【Globali】
台湾;数少ない外交関係先から中米ホンジュラスも離脱意向で益々苦境【欧米メディア】
米下院金融委員会は先月末、「台湾紛争抑制法案」等3つの法案を可決し、中国の台湾軍事侵攻を抑制しようとしている。しかし、肝心の台湾と国交を結ぶ数少ない国のひとつである中米ホンジュラス(1821年スペインより独立)が、世界有数の最貧国の経済立て直しのために中国の経済支援を求めざるを得ないとして、台湾との断交、中国との国交樹立意向を表明している。
3月15日付米
『CNNニュース』、英国
『BBCニュース』は、「中米ホンジュラス、台湾から中国への乗り換え表明」として、数少ない台湾国交先のひとつであるホンジュラスが、中国との国交樹立を求める決断をしたと報じている。
ホンジュラスの同国初の女性大統領であるシオマラ・カストロ第56代大統領(63歳、2022年就任)は3月14日、中国と正式に外交関係を結ぶ意向である旨表明した。
ホンジュラスは、台湾と国交を結ぶ僅か14ヵ国(注1後記)のひとつであるが、2019年のソロモン諸島(1978年英国より独立)、2021年のニカラグア(1821年スペインより独立)に続いて中国に鞍替えすることになる。...
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3月15日付米
『CNNニュース』、英国
『BBCニュース』は、「中米ホンジュラス、台湾から中国への乗り換え表明」として、数少ない台湾国交先のひとつであるホンジュラスが、中国との国交樹立を求める決断をしたと報じている。
ホンジュラスの同国初の女性大統領であるシオマラ・カストロ第56代大統領(63歳、2022年就任)は3月14日、中国と正式に外交関係を結ぶ意向である旨表明した。
ホンジュラスは、台湾と国交を結ぶ僅か14ヵ国(注1後記)のひとつであるが、2019年のソロモン諸島(1978年英国より独立)、2021年のニカラグア(1821年スペインより独立)に続いて中国に鞍替えすることになる。
中国は過去40年の間、台湾の独立を阻止するため、台湾を支持する国とは経済支援含めて外交関係を結ぶことを頑なに拒み、台湾の孤立化を図ってきた。
更に直近では、習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)自らが、武力を以てしても台湾統一を達成すると強調している。
かかる背景もあって、2021年11月の大統領選に挑んだカストロ氏は、汚職やその他スキャンダルも相俟って益々債務超過に陥ってしまった同国を立て直すべく、中国との外交関係構築を選挙公約に上げていた。
2022年初めに立ち上げられたカストロ新政権は『ロイター通信』のインタビューに答えて、“台湾との外交関係を継続する”としていたが、着々と中国とのコミュニケーションを図ってきたとみられる。
事実、同大統領の正式表明の数週間前、同政権は中国と水力発電所建設に関わる金融支援の協議を進めていることを明らかにしていた。
同国は2021年、同規模の水力発電所建設費として、中国から3億ドル(約405億円)の融資を受けている。
そこで、台湾外交部はカストロ大統領の表明を受けて、“中国の「債務の罠(注2後記)」にはまらないよう、また、両国間の長い友好関係を棄損しないよう望む”との声明を発表している。
なお、蔡英文総統(ツァイ・インウェン、66歳、2016年就任)は4月、中米及び米国訪問を予定しているが、今回のホンジュラス政権の台湾離脱の意向表明より、米中間関係の緊張度が益々高まることが懸念される。
(注1)台湾の国交先:欧州-バチカン市国、アフリカ-エスワティニ、オセアニア-マーシャル諸島・ナウル・パラオ・ツバル、中米-ベリーズ・グアテマラ・ホンジュラス、カリブ海-ハイチ・セントクリストファーネイビス・セントルシア・セントビンセントグレナディーン、南米-パラグアイ
(注2)債務の罠:国際援助などの債務により、債務国、国際機関の政策や外交等が債権国側から有形無形の拘束を受ける状態をいう。友好国間で見られ、債務の代償として合法的に重要な権利を取得する。この表現は、インドの地政学者ブラーマ・チェラニーによって中国の一帯一路構想と関連づけて用いられたのが最初。債務国側では放漫な財政運営や政策投資などのモラル・ハザードが、債権国側では過剰な債務を通じて債務国を実質的な支配下に置くといった問題が惹起されうる。
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モルドバ、ロシアの心理戦に警戒感
ウクライナと国境を接し、戦争による影響を大きく受けている貧国モルドバでは、ウクライナがモルドバ東部への侵攻の準備をしているとするロシアの主張は、心理戦によるものだと警戒感を示している。
2月24日付
『ロイター通信』:「モルドバ、ウクライナがトランスニストリア侵攻を計画しているとするロシアの報道を否定」:
モルドバは23日、ウクライナが偽旗作戦によりモルドバ東部のトランスニストリアを侵攻しようと企てているとするロシア国防相の主張を否定し、国民に冷静になるよう求めた。
ロシア国防省は、モルドバと国境を接するウクライナの計画は、モルドバのロシア語圏のロシア部隊に「直接的脅威」を与えるものだとしていた。...
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2月24日付
『ロイター通信』:「モルドバ、ウクライナがトランスニストリア侵攻を計画しているとするロシアの報道を否定」:
モルドバは23日、ウクライナが偽旗作戦によりモルドバ東部のトランスニストリアを侵攻しようと企てているとするロシア国防相の主張を否定し、国民に冷静になるよう求めた。
ロシア国防省は、モルドバと国境を接するウクライナの計画は、モルドバのロシア語圏のロシア部隊に「直接的脅威」を与えるものだとしていた。また、タス通信は、ロシアのミハイル・ガルージン外務副大臣(元駐日大使)の談話として、西側がモルドバ政府にトランスニストリアのロシア当局との通信を遮断するよう指示したと報じている。
モルドバ政府はテレグラムアプリでの声明で、ロシアの主張する内容は「確認がとれていない」とし、「国民はこれを冷静に受け止め、政府からの信頼できるソースによる情報を信じるように」と求め、非常事態の際には、海外とも協力し、国民へ早急な情報を届ける」としている。
モルドバは旧ソ連国で、NATO加盟国ルーマニアとも国境を接し、EUへの加盟を希望している。
サンドゥ大統領は今月、モルドバ政権へのクーデターを計画していたロシアを批判していた。トランスニストリア地域は主にロシア語圏となっており、1990年旧ソ連モルドバから分離独立し、1991年のソ連崩壊後は、ロシア分離派はモルドバ政府軍との対立関係にある。
ウクライナのゼレンスキー大統領は先週、ロシアは「ウクライナ侵攻に留まらず、モルドバの崩壊も視野に入れている」と述べていた。
2月23日付英『BBCニュース』:「緊張が高まる中、モルドバがロシアの心理戦に警戒感」:
ロシア国防省は、証拠もなく、ウクライナがロシア兵のいるトランスニストリアへの侵攻を企てていると主張。
モルドバは、ロシアが政権転覆を企てているとしてここ数週間警告していた。同国政府はこれを戦争の一貫の心理戦だとみており、ミジャ国務長官は、「国務省は、現実的プランというより心理戦の側面が大きい」としている。ルーマニア訪問中にサンドゥ大統領は、前例のない安全保障面での危機に関し、「我が国の転覆を望み、ロシアの利益となる傀儡政府を置こうとするものがいる」と述べている。
モルドバはNATOに非加盟だが、昨年6月、ウクライナと同日に、EU加盟候補国に認定されていた。今週には、バイデン米大統領がサンドゥ大統領と面会し、同国の支持を表明していた。
人口260万人のモルドバは、ヨーロッパで最も経済的に貧しい国の一つで、ウクライナ戦争による影響ににさらされている。電力インフラはソ連時代のもので、エネルギー危機による打撃も大きく、ロシアによるガス供給停止だけでなく、ウクライナの電力インフラへの攻撃の影響も受けている。
インフレやウクライナからの難民流入による問題も深刻で、ポピュリストやオリガルヒが党首の親ロ政党によるデモも増え、レシアン新首相がいう「ハイブリッド戦」も多発。今月の政権交代前日には、ロシアのミサイルがモルドバ領空を通過してウクライナに落とされた。
サンドゥ大統領は、ロシアはセルビア、ベラルーシ、モンテネグロといった外国の工作作戦を利用し、モルドバ政権の転覆を策略しており、政府庁舎を攻撃して人質をとり、「親ロシア」政権への交代を訴求するデモを起こそうとしているのだとしている。
大統領の演説直後、セルビアのフットボール支援者12名がモルドバへの入国を禁止され、ロシアは「モルドバ政府は反ロシアヒステリーをおこしている。発言には慎重になるべき」と批判している。
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