憎悪犯罪やヘイトスピーチに関する最新の調査によると、イギリスとアメリカではネット上のヘイトスピーチがコロナ禍で2割増加し、昨年はアジア人へのヘイトスピーチがピークとなっていたという。ロックダウンで多くの時間を持て余し、生活をコントロールできなくなることも要因とされる。パンデミックとの関係性についての客観的データは不足しているものの、ネット上の中傷は常態化し、コロナ禍を過ぎてもそれほど変化しないとみられている。
11月15日付英国
『BBC』は「コロナ禍で常態化、オンライン上のヘイトスピーチ20%増」との見出しで以下のように報道している。
いじめ対策の慈善団体「Ditch the Label」が2019年~2021年半ばまでの米国と英国内2億人超のネット上の書き込みを調査したところ、5000万件の人種差別やヘイトスピーチを含む投稿が見られたという。
このような投稿は大きなニュース項目に対して最も多く見られ、昨年3月のWHOによるコビット19蔓延宣言、昨年6月のブラック・ライブズ・マター運動、今年3月帰宅中の女性が警官に殺害された事件等についての投稿が多かった。...
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11月15日付英国
『BBC』は「コロナ禍で常態化、オンライン上のヘイトスピーチ20%増」との見出しで以下のように報道している。
いじめ対策の慈善団体「Ditch the Label」が2019年~2021年半ばまでの米国と英国内2億人超のネット上の書き込みを調査したところ、5000万件の人種差別やヘイトスピーチを含む投稿が見られたという。
このような投稿は大きなニュース項目に対して最も多く見られ、昨年3月のWHOによるコビット19蔓延宣言、昨年6月のブラック・ライブズ・マター運動、今年3月帰宅中の女性が警官に殺害された事件等についての投稿が多かった。
同団体のリアム・ハケットCEOは、「ロックダウン中に多くの時間を家の中で過ごしていたことが明らかにいじめ増加の原因だという。いじめや荒らしをする人々はメンタルヘルスの問題やトラウマを抱え、家庭内で虐待を受け自分自身もいじめの対象にされている場合もある」とする。
以前にもコロナ禍でオンラインいじめが受けたという報告は既にあったが、これが「常態化」していることが今問題なのである。そこで政府による対策と同時に、子どもたちへの早期教育も必要とされるだろう。小さいころから、ネット上でいじめが過激化することを理解させる教育の役割は大きい。
同日付米国『フォーブス』は「昨年アジア人に対するヘイトスピーチが1662%急増」との見出しで以下のように報道している。
新たな調査によると、オンライン上でのブログやフォーラムでのヘイトスピーチが急増しているという。いじめ対策慈善団体「Ditch the Label」が「Brandwatch」と共同で行った調査によると、パンデミックの前はネット上のヘイトスピーチと実際のヘイトクライムの報告数に相関関係が見られていたが、パンデミック後には、オンライン上のヘイトスピーチが38%も増加したという。
英国と米国では、人種や宗教的なヘイトが28%増加し、暴力的な脅迫件数も22%増加。平均1.7秒ごとに人種や宗教的なヘイトスピーチが投稿されている計算となった。更に最も注目すべきは、昨年アジア人へのヘイトスピーチが前年比で1662%増加していたことである。これは「中国ウイルス」と呼ばれたコビット19の蔓延宣言が出された昨年3月に最高となっている。しかし、今年3月アトランタで起きた女性を含むアジア人殺害事件を受け、セレブの間でアジア人コミュニティへの暴力行為に抵抗しようという動きが出始めヘイトスピーチの減少に繋がった。
ネット上で最も多いのは、人種や性差別、同性愛嫌悪的な非難中傷や比喩的表現で、次に多いのが脅迫で、フォーラムで最も多くみられるという。またネット上のトラブルが現実に反映される場合もある。米国ではヘイトクライムがスピーチよりも先に増加したが、英国では、ヘイトスピーチが先に増加し、後でヘイトクライムの順となった。
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国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ、注1後記)がこの程公表した「パンドラ文書」(注2後記)の中で、世界の多くの著名人が租税回避を行っていたことが判明した。富豪や有名モデル、スポーツ選手、ギャング、中小企業の経営者、医師などに加えて、90以上の国・地域で活躍する330人以上の政治家も名前を連ねている。そして、その中には、ウラジーミル・プーチン大統領(68歳)の愛人や旧友名義の隠し財産があったことが判明した。
10月3日付
『ニューヨーク・ポスト』紙:「プーチン大統領の愛人が1億ドルの隠し財産を保有していることが“パンドラ文書”で判明」
ICIJが直近で公表した「パンドラ文書」によって、ウラジーミル・プーチン大統領の長年の愛人とされた女性が、これまで明らかになっていた質素な生い立ちと異なり、しゃれたマンションやヨット等、推定1億ドル(約110億円)の“隠し財産”を保有していることが判明した。
スベトラーナ・クリボノギク氏(46歳)で、彼女の出身地であるサンクトペテルブルク市においてプーチン氏が同市副市長に就任して以来の付き合いとされ、二人の間には女の子がいると言われている。...
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10月3日付
『ニューヨーク・ポスト』紙:「プーチン大統領の愛人が1億ドルの隠し財産を保有していることが“パンドラ文書”で判明」
ICIJが直近で公表した「パンドラ文書」によって、ウラジーミル・プーチン大統領の長年の愛人とされた女性が、これまで明らかになっていた質素な生い立ちと異なり、しゃれたマンションやヨット等、推定1億ドル(約110億円)の“隠し財産”を保有していることが判明した。
スベトラーナ・クリボノギク氏(46歳)で、彼女の出身地であるサンクトペテルブルク市においてプーチン氏が同市副市長に就任して以来の付き合いとされ、二人の間には女の子がいると言われている。
英国メディア『ザ・ガーディアン』紙報道によると、共同アパート育ちのクリボノギク氏のみならず、プーチン氏の旧友までも、バージン諸島他のタックスヘイブンに設立したペーパーカンパニー名義で巨額の資産を保有しているという。
「パンドラ文書」によると、クリボノギク氏は2003年9月、ブロックビル・ディベロップメントというオフショア企業(租税回避地に設立された会社)を通じて、モンテカルロ(南仏モナコ公国の都市)の4階建ての豪華マンションを購入している。
更に彼女は、サンクトペテルブルクのアパートやその他価値ある資産を取得している。
彼女の他、プーチン氏と長い付き合いのある側近や旧友も、税法が緩いモナコに多くの資産を保有している。
現地のドミニク・アナスタシス弁護士は『ザ・ガーディアン』紙のインタビューに答えて、“今やモナコはモスクワの一部と化していて、皆(保有資産を)見せびらかすことしか頭にない”とコメントした。
更に、同弁護士は、“誰も資金の出処に関心がないし、税務申告を求められることもない”と付言している。
モナコに資産を保有している中で突出しているのは、1990年代からプーチン氏と親交のある旧ソ連の官僚だったゲンナジー・チムチェンコ氏(68歳)である。
元原油トレーダーだった同氏は、1991年にプーチン氏から原油輸出許可証を取得して以来原油取引で蓄財し、後にプーチン氏と共同名義で原油輸出会社グンボル(2000年設立のスイス法人)を立ち上げて大儲けしている。
米経済誌『フォーブス』(1917年創刊)報道によると、チムチェンコ氏の保有資産は220億ドル(約2兆4,200億円)であるという。
もう一人、プーチン氏の旧友で成り上がった人物はピーター・コルビン氏(60歳後半)である。
彼らは父親同士が親しかったことから仲が良かったが、コルビン氏にほとんど資格・資質がないにも拘らず、2003年にサンクトペテルブルク本拠のインターナショナル・ペトロリアム・プロダクツの重役に登用されている。
ただ、プーチン大統領は、「パンドラ文書」に記載されている企業との関係を一切否認している。
しかし、目下投獄されている野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏(44歳)は、彼の率いる「反汚職基金」(2011年設立)が調査した限り、プーチン氏は“世界有数の富豪”となっていると非難している。
(注1)ICIJ:世界のジャーナリストが共同で調査報道を行うためのネットワークで、1997年に発足。現在117ヵ国600人以上のジャーナリストが参加し、コンピュータの専門家・公的文書の分析家・事実確認の専門家・弁護士らが協力。活動資金は個人・団体からの寄付金で賄われ、政府からの資金は受けない。本部のあるワシントンD.C.には20人のスタッフが常駐。
(注2)パンドラ文書:ICIJが、各地の租税回避地(タックスヘイブン)に会社や信託を設立・管理する法律事務所や信託会社など14社から入手した1,190万件以上の内部文書。構成ファイル1190万件・合計2.94テラバイトというパンドラ文書では、世界中の大統領や首相、裁判官、軍幹部などがタックスヘイブンのダミー企業を使って税金を回避していたことが判明。
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