サンゴ礁は地球上の海底面積の僅か0.2%未満ながら、海洋生物全体の約25%の生存を支えていると言われる。しかし、地球温暖化による海水温上昇や水質汚染等人的被害を受けて、広い範囲で死の危機に曝されている。そこでこの程、香港の研究グループが、3Dプリンター利用による特殊タイルを開発し、サンゴ群集の再生に寄与しようとしていると報じられている。
1月2日付
『CBSニュース』(1927年開局)は、「香港の研究グループ、3Dプリンターで作った特殊タイルでサンゴ礁再生に寄与」と題して、香港の研究グループが開発した、サンゴ群集の再生に寄与するとされる特殊タイルについて報じている。
香港の研究グループが、人間活動によって死の危機に曝されているサンゴ礁を再生させるべく、3Dプリンターで作成できるテラコッタ粘土製の特殊タイルを開発した。
亜熱帯地域に属する香港近海には、カリブ海よりも多種多様なサンゴが群生しているが、それよりも南シナ海の浅瀬となっていることから最高の自然美と誇られていた。...
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1月2日付
『CBSニュース』(1927年開局)は、「香港の研究グループ、3Dプリンターで作った特殊タイルでサンゴ礁再生に寄与」と題して、香港の研究グループが開発した、サンゴ群集の再生に寄与するとされる特殊タイルについて報じている。
香港の研究グループが、人間活動によって死の危機に曝されているサンゴ礁を再生させるべく、3Dプリンターで作成できるテラコッタ粘土製の特殊タイルを開発した。
亜熱帯地域に属する香港近海には、カリブ海よりも多種多様なサンゴが群生しているが、それよりも南シナ海の浅瀬となっていることから最高の自然美と誇られていた。
しかし、香港大学(1911年設立の公立大)サンゴ生態学者のデビッド・ベーカー准教授は、“第二次大戦世代の人たちは異口同音に、香港近海は透明度も抜群で、サンゴ礁にとってもパラダイスであったと述べている”としながらも、“しかし、香港の産業化が進むにつれて、汚染物質が流失して近海に流れ込んでしまい、サンゴ礁のパラダイスが失われてしまった”と表明した。
そこで、同准教授が仲間とともに研究を重ね、サンゴ群集を再生させる手助けとなる特殊タイルを開発した。
この研究グループが世界で初めて開発したのは、テラコッタ粘土から作ったリーフタイル(サンゴが付着しやすい複雑な構造土台)で、3Dプリンターで同じものが多量に生産できる。
また、毒性はまったくなく、かつ生分解性(注後記)を有する。
同研究グループは約2年前、サンゴの生息が衰退した海底域に、生きたサンゴを付けた同リーフタイルを置いたところ、約95%でサンゴの再生が確認できたという。
同准教授は、リーフタイル作成に思い立った理由を訊かれ、“ある晩、台所や風呂場にあるタイルをサンゴ用に活用できないかと思い付いた”と述懐している。
当該リーフタイルはどこの海域でも有効に利用できるので、今後、世界のサンゴ礁再生のための大きな戦力となるとみられている。
サンゴ礁は、外海の激しい波浪を止める天然の防波堤となるため、その内側に生息する海洋生物や小動物のみならず人間の営み上も非常に有益である。
すなわち、漁業はもとより観光資源、更には薬品精製にも役立っている。
しかし、科学者の見立てによると、このまま海洋汚染等を放置しておくと、今後20年間で世界のサンゴ礁の70~90%が死滅の危機に曝されるという。
なお、同研究グループは、目下アブダビ(アラブ首長国連邦首都)に3Dプリンター施設を設置し、当該リーフタイルを大量に作成した上で、同じく海水温上昇によって死滅の危機に曝されているペルシャ湾のサンゴ礁再生に活用しようとしている。
また、気候変動に伴う海水面上昇で危機に瀕している島嶼国のサンゴ群集再生にも有効利用できるとしている。
(注)生分解性:バクテリア、菌類、その他の生物によって化合物が無機物まで分解されること。分解速度の速さが重要となる。
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12月14日付欧米
『ロイター通信』は、「UA、ボーイング787ドリームライナー含む200機の次世代ジェット機発注」と題して、コロナ禍後の航空産業再興に期待して200機もの大規模発注を行うことになったと報じている。
UAは12月13日、コロナ禍後の航空産業再興に備え、かつ非効率な旧型機と入れ換える目的で、ボーイング787ドリームライナー(注1後記)100機及びB737MAX(注2後記)100機を発注することにしたと発表した。
当該発注高は、メーカー希望小売価格から算出すると約430億ドル(約5兆8,050億円)にも上る。
UAは同時に、当初公表していたエアバスA350(中~大型ワイドボディ機、約170~370席)45機の発注時期は“早くても”2030年まで繰り延べる、としている。
UAのスコット・カービィ最高経営責任者(55歳、2019年就任)は、“保有するB777(大型ワイドボディ機、1995年運用開始)の実際の入れ替え時期は2030年以降となるので、その際に、代替機候補をA350かB787かどちらを主とするか検討することになる”と付言した。
UAは2021年6月、“将来構想”の一環で、B737MAX 200機及びA321neo(長距離用中型ナローボディ機、約240席)70機を発注する意向を表明していた。
今回の発表で、ボーイング機の発注中身が変わることになったが、A321neoの発注意向は変わりないとしている。
一方、米ジェフェリーズ・フィナンシャルグループ(1970年前身設立)の経済アナリストは、UAの今後2年間の資本的支出(設備投資額)が200億ドル(約2兆7千億円)、また、2032年までに700機もの新型機の納入を受けることになるため、資本的支出が500億ドル(約6兆7,500億円)にも達すると懸念を表明した。
その上で、“必要不可欠な決断だとみられるが、将来的に厳しい向かい風にさらされることになる”と言及している。
しかし、UAは、堅実な財務諸表を追って提出することを“約束する”と強調している。
ただ、発注先のボーイング(1934年設立)の株価は0.2%上昇したが、UAは5.5%も下落している。
同日付米『CBSニュース』は、「UA、ボーイングのワイドボディ機を最大200機まで発注意向と発表」として詳報している。
UAとボーイング両社は12月13日、次世代機の新規売買契約が成立したと共同発表した。
その発表によると、B787ドリームライナー100機の発注に加えて、追加100機のオプションが付帯しているという。
ボーイングにとって、同機の発注高は同社史上最多となるとする。
また、UAはB737MAXを100機発注するとしており、既発注分の44機に更に56機が追加されることになる。
なお、UAは、B787ワイドボディ機の納期は2024~2032年となり、また、787-8(約250席)、787-9(約270席)、787-10(約300席)の3機種の組み合わせはUAがオプションを保有することになるとしている。
(注1)B787ドリームライナー:次世代の長距離用中型ワイドボディ機で、2011年運用開始。座席数は最大約300席。B767(中型セミワイドボディ機、1982年運用開始)及びB777の後継機。
(注2)B737MAX:第4世代の小型ナローボディ機で、2017年運用開始、座席数約200席。2018年10月にインドネシア・ライオン航空のジャワ沖墜落事故、及び2019年3月のエチオピア航空の墜落事故が立て続けに発生。米連邦航空局(FAA、1958年設立)から運用中の約250機に緊急改善通告が出されたこともあって、ボーイングは2020年1月以降生産停止。ただ、問題が改善されたとして同社は同年5月に生産再開。
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