オランダ首相、日・米との対中国半導体輸出規制共同歩調を取る中、訪中して中蘭貿易促進に軌道修正?【欧米メディア】
オランダは昨年来、米国主導の下、対中国半導体輸出規制政策について日本と共に共同歩調を取っている。しかし、2月初めの李強首相(リー・チャン、64歳、2023年就任)からの中蘭貿易促進を求める強烈な直談判に屈したのか、マルク・ルッテ首相(57歳、2010年就任)が3月26~27日に訪中して、習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)他幹部と貿易促進交渉を行うことになった。
3月23日付
『ロイター通信』は、オランダ首相が来週訪中して、習近平国家主席他幹部と中蘭貿易促進交渉を行うとみられると報じた。
オランダの半導体製造装置メーカーASML(1984年設立)は、半導体露光装置(注後記)の世界最大手メーカーである。
ASML製品の最大の輸出先は台湾で、次に中国と続いていた。
しかし、昨年来、オランダ政府が、米政府主導の対中国半導体輸出規制政策に日本と共に共同歩調を取ることとしたため、ASMLの強みである最先端製品の輸出に支障を来し始めていた。...
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3月23日付
『ロイター通信』は、オランダ首相が来週訪中して、習近平国家主席他幹部と中蘭貿易促進交渉を行うとみられると報じた。
オランダの半導体製造装置メーカーASML(1984年設立)は、半導体露光装置(注後記)の世界最大手メーカーである。
ASML製品の最大の輸出先は台湾で、次に中国と続いていた。
しかし、昨年来、オランダ政府が、米政府主導の対中国半導体輸出規制政策に日本と共に共同歩調を取ることとしたため、ASMLの強みである最先端製品の輸出に支障を来し始めていた。
中国政府としても、自前の半導体技術革新・自国生産規模拡大への移行が可能となるまでは、ASML等非米メーカーの支援が必須である。
そこで、オランダが欧州連合(EU、1958年前身設立)の中で比較的親中政策を取ってきていたこともあって、今年初めに改めて中国トップがオランダに強烈な直談判を行い、中蘭貿易の制限緩和に向けてはたらきかけていた。
かかる背景もあって、マルク・ルッテ首相がこの程、3月26~27日に訪中した上で、中国政府指導部と直接会談をする運びとなった。
同首相は、随行するジェフリー・ファン・レーウェン貿易相(53歳、2023年就任)と共に、習近平国家主席・李強首相・王文濤商務部長(ワン・ウェンタオ、59歳、貿易相に相当、2020年就任)と会談する予定である。
なお、オランダ政府は声明で、“両首脳は経済協力の機会、公平な競争条件の重要性、平等な市場アクセスの重要性について議論することになる”と表明している。
(注)半導体露光装置:フォトリソグラフィ装置。集積回路・プリント基盤・印刷板・液晶ディスプレーパネル・プラズマディスプレーパネル等の製造に用いられる。
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世界で最も大気汚染が深刻な国トップ3は全て南アジア【欧米メディア】
2023年において最も大気汚染が深刻な国・地域世界ランキングで、トップ3が全て南アジア諸国となっている。
3月19日付
『ロイター通信』は、大気汚染度をリアルタイムで測定しているIQAir(注後記)の直近のデータによると、2023年において最も大気汚染が深刻な国は全て南アジア諸国であったと報じている。
世界134ヵ国・地域において3万カ所余りのモニタリング基地のデータを基に大気汚染モニタリングを行っているIQAirの最新データによると、2023年において最も大気汚染が深刻な国はバングラデシュ・パキスタン・インドで、トップ3を南アジア諸国が占めたことが分かった。...
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3月19日付
『ロイター通信』は、大気汚染度をリアルタイムで測定しているIQAir(注後記)の直近のデータによると、2023年において最も大気汚染が深刻な国は全て南アジア諸国であったと報じている。
世界134ヵ国・地域において3万カ所余りのモニタリング基地のデータを基に大気汚染モニタリングを行っているIQAirの最新データによると、2023年において最も大気汚染が深刻な国はバングラデシュ・パキスタン・インドで、トップ3を南アジア諸国が占めたことが分かった。
IQAirのクリスティ・チェスター・シュローダー大気質科学研究マネージャーは、“南アジアの気候条件と地理的条件のせいで、汚染された空気が行き場を失っているため、大気中の粒子状物質(PM2.5)濃度が急上昇する”とした上で、“それに加えて、農業慣行、産業、人口密度などの要因があり、現下の見通しでは、改善するよりはむしろ更に悪化するとみられる”と言及している。
世界保健機関(WHO、1948年設立)のガイドラインによれば、PM2.5濃度は0~5マイクログラム(100万分の5グラム)を推奨している。
しかし、今回公開のデータによると、2022年に5位だったが2023年で1位となったバングラデシュのPM2.5濃度は79.9マイクログラムで、WHOガイドラインの実に15倍強となっている。
同国首都ダッカのノースサウス大の大気汚染研究専門のフィロツ・カーン教授は、“当国における早世の約20%は大気汚染が原因であり、関係する医療費は当国の国内総生産(GDP)の4~5%にも達している”とコメントしている。
また、2022年に8位だったインドも2023年は54.4マイクログラムと3位まで順位を上げていて、首都ニューデリーでは実に92.7マイクログラムを記録している。
更に、中国も2022年までの5年間はPM2.5濃度を下げてきていたが、2023年には32.5マイクログラムと前年比+6.3%と上昇し、19位となっている。
一方、2022年データでトップ3を占めていたチャド・イラン・スーダンはデータ取得が不可能となったため、当該順位からはずされている。
なお、今回のモニタリングデータによると、WHOのガイドライン内に納まったのは、134ヵ国・地域中、豪州・NZ・フィンランド・アイスランド・モーリシャス・エストニア・グレナダの僅か7ヵ国であった。
(注)IQAir:大気汚染モニタリング機器・空気清浄機等の空調製品の製造販売、委託を受けての施設内の空調設計等を行うスイス企業。1978年設立。各国の空気室測定データや自社製品による測定データをリアルタイムで統合し表示する大気汚染情報プラットフォームAirVisualを運営。
(参考)2023年大気汚染度世界ランキング(対象134ヵ国):1位バングラデシュ、2位パキスタン、3位インド、・・、8位ネパール、・・、14位インドネシア・・、19位中国、・・、22位ベトナム・・とアジアが上位を占める。なお、45位台湾、50位韓国、71位イタリア、80位シンガポール、93位カナダ、94位ロシア、96位日本、99位フランス、102位米国、103位ドイツ、107位ウクライナ、112位英国、128位豪州、129位NZとなっている。
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