クアッド首脳会議:23日に就任したばかりの豪首相が参加
オーストラリア労働党のアンソニー・アルバニージー党首が23日、同国の第31代首相に就任した。労働党は、環境を重視するグリーン系候補や無所属候補の支持を得て、保守党連合をやぶり、9年ぶりに政権に復帰することになった。投票の集計はまだ完了しておらず、内閣もまだ確定していないものの、アルバニージー新首相は日米豪印の4カ国の協力枠組み「クアッド」の首脳会議に参加するために来日した。
仏
『RFI』によると、アルバニージー新首相は、23日の午前に、「スピード就任」を行い、午後に日本行きの飛行機に飛び乗った。同じく23日に就任したばかりの外務大臣をはじめ、3人の側近が同行している。外務大臣には、オーストラリアの外務大臣として初めて海外(マレーシア)出身のペニー・ウォン氏が就任した。
英『ガーディアン』は、バイデン米大統領が月曜日に、台湾を中国の侵略から守るために軍事介入する用意があると示唆したことから、豪首相と外相は、難しい立場に立たされることになったと伝えている。...
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仏
『RFI』によると、アルバニージー新首相は、23日の午前に、「スピード就任」を行い、午後に日本行きの飛行機に飛び乗った。同じく23日に就任したばかりの外務大臣をはじめ、3人の側近が同行している。外務大臣には、オーストラリアの外務大臣として初めて海外(マレーシア)出身のペニー・ウォン氏が就任した。
英『ガーディアン』は、バイデン米大統領が月曜日に、台湾を中国の侵略から守るために軍事介入する用意があると示唆したことから、豪首相と外相は、難しい立場に立たされることになったと伝えている。
わずか半年前、当時のピーター・ダットン前国防相がオーストラリア紙に「台湾で米国が行動を起こすことを選択した場合、我々が米国を支援しないことは考えられない」と語ったことに対して労働党は批判した。当時、影の外務報道官だったウォン外相は、台湾をめぐる紛争のリスクが高まっていることに同意しながらも、これを米国の戦略的曖昧さの政策とかけ離れたものだと指摘し、「我々は台湾に関する長年の超党派の立場を堅持している」と述べた。
4カ国協議に先立ち、アルバニージー首相は、中国との関係は「困難なものであり続ける」だろうが、政府は国家安全保障を政治利用することなく、オーストラリアの国益を追求すると述べた。
中国国営メディアの「環球時報」は、アルバニージー政権下のオーストラリアの対中政策が、前任者の反中国姿勢と異なるかどうかを問う論評を掲載した。「アルバニージー氏のクアッドサミットへの出席は、特に自国の経済と貿易を深く傷つけたモリソン前政権の反中戦略の影を払拭できるかどうかについて、オーストラリアの新政府の政治的知恵の最初のテストになると予想される。」と述べている。そして、「専門家は、オーストラリアの新指導者の中国政策が、米国の戦略的利益に貢献したモリソン氏の無謀な動きとどの程度異なるかについて、慎重な態度をとっている。特に南太平洋の島国では、新政権は中国に対抗するためにより多くの投資を行う可能性が高い。しかし、中国のそれらの国々との協力関係を中傷したり、中国の脅威として歪曲したりしても、中国と太平洋諸島諸国との対等で相互的な協力の方向性は変わらないだろう。」と報じた。
一方アルバニージー首相は、今回の訪日について、「米国だけでなく、日本やインドとの重要な会談は、オーストラリアに新政権が誕生し、気候変動などの問題に対する世界への対応に変化をもたらすと同時に、民主主義の尊重や友好関係、長年の同盟関係を大切にするという継続性を世界に発信する、良い意味で非常に重要なものになる」と述べた。
『オーストラリア放送協会』は、労働党が最後に政権を握った2013年以降、中国が地政学的にどのように変化したかを直接評価する最初の機会となるのが、このクアッド会議であると報じている。2013年は、習近平が国家主席になったのと同じ年である。アルバニージー首相は、ここ数週間、より権威主義的になり、より地域的な主張を強める中国について尋ねられた際、「中国は変わった」と回答している。同メディアは、アルバニージー首相は、今回の首脳会議を通して、この前評価がいかに真実であるかを思い知ることになるだろうと指摘している。
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コロナ、豪ビクトリア州とNSW州でも大幅な規制緩和へ
オーストラリアでは、ニューサウスウェールズ(NSW)州とビクトリア州が24日、濃厚接触者の隔離義務など、新型コロナウイルスに関するさまざまな制限を廃止する。
豪公共放送局
『SBS』によると、ニューサウスウェールズ州では24時間で、15414人の新規感染者と15名の死亡者が報告された。現在1639人がコロナで入院しており、72人が集中治療室(ICU)に入っている。ビクトリア州では、新規感染者が10628人、死亡者が14名新たに報告された。ビクトリア州の病院では、コロナ患者が437人おり、そのうち34人がICUに入院している。
こうした中、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州では大幅な規制緩和が発表された。...
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豪公共放送局
『SBS』によると、ニューサウスウェールズ州では24時間で、15414人の新規感染者と15名の死亡者が報告された。現在1639人がコロナで入院しており、72人が集中治療室(ICU)に入っている。ビクトリア州では、新規感染者が10628人、死亡者が14名新たに報告された。ビクトリア州の病院では、コロナ患者が437人おり、そのうち34人がICUに入院している。
こうした中、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州では大幅な規制緩和が発表された。ビクトリア州のマーティン・フォーリー保健相は、オミクロン株の第2波のピークが過ぎたとして、22日の午後11時59分から多くの規制が緩和されると説明した。
米『エポックタイムズ』によると、23日より、ワクチンパスポートの提示義務や追跡アプリの使用義務が無くなり、小学校、幼児教育、接客業、小売業、そしてすべてのイベント会場で、マスクの着用義務がなくなるという。
病院では、マスクの着用義務は残るものの、訪問者の制限などその他すべての制限が撤廃される。ただし、医療機関では、それぞれの状況に応じて、独自のルールを設けることは許可される。また、公共交通機関、空港、医療、高齢者介護、裁判所などでは、依然としてマスクの着用が必要となる。
コロナに感染した場合、職場と濃厚接触者に通知することが義務付けられるが、職場は、濃厚接触者への通知は必要がなくなる。ただし、濃厚接触者は、屋内でマスクを着用し、病院や老人ホームなどを避けることが要求される。また、7日間の隔離期間が無くなる代わりに、迅速抗原検査で5回以上陰性となることが要求される。産業界は、パンデミックから回復しようとする企業の人材不足を緩和するために、7日間の隔離ルールの終了を要求していた。
『オーストラリア放送協会』によると、ビクトリア州のフォーリー保健相は、「このオミクロン株の亜種BA・2の波は、横ばい状態がしばらく続き、減少しても感染はすぐにはなくならないことが分かっている。しかし、ピークを過ぎたことは確認できている」と述べた。そして、「2シーズンにわたりインフルエンザはほぼゼロであった。この冬はインフルエンザの流行が予想される。」と寒さが厳しくなるにつれて、従来の病気にも油断ができなくなると警告した。
一方、疫学者の間では、規制緩和の決定に対して意見が分かれており、変更を正当化するにはまだ患者数が多すぎるという懸念が持たれている。メルボルン大学の疫学者ナンシー・バクスターはオーストラリア放送協会の番組に出演し、「これらの規制が緩和されることは、コロナが終了したという合図を送ることになるので政治的には好都合です。問題は、コロナのほうが、コロナが終了したというメッセージを受けとっていないことです。」と述べた。同教授は、オーストラリアは現在、1日当たりの新規感染者数が世界で最も多い国の一つであり、規制を緩和しても1日当たりの感染者数を減らすことはできないだろうと述べた。「もし、すべての規制を緩和した場合、多くの入院患者、多くの死亡者、長期の横ばい状態につながるでしょう。」と述べた。
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