米メディア、中国GDPの数字に首をかしげる
中国国家統計局が4月18日に1-3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比+4.8%と発表した。この数字に対し、
『ウォールストリート・ジャーナル』など複数の米メディアが疑問を呈している。
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『ウォールストリート・ジャーナル』は、中国政府は今年、成長を阻む問題が山積する中、経済を活性化し続けるための大きな試練に直面している、と伝えている。「ゼロ・コロナ」政策は、個人消費に打撃を与え、不動産逼迫とテクノロジーや教育などの産業に対する規制強化が経済に打撃を与えている。
ロシアのウクライナ侵攻とそれに対する欧米の制裁は、商品価格を高騰させ、企業のコストを押し上げ、小麦、石油、金属、その他の商品のグローバルサプライチェーンを混乱させている。...
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『ウォールストリート・ジャーナル』は、中国政府は今年、成長を阻む問題が山積する中、経済を活性化し続けるための大きな試練に直面している、と伝えている。「ゼロ・コロナ」政策は、個人消費に打撃を与え、不動産逼迫とテクノロジーや教育などの産業に対する規制強化が経済に打撃を与えている。
ロシアのウクライナ侵攻とそれに対する欧米の制裁は、商品価格を高騰させ、企業のコストを押し上げ、小麦、石油、金属、その他の商品のグローバルサプライチェーンを混乱させている。インフレの加速は欧米の消費者を圧迫し、中国の製造品に対する海外からの需要も減っている。戦争、インフレ、そして長年にわたってアメリカや他の先進国の成長の柱であった金融緩和政策の急速な撤回によって、世界経済の見通しは暗くなる一方である。
こうした中、中国の国家統計局が4月に発表した第1四半期のGDPは、年間4.8%増と、2021年の最終3カ月に記録した4%増や、専門家が予測していた4.6%増よりも速いペースであったことを発表した。ただし、第1四半期の成長のほとんどは、1月と2月に集中している。3月には、新型コロナウイルスの発生を抑えるための閉鎖措置が、深セン、上海、東北部の吉林省などの主要な工業地帯に広がった。これらの閉鎖措置のほとんどはまだ実施されている。データによると、コロナ規制によって労働力が制限され、サプライチェーンが寸断されたため、3月の工場生産高は減少した。それでも3月の工業生産は前年同月比5%増を記録したという。最近の貿易統計によると、3月の中国の輸入はほぼ2年ぶりに減少し、輸出も伸びが鈍化した。
また、3月の小売売上高は前年同月比3.5%減となり、1月から2月期の同6.7%増から減少した。また、第1四半期の住宅販売件数は前年同期比25.6%減、着工面積は17.5%減となった。どちらも、今年最初の2カ月間より落ち込みが激しかった。
国家統計局の報道官は、「国内外の環境の複雑さと不確実性が増し、経済発展はより多くの困難と挑戦に直面している」と述べた。特にゼロ・コロナ政策により、北部の工業都市太原、南部の大都市広州など、全国各地で新たに閉鎖措置がとられたり、拡大・延長されたりしている。野村證券の調査によると、4月には、中国の45都市(人口3億7300万人)が完全または部分的なロックダウンが強いられた。この45都市は中国の人口の4分の1以上、経済総生産額の約40%を占めている。
なお、中国の失業率の主要指標である都市部の失業率は、3月に5.8%に上昇し、過去2年間で最高となった。『ウォールストリート・ジャーナル』は、多くのエコノミストにとって、GDPの成長がどこから来ているのかは明確ではない、と指摘している。
米『フォーブス』は、「中国は国内総生産(GDP)の帳尻を合わせているのではないか」という根強い疑問が残ると報じている。中国の23の省の成長率が、共産党が四半期ごとに発表する全国ベースの数字と乖離しているたびに再浮上してくる疑問だという。同誌は、中国の第1四半期のGDP4.8%という数字は、不動産市場の暴落や大規模なロックダウンが再開される中、意味をなさないと指摘している。
米シンクタンク「ロディウム・グループ」のエコノミスト、ローガン・ライト氏は、不動産業界、産業生産、独立系の調査データから衛星データまであらゆるデータを監視しており、中国の現在の統計データは「相当あり得ない」ものだと考えている。「データの長期的な信頼性に関して、より大きな疑問が生じ始めている」と米『ブルームバーグ』に語っている。
フランスの投資銀行ナティクシス社のエコノミスト、アリシア・ガルシア-へレロ氏は、1月と2月の固定資産投資が好調であったという統計データは、電力とセメントの落ち込みと相容れないものだと説明している。同氏は、第1四半期のGDPは「現場で実際に起きていることをいくらか歪曲した形で示している」のではないかと疑っている。専門家達は、3月の新築住宅販売件数が29%減少した一方で、GDPは勢いを増していることに疑問を感じている。BNPパリバのジャクリーン・ロン氏は、中国では「データに示される不動産の回復力と現場の感覚との間にかなり大きなギャップがある」と指摘している。
『フォーブス』は、習近平は、情報に対する「グレート・ファイアウォール」をより大きく、より不透明なものにし、香港の報道機関を追及するなどメディアの自由を抑えたことで、10年前よりも中国をブラックボックス化させたと伝えている。そして、信頼される市場経済への転換を目指した習近平時代から10年が経過したが、疑心暗鬼の人々にとっては、答えよりも疑問の方が多いのが現状だと伝えている。
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ロシアの武器工場と米フィリップ・モリスの繋がり
米たばこ大手フィリップ・モリスは、ロシア国内の新規投資中止や事業撤退で業績不振となっているが、EUの制裁対象となったオリガルヒを介して、ロシアの武器製造との関係があったという。
4月21日付
『ロイター通信』:「武器供給制裁リスト対象人物にフィリップ・モリス社との繋がり」:
米国のたばこ大手フィリップ・モリスと長年の関係があるロシア軍向け武器工場の主要株主が、ロシアの侵攻を支援しているとして、欧州で制裁対象となっている。
55歳のイゴール・ケサエフ氏は、昨年フォーブス誌の長者番付で35番目に入る富豪。今月8日にはEUが、13日には英国が、制裁リストに追加している。...
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4月21日付
『ロイター通信』:「武器供給制裁リスト対象人物にフィリップ・モリス社との繋がり」:
米国のたばこ大手フィリップ・モリスと長年の関係があるロシア軍向け武器工場の主要株主が、ロシアの侵攻を支援しているとして、欧州で制裁対象となっている。
55歳のイゴール・ケサエフ氏は、昨年フォーブス誌の長者番付で35番目に入る富豪。今月8日にはEUが、13日には英国が、制裁リストに追加している。EUは声明で、「ケサエフ氏のたばこや武器生産への関与は、ロシアのウクライナ侵攻において資金面で重要な位置を占めている」としている。
ケサエフ氏はモスクワの北東165マイルにあり、ロシア軍、中東、北アフリカ、中南米向けの機関銃や対戦車・航空爆撃機を製造するVAデグチャレフ工場の株49%を保有。この工場は、カラシニコフ式機関銃PKMなどの製造で知られている。
同氏の武器ビジネス関与は2012年からとなる。今月公表された昨年の企業報告によると、ケサエフ氏が工場の49%の株主とされているが、同氏のスポークスマンは「現在はデグチャレフの株主ではなく、経営にも関っていない」としている。
最近まで彼は、ロシアのたばこ販売大手TCメガポリスの会長職でもあった。また、TCメガポリスのオランダ持株会者の役員も兼任しており、ここは米「フィリップ・モリス」が23%の株を所有する企業だったという。どちらの役職も今月11日付で退任しているというが、EUによると、「メガポリス」を傘下に持つ「マーキュリーグループ」の会長としての影響力は変わっていないという。
フィリップ・モリスと彼との関係は1990年代からで、ウクライナ侵攻で使われるロシアの武器のイメージは評判のリスクだ。西側諸国が、ロシアやロシア経済を支配するオリガルヒとの関係断絶に奔走する中、軍への武器供給との歴史的な関りがあればなおのことである。
戦闘地でのロシア軍機に、デグチャレフ工場で製造された武器が使用されているかは、ウクライナ側からの証拠により浮かび上がってきた。今週、戦闘地で回収されたロシアの武器をウクライナの戦闘機へ再利用するため、キーウの自動車工場でKord重機関銃を確認したところ、ロシアのデグチャレフ工場製造ものとみられる刻印が見つかった。
同日付印『Indian Lekhak』:「ロシアへの武器供給で制裁対象者のイゴール・ケサエフに米国とのコネクション」:
ロシアは世界一の喫煙国で、たばこ企業にとり夢の市場。世界保健機構によると、男性の4割超が喫煙者。ロシアの人口は米国の半分以下だが、年間の売上本数は米国と同定度となっている。現在、フィリップ・モリスは、インドネシアに続き、ロシア市場がメイン。昨年には、収益において、ロシア国内の最大規模の外国企業となった。
ケサエフ氏は、地方の企業買収を繰り返し、ロシア最大のたばこ販売会社を生んだ。メガポリスは、16万か所に販路を持っている。同氏は、2大コンビニ大手を運営するマーキュリー・リテール・グループの大株主3名の1人。2013年フィリップ・モリスとJTが、メガポリスの持株会社の株各20%を手に入れた。
フィリップ・モリスはカサエフ氏やロシア市場との長期的結びつきが強く、ロシア離れは難しいとみられる。英バース大学のたばこ産業研究フェローは、「4半世紀かけ築き上げたブランとプレゼンスを放棄するのは困難」だと指摘。世界的にたばこ産業は、アルジェリアと並び、ロシアとの結びつきは強い。同氏の武器事業からの撤退で、たばこ業界での展望にも影落としかねない。ロシアとの関係を断絶するには、フィリップ・モリスはメガポリスの全株を売却する必要がある。
多国籍たばこ企業でロシア問題をかかえるのはフィリップ・モリスはだけではない。日本たばこ産業(JT)はロシア国内市場最大となる3分の1を占める。同社は3月10日、ロシア国内での新規投資と市場活動の停止を発表したが、撤退には至ってはいない。政府が3分の1の株を保有しており、財務省は声明で、JTの事業は「適用法に従い、状況に応じた適切で迅速な行動をとる」 としている。
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