反中国運動;かつて中国と蜜月関係にあったチェコも米国との連携に大きく舵切り【米メディア】(2020/08/20)
トランプ政権の対中国強硬政策が威力を増している。それに呼応するかのように、ほんの数年前まで中国と蜜月関係にあった東欧のチェコ(1993年にチェコスロバキアから分離して成立)が、やはり民主主義の方が重要だとして米国との連携に大きく舵を切っている。
8月19日付
『ボイス・オブ・アメリカ(VOA)』:「プラハでのポンペオ国務長官歓迎がチェコの中国離れを象徴」
マイク・ポンペオ国務長官(56歳)は先週、訪問先のプラハ(チェコ)で熱烈歓迎を受けた。
これは、チェコが、かつて蜜月関係にあった中国と袂を分かち、米国資本及び民主主義の価値の方を選択したことを意味する。
ほんの数年前までは、チェコ・中国間は双方の首脳が頻繁に行き来する等、大変な友好関係にあって、習近平(シー・チンピン)国家主席(67歳)が2016年3月に同国を訪問した際には、21発の礼砲(注1後記)で異例の歓迎を受けている。...
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8月19日付
『ボイス・オブ・アメリカ(VOA)』:「プラハでのポンペオ国務長官歓迎がチェコの中国離れを象徴」
マイク・ポンペオ国務長官(56歳)は先週、訪問先のプラハ(チェコ)で熱烈歓迎を受けた。
これは、チェコが、かつて蜜月関係にあった中国と袂を分かち、米国資本及び民主主義の価値の方を選択したことを意味する。
ほんの数年前までは、チェコ・中国間は双方の首脳が頻繁に行き来する等、大変な友好関係にあって、習近平(シー・チンピン)国家主席(67歳)が2016年3月に同国を訪問した際には、21発の礼砲(注1後記)で異例の歓迎を受けている。
そして、これを契機に、中国投資会社トップの葉簡明氏(イェ・チャンミン、43歳、民間企業大手の中国エネルギー・ファイナンス創始者、同社は2020年3月倒産)がプラハの大統領府ビル内に事務所を構える等、両国間は蜜月関係にあった。
しかし、葉氏が国際的スキャンダルを引き起こし、プラハから撤退するようになってから、両国間関係は悪化の一途を辿っている。
先週、アンドレイ・バビシュ首相(65歳)はポンペオ長官との共同記者会見に臨んだ際、中国は“自身が期待した程には全くチェコに投資しなかった”と非難した上で、“それに引き換え、米国からは2,500社余りが実際に投資し、当国に5万5千人以上の新規雇用を生み出してくれている”と称賛した。
一連の動きに関し、駐米チェコ大使館のハイネック・クモニチェック大使(57歳)は『VOA』のインタビューに答えて、“チェコは中国による投資が不十分で不満に思っている”とし、“目下は米国との連携強化方針で進んでいる”と明言した。
同大使によれば、チェコも米国も、“民主主義と人権は大原則、かつ外交政策において重要な柱のひとつ”と捉えているとした上で、“チェコのビロード革命(注2後記)を主導し、後に投票によって選出された最初の大統領に就任した故バーツラフ・ハベル氏(1936~2011年、人権擁護を求めた憲章77(反体制運動を象徴する文書)を起草)の遺産が脈々と伝え継がれている”と強調した。
これを象徴するかのように、バビシュ首相は会見で、ベラルーシで起こった不正選挙でアレクサンドル・ルカシェンコ大統領(65歳、1994年から長期政権)が再選された件に触れて、“チェコ近隣国でかかる事態が発生していることは遺憾である”とした上で、“ベラルーシ市民がチェコ市民と同様の自由の権利を堅持できるよう、欧州連合(EU)に具体的対応措置を求める”とも断言した。
これとは対照的に、中国は、欧州最後の独裁者と言われるルカシェンコ大統領を擁護しているとみられ、国営メディア『中国中央テレビ』が今週、反体制派のデモ行動の映像を流し、同大統領支持の姿勢を見せている。
また、同じく国営メディアの『環球時報』は、欧州の国々がこれまでの中国の貢献を蔑ろにして中国をのけ者扱いにしている、と嘆く記事を掲載した上で、同メディア主筆は、欧州各国は米国による“外交上の盾や戦略上の隷属者”になることを拒むべきだと要求している。
この主張に対して、クモニチェック大使は、“このような話はチェコ共産党々首からしか聞いたことがない”と一蹴した。
なお、同国共産主義者は、30年前の旧ソ連崩壊とともに発生したビロード革命を契機に一掃されており、チェコ共産党は上院議会では一席も獲得しておらず、また、下院においても近年は議席を大きく減らしている。
(注1)礼砲:国際儀礼上行われている、大砲を使用した軍隊における礼式の一種。空包を発射し、敬意を表明する。かつての大砲(前装砲)は連射ができず、再装填するには砲身の清掃や砲薬の充填などの作業が必要であったため、空砲の発射によって予め実弾が装填されていないことを証明し、敵意のないことを示すために行われたのが起源といわれている。礼砲の数は、受礼者の等級によって異なり、一般的には、元首・皇族;21発、副大統領・首相・国賓;19発、閣僚・特命全権大使・大将;17発等々、受礼者の等級によって異なる。
(注2)ビロード革命:1989年11月17日にチェコスロバキア社会主義共和国で勃発した、当時の共産党支配を倒した民主化革命。この革命は、1ヵ月後のルーマニア革命のように、大きな流血に至る事態は起こらなかったことから、軽く柔らかなビロード(ベルベット)の生地にたとえて名付けられた。
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世界保健機関派遣の専門家が漸く中国入り、しかし果たして真実を探し出させるか?【米メディア】(2020/07/12)
既報どおり、世界保健機関(WHO)の専門家が7月11日、5月のWHO総会決議に基づいて漸く中国入りした。新型コロナウィルス(COVID-19)の宿主は何で、どのようにしてヒトヒト感染が発生したのか等解明されることになるのか注目される。ただ、受け入れる中国側が、WHOに対して元のウィルスが欧州や米国起源である可能性についても調査するよう言い出しており、依然政治的問題を中々切り離せそうもない。
7月10日付
『ボイス・オブ・アメリカ(VOA)』:「WHO専門家、COVID-19発生源調査のため中国入り」
WHOから派遣された専門家チームが7月10日、中国入りした。
目的は、昨年末に武漢(ウーハン)の海鮮卸売市場から感染が拡大されたとされるCOVID-19の発生源を調査することである。
WHOのタリク・ジャサレビッチ報道官は、派遣されたのは獣医と疫学専門家で、7月11日に中国側専門家と会い、“調査対象項目等”につき打ち合わせると発表した。...
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7月10日付
『ボイス・オブ・アメリカ(VOA)』:「WHO専門家、COVID-19発生源調査のため中国入り」
WHOから派遣された専門家チームが7月10日、中国入りした。
目的は、昨年末に武漢(ウーハン)の海鮮卸売市場から感染が拡大されたとされるCOVID-19の発生源を調査することである。
WHOのタリク・ジャサレビッチ報道官は、派遣されたのは獣医と疫学専門家で、7月11日に中国側専門家と会い、“調査対象項目等”につき打ち合わせると発表した。
同報道官が『VOA』に語ったところによると、“COVID-19の宿主は何で、どういった経緯でヒトへの感染まで広がったのかを解明すること”としている。
今回のWHOの調査は、政治的に微妙な時期に行われることになる。
何故なら、ドナルド・トランプ大統領は既に、WHOが中国の操り人形になっていることを理由に、来年半ばを以てWHOからの脱退を国連宛に正式通告しているからである。
マイク・ポンペオ国務長官も7月9日、“WHOは本来、世界流行の恐れがある感染症について前広に世界に注意喚起すべきであるのに、(中国に忖度して)時間稼ぎばかりして中々具体的指針を発表しようとしなかった”と改めてWHOを非難するコメントを発表している。
一方、中国外交部(省に相当)の趙立堅(チャオ・リーチアン)報道官は7月10日、“中国が要請して、WHOによるCOVID-19由来の調査が行われることになった”と強調して、国際社会から指摘されている中国政府の透明性の欠如との批判をかわそうとしている。
ただ、WHOの最新の報告によれば、中国でCOVID-19感染拡大について最初にWHO本部に報告したのは、中国政府ではなくWHO中国支所の駐在員だったという。
同駐在員は、武漢市公衆衛生委員会の12月31日付ウェブサイトに、“ウィルス性肺炎”の症例が出ていると記載されていることを発見して本部に報告したとし、同時に、中国当局からは今年1月3日まで何ら関係情報の連絡は受けていないとしている。
WHOの取り決めによれば、加盟国は公衆衛生に影響を及ぼす恐れのある事案については、事態把握後24時間以内にWHO宛に報告するよう義務付けられている。
一方、同日付『ブライトバート』オンラインニュース:「中国、WHOに対して米国のCOVID-19発生源調査も行うよう要求」
ポンペオ国務長官は7月9日、中国のCOVID-19感染流行に関わる様々な問題があったことを改めて言及した上で、“中国は今回のWHO調査チームを受け入れたものの、果たして適切な調査が行われるように対応してくるのか懸念している”とコメントした。
このコメントに反発して中国外交部の趙報道官は7月10日、同長官のコメントは“偽善ぶった”ものだと非難した上で、“中国は大国として今回の責任について、米国よりよく理解している”と強調した。
また同報道官は、“米国はWHOからの脱退を宣言しているのに、今回のWHO調査チームに中国が協力しようとしている件について、一体どういう立場で物申すのか”と非難している。
更に同報道官は、WHOは“米国におけるCOVID-19発生源の実態も調査すべき”だとも付言した。
なお、中国疾病予防管理センターは7月10日、最近の北京におけるCOVID-19感染拡大は、武漢で発生したCOVID-19とは明らかに違い、欧州等から持ち込まれたウィルスの可能性があると発表している。
中国国営メディア『環球時報』も、北京やその他都市で新たに感染流行しつつあるウィルスについて、広範囲の試験研究を行った結果、武漢で感染拡大したウィルスとは決定的に異なるもので、欧州や中南米等から輸入された冷凍食品に付着したウィルスが国内で感染を広げつつあることが判明していると報じている。
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