フランスでは、差別やいじめ対策として、一部の公立学校で制服が試験的に導入されるという。一方、既に制服が導入されている他国でも、制服規定を破る問題が生じたり、いじめが今も問題となっているとのデータもあるという。
1月8日付
『フランス24』:「フランス、いじめや差別対策として学校制服を試験導入へ」:
フランスでは今年9月、一部の学校で制服が試験的に導入されることとなる。
これはガブリエル・アタル国民教育相が主導する2年間の試験的運用で、学校でのいじめ、仲間からの圧力などの軽減を目的とするもの。一方で、教師や専門家の中には、制服が根本的な問題解決とはならないとの否定的な見方もある。
公開された制服モデルは、袖の短いものを含む、紺のポロシャツ、ジャンパー、胸には小さな国旗が刺繍され、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ行政区とのロゴもある。...
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1月8日付
『フランス24』:「フランス、いじめや差別対策として学校制服を試験導入へ」:
フランスでは今年9月、一部の学校で制服が試験的に導入されることとなる。
これはガブリエル・アタル国民教育相が主導する2年間の試験的運用で、学校でのいじめ、仲間からの圧力などの軽減を目的とするもの。一方で、教師や専門家の中には、制服が根本的な問題解決とはならないとの否定的な見方もある。
公開された制服モデルは、袖の短いものを含む、紺のポロシャツ、ジャンパー、胸には小さな国旗が刺繍され、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ行政区とのロゴもある。同区では、9月から5つの学校でポロシャツが導入される。
アタル教育相は昨年12月、国内各所での試験的な制服導入案を発表していた。参加の意思を表明した複数の公立学校で、新学年が始まる9月からが基本だが、特に意欲の高い学校では春からの導入が始まる所もあり、参加するのは北部トゥールコワンやランス、南部ニースなどの都市となっている。
学校での問題は近年大きくなってきており、生徒と教師の間で、セキュリティ強化が議論されている。先月には、北部の学校で12歳の女子生徒がキッチンナイフで教師を脅す事件が発生。昨年10月にはイスラム教徒の学生が元教師を殺害する事件が起きた。2020年、イスラム教徒が中学校の外で教師を殺害した事件では6人が起訴されている。
今回の制服導入の目標はいじめ対策だが、他国をみても、制服が定着している英国では教師や学校の権限の欠如や、いじめは今も問題となっている。
この試験導入に参加する学校は、2年間学生に制服の着用を求めることとなり、国家レベルで、専門家が科学的評価を行うこととなる。報告書によってその効果が検証されるのだが、既存のデータによると、既に制服を導入している米国や英国などの他国での結果は芳しくはないという。
制服が時に差別を助長するとのデータもある。米国国立女性法センターの調査によると、首都ワシントンの黒人女子生徒は、白人女子生徒に比べ20倍制服規定を破っているとのデータもある。
フランスで長年、主に極右政党が中心となり公立学校での制服導入が議論されてきた。2003年、ザビエル・ダルコス元教育相が提唱し、ジャン=ミシェル・ブランカー元教育相に継承された。2022年には極右政党(国民連合)マリーヌ・ルペン党首が選挙で制服の必要性を主張し、同党議員により制服強制法案が提出されたが与党がこれを否定した。
教員組合、専門家、教師たちの間では、制服ではいじめや差別はなくならないとの意見が一致している。公立学校には他に取り組まなければならない問題があるという。慢性的な予算不足で学校が対策に手が回らないという側面もある。昨年、教師の募集枠は定員割れしている。労働環境の悪化が報告されておりデモも起きている。
同日付キプロス『KNEWS』:「ドレスコード‹服装規定)によるいじめ対策は可能なのか」:
フランスでは、9月から2年間の試験的な制服導入に向けて準備が進められている。差別やいじめ対策としてガブリエル・アタル国民教育相が主導する。
しかし公立学校の教師、心理学者などの専門家は表面的な変更にとどまると懐疑的な見方をしている。
南東部オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ行政区長が、ネイビーブルーの制服試作を発表したものの、ソーシャルメディア上の反応は複雑で、地元の高校生たちはTikTokなどで、このアンサンブルの制服をけなしているという。
制服の試験的導入は全国に展開される予定だが、批判は根強く、いじめや社会的不公平をなくし、規律を正す点で効果が疑われている。また、制服導入はコスト面でもハードルとなり、生徒1人あたりの基本セットで最大200ユーロ(約31500円)となる。
制服が問題解決策となるという政府の主張には、イスラム教徒に関連した服装を巡る議論が影響している。昨年9月、アラブ諸国の女性の伝統衣装「アバヤ」の公立学校での着用が禁止され、国中で服装の価値観に関する議論が巻き起こった。公立学校では緊張感が高まり、暴力事件も発生、安全対策の議論に発展した。
アタル教育相の目的は、いじめ、不平等、成績への対策を制服導入により改善することだが、米国や英国など、海外の制服制度に関する既存の調査によると、結果は不透明となっている。
専門家の間では、制服よりも、労働環境の改善や、教師の給与増額などの根本的な改革が必要だとの声もある。
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12月25日付米
『CNN』:「欧州の数カ国、クリスマスのテロ懸念でセキュリティ強化」:
フランス、ドイツ、オーストリア等欧州ではテロの脅威の中、クリスマスに向けて教会でのセキュリティ強化を行っている。
フランス内務相は、警察や憲兵に全国での教会監視強化を指示。
ドイツ当局も、セキュリティを強化しており、市内の有名な大聖堂への訪問者に入り口で手荷物検査を実施するという。...
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12月25日付米
『CNN』:「欧州の数カ国、クリスマスのテロ懸念でセキュリティ強化」:
フランス、ドイツ、オーストリア等欧州ではテロの脅威の中、クリスマスに向けて教会でのセキュリティ強化を行っている。
フランス内務相は、警察や憲兵に全国での教会監視強化を指示。
ドイツ当局も、セキュリティを強化しており、市内の有名な大聖堂への訪問者に入り口で手荷物検査を実施するという。イスラム系集団がクリスマス・イブまたは新年に教会への攻撃を計画しているとの報道を受け、警察は探知犬を使い大聖堂の捜査を行った。
オーストリアの首都ウィーンでも、欧州各地でテロの呼びかけがあることから、クリスマスのキリスト教系行事での安全対策を行っている。
具体的な脅威は示されていないが、イスラエルとハマス間での戦争が継続中であることから、今月初旬、欧州委員会のユルバ・ヨハンソン内務委員は欧州連合(EU)域内で攻撃の大きなリスクがあると述べていた。
先週には、ドイツとオランダでハマスの戦闘員とされる4人の容疑者が、テロを企てたとして逮捕されている。
同日付星『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』(AFP通信):「オーストリアでイスラム過激派3名拘束、ウィーン、ドイツ、スペインで警戒感」:
オーストリアやドイツで、クリスマスにかけてセキリティが強化されている中、オーストリアでは24日、イスラム組織に関与しているとみられる容疑者3名が拘束された。
ドイツ警察は、大晦日の危険予告により、ケルン市内の大聖堂での手荷物検査の強化を行っている。
オーストリア警察も、「危険が高まっている」として、教会やウィーンの宗教行事、クリスマスマーケットを中心に捜索を強化している。当局は23日、イスラム系組織の4人を逮捕、その内3人はさらなる捜査のため拘束されているという。当局はこの逮捕によるテロの脅威が差し迫ってはいないとしている。
ドイツ日刊紙「ビルト」によると、ドイツでも1人が逮捕されており、アフガニスタンのISの分派イスラミックステート・ホラサン(IS-K)だとされる。ドイツでは観光地であるケルンの大聖堂への訪問や、クリスマス・ミサ礼拝への参列が禁止されている。
欧州では、ケルン、ウィーン、マドリッドのクリスマスのミサがテロの標的とされているという。その他スペインでも、イスラム過激派組織が、大晦日またはクリスマスに、欧州での複数のテロを計画しているとの情報を得ている。
今年7月、IS-Kイスラム組織の一部とされる容疑者が、ドイツとオランダで逮捕された。ドイツの組織は、ドイツ国内でのテロを計画していたと話しているという。
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