宇宙開発が始まって以来、宇宙ではその都度違う時間が使われていたが、各国で月探索ミッションが進められる中、今後は地球各地の標準時間のように、月にも標準時間が必要だといわれている。
3月7日付米
『ニューヨーク・タイムズ』:「月のタイムゾーンができる可能性」:
各国で月探索ミッションが進められる中、欧州宇宙機関は、月のタイムゾーン制定が必要だとしている。
宇宙開発が始まって以来、数十年間、月探査ミッションは当事国の時間に合わせて行われていた。しかし、複数のミッションが入り組む現在、欧州宇宙機関(ESA)は、現在のシステムは持続性がないと判断、その解決方法として、月のタイムゾーン制定案をあげている。その主な目的は、様々な国や企業間でのコミュニケーションをスムーズに行うことだ。
日本企業「マイスペース」は今年4月、ミッション1月面探査機を月面着陸させることを目標とし、2024年にはNASA(米航空宇宙局)は1972年のアポロ17号以来最初の有人月面着陸を、2025年には4人の宇宙飛行士の月着陸を予定している。昨年中国が宇宙ステーションの建設に成功、2030年までの月面着陸に意気込み、韓国も昨年8月、宇宙船「タヌリ」をスペースXのファルコンに搭載している。
ESAは声明で、「探査が増えるにつれ、ミスコミュニケーションの可能性も増してきた。ミッションによっては、月の周辺で同時に行われるだけでなく、共同観測やランデブー操作において、互いに連絡を引き継ぎながら行われる可能性もある」とする。
このように月の国際的開発が進んでいることから、このような月の時間測定案は重要となる。「正確な時間は地球でのナビゲーションの要であり、月と地球間のナビゲーションにとっても重要となる」という。
一方で、世界共通の時間管理システムの詳細は未定のままとなっている。議論すべき点の一つは、月標準時間において、「月を基準とするか、地球と連動したものにするか」という問題だという。
地球の時間は原子時計に基づくが、月で時間をシンクロさせるのは難しい。というのも、月では時計が一日に約56マイクロ(1秒の100万分の1)早く進むからだ。月の時計開発が実現すれば、それは将来的には、火星探査等、今後の宇宙開発に生かされるだろう。
同日付印『NDTV』:「欧州宇宙機関、月標準時間の”早急な”制定を求める」:
各国が近い未来に向けた月の基地建設計画する中、欧州宇宙委員会(ESA)は、”早急な”月のタイムゾーン制定が必要だとしている。
ESAは地球の天然衛星に関し、今後は共同して通信や作業をすることになることから、独自のタイムゾーンが必要だとの見解を示している。
ESAのナビシステムエンジニアのピエトロ・ジョルダーノ氏は、「月にいる間に、時間が測れる共通の月時間が必要だ。国をまたいだ合同作業が行われ始めている」とし、国際的な月面システムやユーザーが利用できる月標準時間の重要性と緊急性を強調する。
これは昨年11月オランダにあるESAの欧州宇宙研究技術センター(ESTEC)で提言されたもの。月面上の通信やナビゲーションサービスを網羅した共通の「ルナネット」の一貫となる。
一方で、月では日毎に56マイクロ秒時計が早く進むことや、月面上では軌道上と時計の進み具合が違うことから技術的な課題が残されている。
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2月28日付
『ロイター通信』は、「米政府、児童労働の大幅増を受けて取締り強化宣言」と題して、昨年発覚した児童労働禁止法(注後記)違反について、その後の調査で、特に不法移民の子供らを労働させる違反が急増していることが分かったため、バイデン政権が徹底的取締りを行う旨表明したと報じている。
バイデン政権は2月27日、『ロイター通信』他のメディアの調査報道どおり、児童労働違反事例が急増していることを受けて、取締りを強化すると発表した。
米高官によると、労働省が調査したところ、危険職種の雇用含めて、児童労働禁止法違反が2018年比70%近くも増えていたという。
そして、2022年度では835社が同法違反を犯していたことが分かった。
同高官によると、労働省の担当局が、スナック菓子・シリアル等で知られるハースサイド・フード・ソリューションズ(HFS、2009年設立、本社ミシガン州)及び韓国自動車メーカー大手の現代自動車(1967年設立、本社ソウル)米子会社の捜査に入っているという。
更に、バイデン政権は、同法違反者に対する厳罰化とともに、監視体制強化のための予算配分を遂行しようとしているという。
米連邦法では、ほとんどの業種で16歳未満の児童を雇用することを禁じていて、工場等における危険職種において18歳未満を起用することが禁止されている。
取材に応じたある高官は、“19世紀でも20世紀でもなく、今現在発生している事態だ”と警鐘を鳴らした。
関係当局の声明文によると、現行法での罰金額の最高額は児童一人当たり1万5,138ドル(約205万9千円)であるが、“安過ぎて抑制効果がない”と言及している。
食品会社HFSの捜査については、『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』紙が、同社の著名なスナック菓子のチューウィ・グラノーラバーやチートス、またシリアルのラッキー・チャームズの製造工程に児童を起用していると報道したことを受けたことから始まっている。
HFSの違反事例は最新のもので、『ロイター通信』は昨年2月、アラバマ州における鶏肉加工工場における児童労働法違反事態の報道を皮切りに、同州在の現代自動車米子会社及び部品供給会社における児童労働違反事例を報じてきていた。
今年2月初めには、労働省による別事件の捜査の結果、ある大手食品会社が、8州で運営している食肉処理工場で100人以上の児童労働を強いていたことが摘発され、計150万ドル(約2億400万円)の罰金を科せられている。
『ロイター通信』がかつて報じたことであるが、不法移民として米入国の児童らが支援者や親戚等に引き取られた後、最終的に児童労働を強いられる環境に置かれるという多くの事例が認められている。
特に中央アメリカの不法移民が多い。
当局も、長期間のきめ細かい支援をする必要があることは認めているものの、実際問題は手が回らず、結局労働者派遣会社の下で、大人と偽って派遣労働者としてかかる児童が働かされてしまうという現実がある。
2月27日付『AP通信』は、「ホワイトハウス、移民の児童労働法違反取締りを強化と表明」として、詳報している。
バイデン政権は2月27日、特別任務チームを組成して、移民の児童労働法違反取締りを強化していくと宣言した。
直近5年間で、数百社の企業において4千人以上の児童労働事例が判明していて、急増の一途である。
この背景には、不法移民として入国してきた児童らが、保護施設を短期間で追い出され、結果として児童労働に駆り出される事態となっていることから、保健福祉省のハビエル・ベセラ長官(65歳、2021年就任)が窮地に追い込まれている。
何故なら、最初に『NYT』が報じたところによると、同長官が昨夏、不法移民の児童について、収容しきれない保護施設から可及的速やかに退去させるよう指示していたことが判明しているからである。
『NYT』報道によると、12歳の児童含めて100人以上が、米国内の大手・中小企業問わず、夜間労働や危険職種での業務に従事させられていたという。
ただ、ホワイトハウスのカリーヌ・ジャン=ピエール報道官(45歳、2022年就任)は、ジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)がベセラ長官に“全幅の信頼”を置いているとして、同長官を擁護している旨表明している。
なお、同長官はメキシコ移民の子弟であり、長い間移民擁護の活動をしてきていた。
一方、バイデン政権としての大きな悩みは、政権奪取以来不法移民の数が急増していることである。
2021年10月~2022年9月期では、不法移民数が238万人と、前年比+37%も増えていて、トランプ政権下で最多となった2019年度の倍以上となっている。
そこで、保健福祉省及び労働省は2月27日、新たに特別任務チームを立ち上げて、不法移民の対応、特に児童の保護施設での擁護改善を図り、児童労働に駆り出されることがないよう、可能な限り長期かつ密接に見届けていくとしている。
なお、労働省は、児童労働による成果物を輸出させないとも強調している。
(注)児童労働禁止法:国際労働機関(ILO、1919年設立)主導で1973年に制定された国際条約に基づき作られた法律。義務教育年齢とされる児童(多くの主要国では15歳)以下の労働を禁止し、また18歳未満の危険職種での起用を禁じている。
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