オーストラリア:入管施設への収容期間が他国を大きく上回る(2022/02/16)
テニスのノバク・ジョコビッチ選手がオーストラリアのビザ審査問題で、一時ホテルに収容されたことで、オーストラリアの厳格な移民政策への注目が高まったが、入国管理施設での平均収容日数は、最大689日で、アメリカやカナダ等と比べ大幅に長く、5年や10年も収容されるケースもあるという。
2月16日付英国
『ガーディアン』:「オーストラリア:入国管理施設での平均収容期間は689日」:
ヒューマンライツウィッチ(HRW)よると、豪の入管収容平均期間は米国の12倍で、これは世界的に異質で「記録上最も長く、厳しく違法な政策」だとして批判している。
近年では先月、テニス界のジョコビッチ選手がメルボルンのパークホテルに短期拘束されたことで、オーストラリアの厳格な移民政策への注目が高まった。...
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2月16日付英国
『ガーディアン』:「オーストラリア:入国管理施設での平均収容期間は689日」:
ヒューマンライツウィッチ(HRW)よると、豪の入管収容平均期間は米国の12倍で、これは世界的に異質で「記録上最も長く、厳しく違法な政策」だとして批判している。
近年では先月、テニス界のジョコビッチ選手がメルボルンのパークホテルに短期拘束されたことで、オーストラリアの厳格な移民政策への注目が高まった。しかし一か月以上たち、32人の難民や亡命希望者が同じ施設に収容されているという。
内務省の統計によれば、1,459人が各所の移民拘束所に収容されており、うち70人以上は(パプアニューギニア)ナウル島やマヌス島からの亡命希望者を含む。平均収容日数は、最大689日にまで達し、平均日数がそれぞれ55日、14日の米国やカナダ等と比べ大幅に長くなっている。8人は10年、117人が5年以上滞在しているという。
HRWオーストラリアの調査員は、「非常に長期に渡る無期限の収容は世界的に見て異様だ。心ある国々はこんなことはしない」としている。15歳の時イランから来て、未だに拘束されたままのMehdi Aliは、家族が少数民族のアワジアラブで、オーストラリアでの自由を求め亡命させたという。豪の庇護を受ける難民と認められるも、10年以上ナウルやブリスベンを経てホテルの施設に収容されたままだ。
政府の最新データでは、1日間パークホテルで32人を収容する費用は5.6万ドル以上だという。これをコミュニティでの管轄とすると1900万ドルの経費節約となる。HRWは、長期に渡る拘束は有害で、国財政負担も大きく、難民阻止の観点からも効果がないとし、豪政府は、暴力その他の不正から逃れてきた人々への懲罰をやめ、人権を尊重した方法を取るべきだと主張している。また、移民に関する委員会では、無期限で任意の入管拘束を廃止する案が検討されている。
同日付カタール『アルジャジーラ』:「大きな権限をもつ移民相と豪入管」:
今年1月、ノバク・ジョコビッチが短期間ホテルに収容されたことで、豪の入管システムが世界的注目の的となった。異議を申し立て、豪オープンの参加を期待したが、移民相がビザ取り消しに介入し、セルビアに送還となった。
ホテルや収容センターのビザ申請者には、彼のような富豪は殆どいないが、システム上扱いは同様に厳しいものだという。ビザは移民相の判断にゆだねられており、透明性に欠け、時間をかけることで申請者は精神的に追い詰められる。
豪国境警備隊(ABF)によると、警察を含む関連機関や外部保護団体を通じ、移民省に異議申し立て可能で、2021年までに180人が暫定ビザを得て自由の身となったというが、すぐに国境政策が変わるとは考えにくい。豪は昨年、太平洋の国々と、海を渡り入国しようとする難民は送還し永住権は与えないことに合意した。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、難民や亡命希望者への「長期間」にわたる任意収容を不適切だとして批判している。到着時に速やかに健康と安全の調査を行い、国際基準に見合った最終手段としての収容に限り行われるべきだとしている。
一方、豪政府はこれらの標準を満たしていると主張。豪政府にとり3つの利点があるためで、長期間の収容は難民の恐怖を掻き立て、収容関連企業の金銭的利益となることに加え、当政策に関わる政治家の権力が年々増しているのだという。
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ASEAN外相会議にミャンマー外相を招待しない意向(2022/02/04)
東南アジア諸国連合(ASEAN)の現議長国であるカンボジアは、今月16、17日に開催される外相会議へ、軍事クーデターから1年となるミャンマー国軍任命の外相を招待しない意向を明らかにした。代わりに非政治的な代表の参加を求めているという。
2月3日日付
『Reuters』:「カンボジアがASEAN会議にミャンマー外相を招待しない意向」:
カンボジアは、今月16、17日に開催されるASEAN外相会議に、ミャンマー軍任命の外相ではなく、非政治的な代表を招待すると発表した。カンボジアは現在ASEANの議長国で、昨年末には和平合意に反したとして、ミャンマー国軍の会議参加を阻止していた。
カンボジアのフン・セン首相は、ミャンマー国軍と交渉し再び招待する意向を示していたが、和平プランでの進展が見られないことから加盟国間での合意に至らなかったとしている。...
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2月3日日付
『Reuters』:「カンボジアがASEAN会議にミャンマー外相を招待しない意向」:
カンボジアは、今月16、17日に開催されるASEAN外相会議に、ミャンマー軍任命の外相ではなく、非政治的な代表を招待すると発表した。カンボジアは現在ASEANの議長国で、昨年末には和平合意に反したとして、ミャンマー国軍の会議参加を阻止していた。
カンボジアのフン・セン首相は、ミャンマー国軍と交渉し再び招待する意向を示していたが、和平プランでの進展が見られないことから加盟国間での合意に至らなかったとしている。また、「現状我々はミャンマーに対し不参加ではなく、非政治的レベルの代表参加を求めている」とし、誰を選出するかはミャンマー側に任せるとしている。
カンボジアは2日の声明で、ミャンマーで継続される暴力や人道的面での「強い懸念」を表明。ASEAN加盟諸国は暴力の即時停止などを求めている。
同日付カタール『アルジャジーラ』:「ミャンマー軍、ASEAN外相会議に招待されず」:
ASEANは、国連安全保障理事会が「あらゆる暴力の停止」とアウン・サン・スー・チー氏など拘束中の民間人幹部の解放を求める中、間もなく開催される外相会議へミャンマー国軍任命の外相を招待しない意向を明らかにした。
輪番制のASEAN議長国であるカンボジアは3日、昨年首脳間で合意された和平プランの進展が見られないとの理由から、ミャンマーのワナ・マウン・ルウィン外相はASEAN外相会議に参加できないとし、代わりとして、非政治的な代表を招待する意向を示している。
ミャンマー国内での暴力がエスカレートする中、ASEANは昨年10月の会議にミン・アウン・フライン国軍最高司令官を招待しないという前例なき措置を取った。しかし、加盟国の中では、カンボジアの首相がミャンマー寄りな点で賛否が分かれている。また、先月のミャンマー訪問とミン・アウン・フラインとの面会が軍政を認めたと受け取られるとの懸念もされている。
一方、国連安保理は今月2日の声明で、軍政による非常事態が継続している状況に深い懸念を表し、人民の意思と利益に沿った事態打開に向けた対話を強く促している。
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