ギリシャが2020年末までに移民1万人をトルコに送り返す方針、施設の火災や暴動で
ギリシャ政府は9月30日、レスボス島のモリアにある欧州最大の移民・難民キャンプなどに収容する1万人を、経由地となったトルコに送り返す方針を決定した。モリアでは、29日に起きた火災で死亡者が出たが、当局の対応の遅さに抗議する暴動が起きていた。
『AFP通信』やトルコ紙
『デイリー・サバー』、英
『BBC』などによると、レスボス島などエーゲ海の島々にある移民・難民収容施設は過密状態にあり、この状態を緩和することが求められてきた。モリアのキャンプには、定員3,000人のところ約1万3,000人が収容されているが、移民が次々に到着して収容施設は大混雑となっており、危険な状況が続いている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)やレスボス島の知事は、モリアの状況は「危機的」であるとして、その改善のために、移民を早く島外に送るよう求めていた。...
全部読む
『AFP通信』やトルコ紙
『デイリー・サバー』、英
『BBC』などによると、レスボス島などエーゲ海の島々にある移民・難民収容施設は過密状態にあり、この状態を緩和することが求められてきた。モリアのキャンプには、定員3,000人のところ約1万3,000人が収容されているが、移民が次々に到着して収容施設は大混雑となっており、危険な状況が続いている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)やレスボス島の知事は、モリアの状況は「危機的」であるとして、その改善のために、移民を早く島外に送るよう求めていた。
そのモリアのキャンプで9月29日に火災が発生し、1人の女性の死亡が確認された。報道によると、女性の隣に焼け焦げた毛布に包まれた乳児と思われる遺体が見つかった可能性があるという。このほか2人の子どもを含む17人の移民が負傷し、病院に搬送された。当局の火災への対応の遅さに群衆が抗議して暴動となり、鎮圧のため警察が出動した。
ギリシャ政府はこの事態を受けて緊急閣議を開催し、2020年末までに1万人の移民をトルコに送り返す方針であるとの声明を発表した。急進左派連合による前政権の4年半の間に1,805人が送り返されているが、それを大きく上回るペースとするという。
同国政府は声明でさらに、キリアコス・ミツォタキス首相率いる保守政権は、既にエーゲ海での海上パトロールの強化、難民申請を却下した移民の施設への受け入れ停止、難民制度の見直しの計画などを発表してきたと説明している。
ギリシャには現在、約7万人の移民が滞在しており、その内の大半はシリア難民や2015年以降に祖国を逃れた移民であるが、隣国トルコから国境を越えて入国した。ギリシャ政府によれば、レスボス島には過去3カ月間だけで約1万人が上陸した。
ギリシャ政府は徐々にモリアの移民・難民キャンプの施設から移民らを移送していくとしている。国連の統計によると、9月2~15日の間に2,500人以上の移民がギリシャの島々から本土へと移送されたが、実際のところ、島々の施設には依然として2万6,200人以上の移民が収容されているとみられている。
閉じる
世界各国の子どもの権利保護状況;英国やニュージーランドの順位が最下位近くに沈む
オランダの児童権利擁護団体「キッズライツ財団」は14日、世界181カ国での子どもの権利保護状況を表す指数の今年のランキングを発表した。これによると、英国とニュージーランドの順位が最下位近くにまで沈み、シリアや北朝鮮以下となったことが判明した。
『AFP通信』やトルコ紙
『デイリー・サバー』などの報道によると、オランダの非政府組織キッズライツ財団は、エラスムス・ロッテルダム大学のエラスムス・スクール・オブ・エコノミクスと共同で、ユニセフ(国連児童基金)や子どもの権利委員会などの国連のデータに基づき、「児童の権利に関する条約」についての各国の履行状況を毎年調査している。同財団は、5分野の20指標によって調査結果を国別に指数化し、順位付けしている。...
全部読む
『AFP通信』やトルコ紙
『デイリー・サバー』などの報道によると、オランダの非政府組織キッズライツ財団は、エラスムス・ロッテルダム大学のエラスムス・スクール・オブ・エコノミクスと共同で、ユニセフ(国連児童基金)や子どもの権利委員会などの国連のデータに基づき、「児童の権利に関する条約」についての各国の履行状況を毎年調査している。同財団は、5分野の20指標によって調査結果を国別に指数化し、順位付けしている。
同財団は2019年版の年次調査で、英国とニュージーランドでは、移民の子どもらに対する酷い差別が存在し、貧しい若者のための法的保護が欠如しているため、両国の指数は、世界でも最下位に近い水準となったと指摘した。こうした先進国でも、子どもの権利に関する優先順位の置き方が誤っていると警告を発している。
キッズライツ財団創設者のマーク・ダラート理事長は、「英国やニュージーランドのような国が、この指数で実際に最低水準にあることは残念だ。」とメディアに語っている。ランキングでは、英国の順位は181カ国中170位、ニュージーランドは169位だった。
ダラート氏は英国について、「もちろん英国での状況は、アフガニスタンやシリアより遥かに良好だが、その経済情勢や民主主義国家であること、戦争状態にないことに鑑みれば、そうした豊かな先進国で、子どもの権利条約の基本原則に関するスコアが最低水準なのは恐ろしいことだ。」と苦言を呈した。
ランキング上位5カ国は、首位がアイスランドで、ポルトガル、スイス、フィンランド、ドイツが続いた。最下位はアフガニスタンで、その上のシエラレオネ、チャド、赤道ギニア、中央アフリカが下位5カ国となった。日本の順位は25位だった。
同財団は、中国やインド、ミャンマーなど経済成長が著しい国で、子どもの権利保護が進んでいないと指摘した。ミャンマーではイスラム系少数民族ロヒンギャの子どもが満足な教育を受けられず、インドでは5歳未満の子どもの約36%が低体重の状態にある。同団体はこれらの国々に対し、子どもの権利向上の取り組みへの投資を呼びかけた。
閉じる
その他の最新記事