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今年末開催のCOP28議長役選任のアブダビ国営石油トップは適任?【米・ヨルダンメディア】
アラブ首長国連邦(UAE、1971年英国より独立)は今年末開催予定の、第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)の議長国となる。そこで、UAEが同会議議長にアブダビ国営石油(ADNOC、1971年設立)のトップを選任したことから、果たして気候変動対策を協議する国際会議の議長として適任か、物議を醸している。
1月14日付米
『CNBC』(1989年開局のニュース専門メディア)は、「国営石油会社トップのアル=ジャベル氏は今年開催のCOP28議長として適任」と題して、UAEがこの程議長役として国営石油会社トップを選任したが、ウクライナ戦争に伴うエネルギー危機が深刻な中、石油産業トップのみならず再生可能エネルギー分野でも重鎮である同氏は適任だと報じている。
今年末、11月30日から12月12日に予定されているCOP28の開催国のUAEはこの程、同国際会議議長役としてANDOC最高経営責任者(CEO)のアル=ジャベル氏(49歳、2013年就任、UAE産業・先端技術相も兼務)を選任したが、何人かの環境保護活動家は愕然としている。...
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1月14日付米
『CNBC』(1989年開局のニュース専門メディア)は、「国営石油会社トップのアル=ジャベル氏は今年開催のCOP28議長として適任」と題して、UAEがこの程議長役として国営石油会社トップを選任したが、ウクライナ戦争に伴うエネルギー危機が深刻な中、石油産業トップのみならず再生可能エネルギー分野でも重鎮である同氏は適任だと報じている。
今年末、11月30日から12月12日に予定されているCOP28の開催国のUAEはこの程、同国際会議議長役としてANDOC最高経営責任者(CEO)のアル=ジャベル氏(49歳、2013年就任、UAE産業・先端技術相も兼務)を選任したが、何人かの環境保護活動家は愕然としている。
しかし、同氏は、化石燃料産業のトップであるだけでなく、再生可能エネルギー分野にも多額の投資を行っていることから、今年のCOP28議長役としては適任だと言える。
何故なら、ウラジーミル・プーチン大統領(70歳、2000年就任)がウクライナに犯罪的な戦争を仕掛け、また、エネルギー資源の価格・供給を自国に有利となる武器として利用していることから、正に気候変動対策協議にエネルギー危機も加えて考える必要に迫られているからである。
すなわち、理想郷を求める環境保護活動家らにとっては望み薄と見られるかも知れないが、エネルギー安全保障の確保とクリーンエネルギー促進は分けて考えられない状況となっている。
現に、国際社会は目下、石炭よりも温室効果ガスの発生量が半分の天然ガス、特に液化天然ガス(LNG)は、将来の再生可能エネルギーの普及までの繋ぎとなると認めるに至っている。
また、かつては環境活動家から愚弄された原発も、小型でかつ安全面・武器化の恐れがないものについてはむしろ歓迎するようになっている。
更に、ほとんどの石油・天然ガス生産大手も、かつては環境活動家を軽蔑していたが、今や再生可能エネルギー開発や化石燃料の発生ガス削減対策に数十億ドル(数千億円)を投資している程である。
米国務省の元エネルギー担当特使だったデビッド・ゴールドウィン氏(現在米シンクタンク大西洋評議会会長)は、“化石燃料産業に関わる人は誰も、世界の化石燃料使用量減少に反比例して、低コスト・低リスク・低炭素ガス発生が必須の新エネルギーに取って代わられることを良く理解しており、この開発を優先していることは明らかだ”とコメントしている。
一方、例えばドイツの環境活動家の方針転換も顕著であり、ロベルト・ハーベック副首相兼経済・気候保護相(53歳、2021年就任、環境問題特化の緑の党の前党首)は、同国の3基の原発の延命に注力しただけでなく、昨年12月に設営された同国初のLNG基地開所式にも大きく関わっている。
同副首相は英国メディア『フィナンシャル・タイムズ』紙のインタビューに答えて、“自身は目下、ドイツのエネルギー安全保障確保に究極的な責任を負っている”とし、“ドイツで最も人気のある政治家になるのではなく、最も厳しい決断を行う大臣の職務を全うしようとしている”と表明している。
なお、アル=ジャベル氏について再度言及すると、世界で第14位のADNOCのCEOであると同時に、再生可能エネルギー企業マスダール(2006年設立)の創業者兼会長として、新エネルギー開発に巨額の投資を行ってきていることで知られている。
また、UAE自身も、直近15年で400億ドル(約5兆1,200億円)も再生エネルギー開発や世界規模のクリーンエネルギー技術刷新に資金投与してきている。
同国は昨年11月、米国との間で、クリーンエネルギー開発事業に1,000億ドル(約12兆8千億円)投資するとのパートナーシップ協定を締結している。
同国は既に、全体の70%前後の収益を石油・天然ガス産業以外から上げている。
同日付ヨルダン『MENAFNニュース』(2001年設立、中東・北アフリカ経済ネットワーク)は、「アル=ジャベル議長、UAEはCOP28において気候変動対策迅速化を追求と表明」として詳報している。
今年末にUAEで開催されるCOP28の議長に選任されたアル=ジャベル経済・先端技術相は1月14日、地球温暖化問題に対応していく上で、気候変動対策に関わる態勢の変換及び迅速に道筋つけるため、包括的かつ行動先行の会議運営を行っていく必要があると表明した。
同相が、米シンクタンク大西洋評議会(1961年設立)主催の国際エネルギーフォーラムで語ったもので、“UAEはCOP28議長国として、気候変動対策の迅速化を図り、パリ協定(注1後記)で定められた目標の早期達成に向けて、会議運営をしていく意向である”と強調している。
同相は、“UAEは国際再生可能エネルギー機関(IRENA、注2後記)の本部を擁していて、中東の中で最初にパリ協定に批准し、また、最初にカーボンニュートラル達成目標を掲げている”とも付言した。
更に同相は、“UAEは、直近15年間に再生可能エネルギー開発及び世界規模のクリーンエネルギー技術刷新のために500億ドル(約6兆4千億円)を投資しており、今後更に500億ドルを追加出資する意向である”とも言及した。
なお、同相は、COP28において、“気候変動対策に関わるグローバルサウス(主に南半球に偏在する発展途上国)対応のため、2025年までに年400億ドルの金融支援が可能となる基金作りの目処が付けられるよう、同会議をリードしていきたい”ともコメントしている。
(注1)パリ協定:第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催されたパリにて2015年12月に採択された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定。1997年に採択された京都議定書以来18年ぶりとなる気候変動に関する国際的枠組みであり、気候変動枠組条約に加盟する全196ヵ国全てが参加する枠組みとしては史上初。排出量削減目標の策定義務化や進捗の調査など、一部は法的拘束力があるものの罰則規定はない。
(注2)IRENA:再生可能エネルギーを世界規模で普及促進するための国際機関。再生可能エネルギー技術の移転を促進し、実用化や政策の知見を提供することを目的として2009年1月に設立。日本は2010年に加盟。現在の加盟国は163ヵ国。
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2023年はアジア旅行が増加
ほぼ3年間続いたコロナ禍の制限から回復しつつある今、米国国内ではアジア方面への旅行需要が高まりを見せているという。
12月25日付米
『CNBC』:「2023年は海外旅行が回復傾向、アジアや欧州が人気」:
米国国内ではコロナ禍が収まり、また海外でも渡航制限が解除されたことで、2,3年越しに旅行熱が高まっているという。
観光市場調査会社「デスティネーションアナリスト」が11月に行った調査では、国内旅行より海外旅行に興味があるとした人は31%で、今年2月から6ポイント増加している。一方、旅行予約サイト「Hopper」によると、今月はじめに検索された2023年のフライト便の62%が国際便で、昨年同期比で55%増となった。...
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12月25日付米
『CNBC』:「2023年は海外旅行が回復傾向、アジアや欧州が人気」:
米国国内ではコロナ禍が収まり、また海外でも渡航制限が解除されたことで、2,3年越しに旅行熱が高まっているという。
観光市場調査会社「デスティネーションアナリスト」が11月に行った調査では、国内旅行より海外旅行に興味があるとした人は31%で、今年2月から6ポイント増加している。一方、旅行予約サイト「Hopper」によると、今月はじめに検索された2023年のフライト便の62%が国際便で、昨年同期比で55%増となった。
今年の海外旅行保険の売上は、パンデミック以降2019年並に回復。2020年~21年は健康不安や渡航制限を理由に、国内旅行が主流で、国立公園の来場者は増加し、アウトドア人気からRV車のレンタルが増加した。
今年も海外旅行が回復していたのだが、年始のオミクロン株感染拡大で旅行熱はやや冷え込んだ。そのため積もり積もった旅行熱を表す「リベンジ旅行」がトレンド入りし、リモートワークの浸透で行きたかった国に行くことも現実となった。
中国、リビア、トルクメニスタン、イエメンなどの12カ国は今尚ワクチン接種済でも入国を制限しているが、豪州、ブータン、イスラエル、日本、マレーシア、モロッコ、ニュージーランド、フィリピン、シンガポールなど多くの国では、今年制限が解除された。2023年は制限が大きく解除されたことで、アジア地域に注目が集まっている。他の国がまだのところ、10月に渡航可能となった日本への関心は急激に上昇している。
「Hopper」によると、アジア地域が昨年19%から27%となり最も検察が増え、関心の高さを示す。今月初めの国際線検索の8割がアジアやオセアニアとなった。トップ3は往復料金が1200ドルの東京、ホーチミン、バンコクで、ツアー会社「G Adventures」でも、2023年の売上急増トップが日本、タイ、ベトナムとなっている。
一方、数としては欧州方面の人気も落ちておらず、検索数の3分の1は欧州の人気都市が占めている。欧州の旅行について人々はより「クリエイティブ」になっているという。あまり混雑せず費用も安い3月や晩秋のシーズンオフを狙う。世界的にみても傾向は同様で、芸術祭など国際イベントを目当てにしたスコットランドやオーストラリア等が人気だ。
費用面に影響するインフレも旅行には重要だ。消費者物価指数によると、チケットやホテル代は過去1年でそれぞれ36%、3%増しており、海外旅行は来年も値上がりするとみられている。
同日付米『Travel off Path』:「2023年はアジア旅行が回復、行き先人気トップ7」:
ほぼ3年間続いたコロナ禍の制限から回復しつつある今、自然や仏閣を求めてアジア方面への旅行需要が高まりを見せている。実際、米国では2023年の人気旅行先の7割が海外となっている。
アジアは欧州のようにまだ通常通りとはいかないが、今年初頭より状況は改善した。コロナ禍で観光を全面禁止としていた国でも、今は歓迎ムードとなっている。
オンラインの人気旅行代理店「Kayak」は、「検索数の増加」をもとに2023年の渡航先人気を調査。今年は渡航制限が解除された欧州旅行が多くなった。米国と欧州を結ぶ直行便も多く、欧州は行きやすいといえる。だが来年は直行便がない地域を含めて、より遠くへ旅行する人が増えるとみられる。
最もアジアで人気なのは、ベトナムのホーチミン市。仏教とフランス統治時代や共産主義の影響を受ける文化的首都で、ホーチミンの検索は769%増加した。コロナ制限は解除され、国際便は通常に戻り、治安も良い。来年多くの米国人がここを訪れるだろう。
2位は台湾の台北。エネルギッシュな街で中国のようでありながら、西欧文化に習い先進的で民主的。前年比検索数は289%増加。ただきびしい入国制限があり、要件を満たした一部の人のみが渡航できる。
3位は東南アジアで最も発展した都市とも言われるシンガポールで、検索は201%増加。まだ入国に制限があり、旅行保険や渡航2日以内の陰性証明が必要となる。
4位は香港。日本やタイとも違い、コロナ対策で観光客の制限はしないが、厳しい検査体制を敷き、到着後5年間の追跡調査の対象となる。そのため今は良い時期とは言えないが、検索数は190%増加。中国の軍事的動きがあるが、人気は衰えていないようだ。
5位は東南アジアの中で米国人に最も人気なタイで166%増加した。壮大な寺院や古代王宮、ナイトライフ、安価な食も充実している。
6位は日本の東京。美しく、秩序だっていながらも雑多な街東京。有名な寺、壮観な庭園、美術館や博物館など、近代的なビル群が非常に魅力的だ。今厳しい入国制限が解除されたことで、日本への興味は急上昇し、東京の検索は150%増加した。米国からはコロナで減便されていたフライトも再開されている。
7位は中央アジアに位置するテレアビブ。地中海に面した歴史あるメトロポリス。中東で最もリベラルだと評され、134%増加した。
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