される」としている。
なぜ軍事的行動を“保留”としたのかのはっきりとした理由は述べられていない。韓国が経済協力を行うなどの譲歩をしてくるか、見届けようとしているのだろうか。ただし金発言では“保留”は“再考”となるかもしれないとされ、直ちに軍事行動を“発動”とはなっていないことからすれば、偶発的事件が起きない限り、軍事行動は行われない可能性が高い。
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対韓軍事行動を保留(6月24日)
23日に北朝鮮では中央軍事委員会の予備会議がテレビ会議で開催され、前回の会議で提起されていた対南軍事行動計画を保留することになった。会議は金正恩委員長が司会をしたもの。
中止ではないが、ひとまず北朝鮮は韓国に対する軍事的な挑発を行わないことになった。今後北朝鮮では、金与正党第一副部長がハードルを上げ、金正恩委員長が少しだけ譲歩をするという、新たな形の「瀬戸際戦術」での役割分担を行うのかもしれない。
ビラ50万枚「信頼性低い」韓国政府(6月24日)
韓国の脱北者団体「自由北朝鮮運動連合」は、金正恩党委員長らを批判するビラ50万枚のほか、1ドル紙幣2000枚やSDカードなどを風船20個にくくり付け、北朝鮮に向けて飛ばしたと主張している。
これについて韓国統一省は警察の取り締まりの結果、脱北者団体は風船1個分のヘリウムガスしか入手できておらず、20個を飛ばしたとする主張は「信頼性が低い」との見方を示した。
韓国側に落下していた風船から1ドル紙幣やSDカードなどは見つからず、「風向きなどから考えて北朝鮮側に落ちたビラは無い」としているが、朝鮮戦争勃発から70年となる今月25日を前に、北朝鮮が反発を強めるのは必至である。...
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韓国の脱北者団体「自由北朝鮮運動連合」は、金正恩党委員長らを批判するビラ50万枚のほか、1ドル紙幣2000枚やSDカードなどを風船20個にくくり付け、北朝鮮に向けて飛ばしたと主張している。
これについて韓国統一省は警察の取り締まりの結果、脱北者団体は風船1個分のヘリウムガスしか入手できておらず、20個を飛ばしたとする主張は「信頼性が低い」との見方を示した。
韓国側に落下していた風船から1ドル紙幣やSDカードなどは見つからず、「風向きなどから考えて北朝鮮側に落ちたビラは無い」としているが、朝鮮戦争勃発から70年となる今月25日を前に、北朝鮮が反発を強めるのは必至である。
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