世界の新エネルギー車の半分を生産する中国で、使用済み電池がもたらす深刻な汚染
中国政府が普及を促す新エネルギー自動車の生産が急速に拡大しており、世界の生産台数の半分が中国で生産されるようになった。一方、大量の使用済みバッテリーが生み出されている。しかし、中国ではまだ使用済みバッテリーの違法廃棄がまかり通っているため、深刻な環境問題をもたらす可能性があると、国有メディアの新華社通信が伝えている。
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『エポックタイムズ』によると、新華社通信は、中国での累積使用済み電池量は、2020年には20万トン(約25GWh)に達し、2025年には78万トン(約116GWh)に増加すると伝えている。しかし、使用済み電池の半分以上は、適切なルートでリサイクルされず、不適格な小さな工場で処理されているという。
一般的に、新エネルギー自動車用バッテリーの耐用年数は約5~8年と言われている。...
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『エポックタイムズ』によると、新華社通信は、中国での累積使用済み電池量は、2020年には20万トン(約25GWh)に達し、2025年には78万トン(約116GWh)に増加すると伝えている。しかし、使用済み電池の半分以上は、適切なルートでリサイクルされず、不適格な小さな工場で処理されているという。
一般的に、新エネルギー自動車用バッテリーの耐用年数は約5~8年と言われている。もし適切に廃棄されなければ、これらの新エネルギー車は「クリーン」で環境に優しい設計であるにもかかわらず、環境に深刻な汚染をもたらすことになる。
北京理工大学のWu Feng教授は「20グラムの携帯電話のバッテリーは、標準的なプール3つ分を汚染し、土地に捨てられた場合は、1平方キロメートルの土地を約50年間汚染することになる 」と述べている。
携帯電話の電池に比べて、大型の新エネルギー車の電池による汚染は深刻になることが推測できる。これらの電池には、コバルト、マンガン、ニッケルなどの重金属が含まれており、自然には分解されない。例えばマンガンは、空気、水、土壌を汚染し、空気中に1立方メートルあたり500マイクログラム以上含まれるとマンガン中毒を引き起こしてしまう。2010年には、中国の広東省で、飲料水に含まれるマンガンが水質基準の安全レベルを超えたため、緊急事態が発生した。
使用済み電池のもう一つの大きな汚染源は、電解液である。電解液に含まれるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)は、空気中で容易に加水分解され、五フッ化リンやフッ化水素などの有害物質を生成してしまう。
しかし中国本土では、電池の電解液が処理されずにそのまま投棄されていることが少なくない。違法廃棄された電源による水や土地、空気を汚染しているという報告も増えている。
Synfuels ChinaのLi Yongwang社長は、新エネルギー車のバッテリーは、燃料自動車の排気汚染よりもはるかに深刻な汚染を引き起こす可能性が高いと述べている。排気ガスの汚染は抑制できるものの、新エネルギー電池のリサイクルは難しく、コストも高く、電気自動車の総台数が車両総数の10%に達すれば、「破滅的な」問題が発生するだろうと指摘している。
中国の産業情報技術省は2018年に「新エネルギー車電池リサイクル管理のための暫定措置」を発表し、電池のリサイクルの主な責任を自動車メーカーに負わせた。しかし、国有メディア「人民日報」は、多くの使用済みバッテリーが、適切な処理技術を持たない小規模メーカーに 高値で引き取られていると指摘している。
中国のメディア「Caixin」によると、合肥大学の教授でGuoxuan High-TechInstituteの元副所長Yang Xulai氏は、廃棄バッテリーや使用済みバッテリーは、主に自動車販売・サービス店、廃車、バッテリー企業の3ルートから来ると述べた。しかし、バッテリー企業の廃棄品のみ適切なリサイクル処理が行われており、他のルートからの電池の処理のされ方は実は誰も把握していないという。
一方『ロイター通信』は昨年10月、2021年から2030年の間に世界中で1,285万トンのEV用リチウムイオン電池が使用済みとなり、新しい電池のために1,000万トン以上のリチウム、コバルト、ニッケル、マンガンが採掘されると報じている。そして、再利用された使用済み電池は、中国の5Gステーションのバックアップ電源システムとして使用されたり、シェア型のe-bikeに再利用されたりする可能性があり、新規の電池製造に伴う6,300万トンの二酸化炭素排出量を削減できると試算されていると伝えている。
また、世界最大の電気自動車ユーザーであり、電気自動車用電池メーカーである中国は、今後予想される利用者の急増に対応するため、独自の電池リサイクル計画を立ち上げ、電池の製造から廃棄までの全寿命を追跡するシステムも導入している、と報じている。
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中国当局、ウイグル問題めぐりH&Mやナイキに対してボイコット運動を呼びかけ
中国・新疆ウイグル自治区における強制労働の人権問題に対して懸念を示していたスウェーデンの衣料品大手H&Mや米スポーツ用品大手ナイキなど欧米のアパレル企業が、中国で急速に広がっているボイコット運動の対象となっている。
英紙
『ザ・テレグラフ』によると、ボイコット運動の発端は、中国共産党の青年団が24日に、昨年H&Mが新疆の人権問題に対し懸念を表明していたことをSNS上で非難したことだった。「中国で金もうけをしたい一方で、新疆ウイグル自治区の綿花をボイコットするための噂を広めるのか?」という投稿に、50万回近くの「いいね!」、4万回の「シェア」、1万6千件の「コメント」が寄せられた。
国営メディアはまた、H&Mは「数十億人の中国人の声を聞くよりも、少数の人々によって広められている嘘を信じている」という、新疆ウイグル自治区での人権侵害を否定する際に中国政府がいつも述べている同様のセリフで同ブランドを批判した。...
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英紙
『ザ・テレグラフ』によると、ボイコット運動の発端は、中国共産党の青年団が24日に、昨年H&Mが新疆の人権問題に対し懸念を表明していたことをSNS上で非難したことだった。「中国で金もうけをしたい一方で、新疆ウイグル自治区の綿花をボイコットするための噂を広めるのか?」という投稿に、50万回近くの「いいね!」、4万回の「シェア」、1万6千件の「コメント」が寄せられた。
国営メディアはまた、H&Mは「数十億人の中国人の声を聞くよりも、少数の人々によって広められている嘘を信じている」という、新疆ウイグル自治区での人権侵害を否定する際に中国政府がいつも述べている同様のセリフで同ブランドを批判した。
25日の朝には、中国のネット販売プラットフォームやオンラインマップ上で、H&Mの商品や店舗所在地の検索がブロックされた。
『ザ・テレグラフ』は、こうしたボイコット運動は、ウイグル自治区での人権侵害をめぐる欧米の制裁に対抗するための中国当局の戦略の一環であると報じている。EU、英国、米国、カナダは22日に、新疆ウイグル自治区でのウイグル人やその他のイスラム少数民族に対する人権侵害に責任があるとみなされる中国の政府関係者に対する制裁を発表したばかりであった。
英ニュース専門局『スカイニュース』は、消費者による自然発生的なボイコットという演出のわりには、ボイコットをうながす中国当局者の動きがあまりに目立つと伝えている。現在、あらゆる中国メディアがボイコット運動を支持する内容の報道を繰り広げている。
人民日報は、新疆ウイグル自治区の綿花の国内需要が高すぎて、同自治区では対応しきれないという記事を掲載した。新華社通信は、同地域の綿花収穫の様子を撮影したビデオを公開し、その95%が完全に自動化されていると指摘した。ある記者は、「新疆では綿花産業はとっくに機械化されているのに、誰が強制労働を必要とするのか?」と語り、CCTVでは、「H&Mはもはや全くファッショナブルではない。」と伝えている。さらには、外交省と商務省の両省が記者会見を開き、新疆での強制労働は「ナンセンス」だと述べた。
『スカイニュース』は、中国の公式メディアは、通常このような速さで反応することはないと指摘している。同メディアは、中国の一部のインターネットユーザーの間で、実際に怒りの声が上がっているのは間違いないが、関係組織が一丸となって動く今回の対応ぶりは、かなり前から予告されていた欧米諸国による中国への制裁措置に対し、中国があらかじめ独自の対応策を練っていた可能性が高いと伝えている。
米ニュースサイト『ブライトバート』によると、中国共産党の英字機関紙「グローバルタイムズ」は25日、H&Mが新疆の綿花産業から距離を置いたことに対して批判が殺到したことを受け、ナイキが「次のターゲット」であると伝えた。「グローバルタイムズ」によると、新疆ウイグル自治区の綿花を製品に使用していないと公表したナイキに対し、「#nike」というハッシュタグが中国版ツイッターの微博(Weibo)で最大のトレンドとなり、7億2千万のビューと53万のコメントが寄せられた。
編集長である胡錫進は25日に掲載した社説で、ナイキが強制労働を公に拒絶したことで中国政府からの反発を受け、「ついに報いを受けた」ことを称賛し、「すべての多国籍企業は地政学からは距離を置くべきだ」と述べている。
『スカイニュース』は、アメリカのトランプ政権は、貿易関税を通じて中国とのデカップリングを追求したが、失敗に終わった。しかし、少なくともファッション業界では、人権を理由にデカップリングが起こっている、と報じている。
中国はH&Mにとって4番目に大きな市場であり、ナイキにとっては全売上の19%を占めている。
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