新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行問題で、世界経済は大きく影響を受けている。1930年代の大恐慌以来の不況に陥りかけている米経済も、今後如何に立ち直れるかが大きな課題となっている。そうした中、日本でも提唱された“新しい生活様式”に通ずる新しい社会慣習が検討され始めている。それは週休3日制(週4日就業制)で、試験的に実施されたこの制度で従事した就労者の方が、週5日就業している従業員より、感染症問題からくるストレスや疲弊度が軽減されたという調査結果が出ている。
6月13日付
『NBCニュース』:「週4日就業制が正に今の米国人及び米経済に最適」
米国を含め、COVID-19感染症が猛威を振るっていることから、多くの人が働き方の変更を余儀なくされた。
すなわち、テレワーク、時間帯をずらしての出勤、子供のケアを中心にした就業、また、教育界ではオンラインによる生徒・学生への授業等々である。
その結果、多くの従業員から経営者に至るまで、従来の月曜から金曜までの就業制を再考するようになっている。...
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6月13日付
『NBCニュース』:「週4日就業制が正に今の米国人及び米経済に最適」
米国を含め、COVID-19感染症が猛威を振るっていることから、多くの人が働き方の変更を余儀なくされた。
すなわち、テレワーク、時間帯をずらしての出勤、子供のケアを中心にした就業、また、教育界ではオンラインによる生徒・学生への授業等々である。
その結果、多くの従業員から経営者に至るまで、従来の月曜から金曜までの就業制を再考するようになっている。
実は、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(39歳)がまず、COVID-19後の経済回復政策の一環で、週休3日制の採用について提案した。
それを受けて、今年初めまで民主党予備選候補者に名を連ねていたアンドリュー・ヤン氏(45歳、実業家・弁護士、台湾系米国人)が、ソーシャルメディア上で週4日就業制の導入について盛んに喧伝している。
実業界では、実際にオンライン旅行口コミサイト大手のトリップアドバイザー(2000年設立のマサチューセッツ州法人)や教科書出版会社のホートン・ミフリン・ハーコート(1832年創業のマサチューセッツ州法人)が、週4日就業制を試験的に採用している。
但し、COVID-19による収益落ち込みへの対応もあって、従業員宛の支給額減額との抱き合わせではある。
専門家によれば、解雇をせずに経費節減できるこの就業制によって、新たな利益を生み出すかも知れないという。
ニュージーランドの実業家アンドリュー・バーンズ氏(60歳、受託法人パーペチュアル・ガーディアンズ代表)は、“感染症世界流行の影響によって、これまでの就業制を大きく見直す必要性が出てきている”とした上で、“自身の会社で採用した週4日就業制によって、生産性も従業員のモラル向上も達成できている”と強調した。
同氏は2018年、自身がニュージーランドで経営する会社に週4日就業制を採用し、生産性の20%向上、収益性の安定、経費節減、更に従業員自身のストレス軽減と満足度アップという成果を上げている。
この結果を踏まえて、同氏は今年1月に「週4日就業」という本を出版した上、NPO法人“世界の週4日制”を立ち上げている。
ソフトウェア開発・販売大手のマイクロソフト(1975年設立のワシントン州法人)の日本子会社が昨年、週4日就業制を試験的に導入したところ、社風が開放的になって斬新なアイデアがより生み出されるという副次的なメリットが得られているという。
米最大の専門家団体の米人材マネジメント協会(1948年設立、会員数30万人、本部バージニア州)データ解析・研究部門のリズ・スピンスキ部長は、直近の調査の結果、回答してきた経営者の約3分の1が“就業日数短縮”について従業員側と協議を始めているという。
同部長は、今夏にはもっとその数が増すと予想していて、“COVID-19に伴う営業や出勤自粛が続いたことから、新しいシステムを検討、採用するのに良い機会だと考えられる”とコメントした。
何故なら、全員が毎日出社する必要がなければ、感染防止対策のひとつであるソーシャルデイスタンシング・ガイドラインに自ずと従えることになるし、また、子供のケアに柔軟に対応できるようになるからだとする。
なお、同協会の調査の結果、週5日より4日就業の従業員の方が、COVID-19感染流行問題からくるストレスや疲弊度が、より少なかったということも判明している。
一方、専門家の中には、就業日数短縮は万能薬にはならないと警告している。
人材マネジメントに関わるシンクタンク、ワークフォース・インスティテュート・アット・クロノス(1977年設立のマサチューセッツ州法人)のジョイス・マローニー常務は、
営業日の出勤スタッフ減少等で顧客側にサービス低下という不満が生じるかも知れないし、また、特に大手企業にとっては、シフトの組み直し等かなり複雑になるからだとする。
また、米人材マネジメント協会のスピンスキ部長も、窓口業務や現場作業に従事する就労者は就業日短縮という柔軟性を持たせ難いし、経営者側も、出勤日短縮のために出勤当日に残業をさせることになって、結果として人件費が上昇することを嫌うかも知れないとコメントした。
ただ、同部長は、“産業界にとって、変革のための挑戦の絶好の機会”だとも付言している。
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米国土安全保障省(DHS)と米連邦捜査局(FBI)は14日、北朝鮮が開発したマルウエア(ウィルスなどの悪意あるソフトウエア)が現在も多数のコンピューターネットワークに潜んでおり、ハッカー集団が不正アクセスをする手段として利用していると警告した。
DHSとFBIは14日、北朝鮮のハッカー集団が、政府機関や航空会社、金融機関、通信会社、メディア等の企業に攻撃をしかける手段として、2種類のマルウエアの詳細を公表した。
1つは「Fallchill」で、2016年から用いられており、ハッカーが感染したコンピューターを遠隔監視・操作することができる。典型的には、他のウィルスに持ち込まれたファイルや、ユーザーが既に感染したウェブサイトを参照することにより無意識にダウンロードしたファイルを通じて拡散する。追跡しにくいという特徴がある。もう1つは「トロイの木馬」ウィルス系の「Volgmer」で、「スピアフィッシング」として知られるテクニックでコンピューターに感染する。一見問題なさそうに見えるメールのリンク先をユーザーがクリックすることにより、ウィルスが拡散する仕組みである。「Volgmer」は少なくとも2013年から使用されているという。
DHSとFBIは、どちらのマルウエアも「ヒドゥン・コブラ(Hidden Cobra)」と米国政府が呼ぶ、北朝鮮政府による悪意あるサイバー空間上での活動に関連したものであると結論づけている。「ラザルス(Lazarus)」や「ガーディアンズ・オブ・ピース(Guardians of Peace)」といった以前の攻撃に関与したグループ等が関与しており、2009年以来活動を続けているとされる。
DHSとFBIはまた、「Volgmer」による攻撃に使われたと思われる多くのIPアドレスを公開した。インドのものが25%と最も多く、イランやパキスタン等が続いており、これらの国々に早急な対応を要請した。また、マルウエアは既に攻撃したインフラに潜み、再度使用されて不正アクセスを試みる可能性があると警告した。
北朝鮮は繰り返し、いかなる国際的なサイバー攻撃にも関与していないと否定しているが、2016年のバングラデッシュ中央銀行の1億ドル超窃取事件や、韓国社会への大規模なインフラ妨害、2014年のソニー・ピクチャーズの情報流出事件等のサイバー攻撃事案に関わったとされており、各国が強調して今後とも警戒を続けていく必要がある。
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