習国家主席;香港統治強化もあってCOVID-19感染拡大懸念にめげずに中国返還25周年式典に出席意向【米メディア】(2022/06/26)
習近平国家主席(シー・チンピン、69歳)はこの程、香港の中国返還25周年記念式典に出席する意向である。直近で香港行政府幹部の新型コロナウィルス(COVID-19)感染が判明したが、同国家主席としては、香港統治強化及び一国二制度の成功アピールのため、今回の香港訪問は避けられないと判断した模様である。
6月25日付
『AP通信』は、「習国家主席、中国返還記念式典出席のため香港訪問」と題して、COVID-19感染問題勃発以来、中国本土を離れることのなかった習近平国家主席が、香港の中国返還25周年記念式典出席のために香港を訪問すると報じている。
習近平国家主席がこの程、民主化運動取り締り強化等で欧米との確執の火種となっている香港を訪問する予定である。
中国国営『新華社通信』は6月25日、同国家主席が、7月1日に開催される中国返還25周年記念式典、及び同時に開催される次期香港行政府長官就任式に出席する意向だと報じた。...
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6月25日付
『AP通信』は、「習国家主席、中国返還記念式典出席のため香港訪問」と題して、COVID-19感染問題勃発以来、中国本土を離れることのなかった習近平国家主席が、香港の中国返還25周年記念式典出席のために香港を訪問すると報じている。
習近平国家主席がこの程、民主化運動取り締り強化等で欧米との確執の火種となっている香港を訪問する予定である。
中国国営『新華社通信』は6月25日、同国家主席が、7月1日に開催される中国返還25周年記念式典、及び同時に開催される次期香港行政府長官就任式に出席する意向だと報じた。
ただ、どれだけ香港に滞在するのか等の詳細には触れられていない。
同国家主席自身、2年半前にCOVID-19感染問題勃発以来、中国本土を離れたことはなかった。
しかし、中国本土及び香港において、COVID-19感染が再び広がる中、同国家主席が香港を訪問することを決意した背景は、西側諸国からの対中国非難が高まる中、同国家主席が掲げた“偉大な中華民族の復興”をアピールするため、同記念式典に出席することは非常に重要だと判断したためとみられる。
一方、次期香港行政府長官に就任する李家超氏(リー・ジアチャオ、64歳)が保安局局長時代(2017~2021年在任)、2020年6月末に制定された香港国家安全維持法の下、多くの民主活動家らが逮捕・投獄され、また、香港で最も民主化運動を支持していた新聞が廃刊に追い込まれている。
なお、香港が英国から中国に返還された1997年7月1日、両国間で“香港の高度な自治権”(一国二制度)を50年間維持することが合意されていた。
英国統治下の最後の総督だったクリス・パッテン氏(1992~1997年在任、現78歳、2005年に終身任期制の貴族院議員に就任)は6月20日、『AP通信』のインタビューに答えて、“中国は英国との約束を守ると信じていたが、現在の香港をみると断腸の思いだ”と嘆いている。
6月24日付『ブルームバーグ』オンラインニュースは、「習国家主席、香港高官のCOVID-19感染で香港訪問不確実に」と題して、習国家主席の香港訪問の話が、香港行政府幹部のCOVID-19感染で立ち消えとなる可能性が出ていると報じた。
習国家主席が、7月1日に香港で開催される中国返還25周年記念式典に出席するとの噂が流れている。
しかし、香港行政府が6月23日、高官2人のCOVID-19感染が判明したと発表したことから、同国家主席の香港訪問が不確実となっている。
同日には、香港行政府長官就任式が催される。
中国の国家主席はこれまで毎回出席しており、習氏自身も2017年、現行政府長官の就任式及び20周年式典に出席していた。
今回の式典開催に当たって、出席する全ての高官は1週間前から“自主隔離”して公共交通機関使用を控え、また、前日にはホテル泊としてPCR検査を受けることが求められている。
感染が判明した高官2人は既に隔離されているが、次期行政府長官の李家超氏及び現長官の林鄭月娥氏(リン・シェンユッゴ、キャリー・ラム、65歳)が両高官と接触していたのか、あるいは両氏も感染しているのかどうかは不詳である。
もし、両トップも陽性となれば、長官就任式自体の開催が頓挫してしまう。
なお、中国国営メディア『人民日報』は6月20日、習国家主席が2013年に就任以来香港について語っていた言葉を集めて、「香港の発展はいつも自身の心の中にある」とのタイトルの特集記事を掲載している。
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中国が歴史教科書を修正:「香港はイギリスの植民地ではなかった」(2022/06/17)
2019年の香港での民主化デモをきっかけに、中国当局は香港の公共科目である市民権思想教育を批判。公共の新たな教科書は、中国の愛国的教育に重点を置くものとなっているという。
6月16日付米
『ニューヨーク・タイムズ』:「”香港はイギリスの植民地ではなかった”と教科書に記載」:
世界の多くの学校では、香港はかつてイギリス帝国の植民地だったと教えられてきたが、香港の学生は今後、違った歴史授業を教わることとなるという。
香港の民主化運動弾圧や、イギリスから中国へ返還されるより遥か以前から、中国は一貫した歴史観を主張してきた。現在、香港は1997年7月1日の中国返還25周年を迎えようとしている。...
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6月16日付米
『ニューヨーク・タイムズ』:「”香港はイギリスの植民地ではなかった”と教科書に記載」:
世界の多くの学校では、香港はかつてイギリス帝国の植民地だったと教えられてきたが、香港の学生は今後、違った歴史授業を教わることとなるという。
香港の民主化運動弾圧や、イギリスから中国へ返還されるより遥か以前から、中国は一貫した歴史観を主張してきた。現在、香港は1997年7月1日の中国返還25周年を迎えようとしている。この流れから、香港の高校で秋から使用される4つの新規教科書で、香港がイギリスの植民地だった事実が否定されているというのだ。
この教科書は学校関係者や教育庁の専門家により精査が行われ、使用許可が下りるものとみられている。今週地元のネットニュースでは、検定済みの一部抜粋が報じられた。教科書には、中国の習主席が、愛国的国民や「香港の学生のマインドを守る」との大義が掲げられ、「次世代に、香港は中国の一部で自治権をもたないと植え付け、中国政府を支持するよう仕向け、香港を改変しようとする」政府方針が垣間見れるという。
1997年の返還条件で、中国は、香港の社会経済システムを50年間変革させないとの条件を飲んだが、これが揺らぎ2014年デモが勃発。弾圧を強化する中国共産党に対抗した2019年の民主化デモを機に、中国は反対派を処罰し、言論の自由を制限、独立系ニュース機関や民主指導者を弾圧し始めた。
教科書編集者の一人である専門家は、中国は以前からイギリス支配に疑問を持っていたと指摘する。1997年の人民日報には、「イギリスは香港を典型的な植民支配下においたが、これは香港が植民地ということを意味していない。通常、植民地というのは、外国に自治権を奪われた国を指していう。香港は中国領土の一部であるため、植民という概念は当てはまらない」とある。
中国は香港の支配権を手放していない、1997年は香港への支配権を取り戻したと認識し、イギリスの「植民的支配」があった点だけ認めている。教科書でも勿論、中国の立場を反映したものとなる。
昨年市民と社会発展と名を改めた新科目は、香港の中国返還を学習計画の一部に組み込むもので、愛国心や「揺るぎない中国の統治管轄権」や国家安全法により重点を置く内容となっている。その教師向けテキストの抜粋では、香港での共産党の立場が強調されており、「イギリスの支配は、国際法に違反するもので、香港への統治権は合法的とは言えない」、「香港は植民地ではなく、自治決定権も持たない」とある。
同付英『BBC』:「香港:新板教科書で香港はイギリスの植民地ではなかったとの記載」:
新たな改定教科書では、中国に自治権があったとの主張を強調し、香港はイギリスの植民地ではなく、「植民的支配を実施したにすぎない」と記載されている。
中国は、香港の支配権を手放したと認めず、イギリスへの割譲は1800年代の不平等なアヘン戦争条約によるものだと主張、1842年からイギリスの支配下にあっただけで、中国の自治領だとの認識を持っている。一方、イギリスは150年の支配の後に1997年、香港を中国へ返還。イギリスは香港について、その支配下にあり、植民地でもあり独立自治領でもある港町香港は、世界有数の金融中心地となったと認めている。
最近の動きは、香港は一貫して中国の一部だったが、イギリスの支配が及んだ時期もあるとの認識で、
中国のアイデンティティを香港の学生に植え付けようとするもの。
地元メディアの報道によると、教科書では、「植民地と植民的支配の違い」の説明として、「国が外地の領土を植民地と呼ぶには、統治体制に加え、統治主権も持ち合わせていなければならない」と記載されているという。香港の場合、イギリスは「植民的支配を実施していたにすぎず、香港はイギリスの植民地ではない」とされている。
この新教科書は香港の「市民思想や法と愛国心」を中心とした講義向けの教科書で、クリティカルシンキングや市民権思想などの教養科目に置き換わる教科だという。中国当局は、2019年の民主化デモの際、このような教育が若者を過激化させ、間違った思考を植え付けたとし、直接この教科を批判していた。中国当局の承認待ちとされるこの新たな教科書では、民主化デモは治安維持への脅威だとする中国側の解釈を反映したものとなっているという。
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