世界のCO2排出、コロナ以前に迫る急激リバウンド(2021/11/04)
地球温暖化対策を話し合う会議がグラスゴーで開催されている。最新の科学報告書によると、世界のCO2排出はコロナ以前の水準に近付いており、リバウンドが始まっているという。
11月3日付英国
『BBC』 は「気候変動:コロナによる減少前の排出量に迫る急激リバウンド」との見出しで以下のように報道している。
グローバル・カーボン・プロジェクトの科学報告書によると、世界のCO2排出はコロナ以前の水準に近付いておりリバウンドが始まっているという。昨年2020年の温室効果ガス排出はパンデミックによるロックダウンの影響で5.4%減少したが、今年2021年にはCO2排出が4.9%増加すると予測されている。...
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11月3日付英国
『BBC』 は「気候変動:コロナによる減少前の排出量に迫る急激リバウンド」との見出しで以下のように報道している。
グローバル・カーボン・プロジェクトの科学報告書によると、世界のCO2排出はコロナ以前の水準に近付いておりリバウンドが始まっているという。昨年2020年の温室効果ガス排出はパンデミックによるロックダウンの影響で5.4%減少したが、今年2021年にはCO2排出が4.9%増加すると予測されている。
1.5℃の気温上昇に抑える道筋に陰りが見え、このレベルだと、COP26で議論されている施策実行の緊急性が非常に重要な課題となる。今週、COP26会議ではメタン削減計画や森林破壊食い止めなどの重要な合意が示された。しかし、2021年石炭や天然ガスによる排出は昨年と比べ増加すると予測され、石油による排出は2019年基準を下回ると予測されている。
我々が今の活動を続け、排出削減をしなければ、1.5℃上昇に約11年で到達すると考えられるが、これはこのレベルに2030年代前半に到達するとしている国連の報告書と同様の予測となる。ロックダウン以降にコロナ禍同程度の排出量に抑えるのは大変厳しいこととなる。しかしながら、ソーラーや風力発電、電気走行バスを導入している中国など、各国の協力があれば到達可能な範囲だと様々な科学者は強調している。
同日付英国『Independent』 は「コロナ以後の世界の排出リバウンドは予測以上となる見込み、専門家」との見出しで以下のように報道している。
新型コロナによるCO2排出リバウンドは予測より大きくなると危惧されているという。ロックダウンや経済活動の停滞により2020年は世界的な排出は5.4%減少したという。しかしグローバル・カーボン・プロジェクトの評価によると、今年の経済活動再開により、炭素排出量は4.9%上昇するとみられているという。
国際気候環境センターのピーターズ調査部長は、今年のリバウンドは予測を超えるものとなるとしている。昨年の予測では、数年間、回復傾向が続くとみられ、これほど早いリバウンドは予測されていなかったという。だがイースト・アングリア大学王立学会のルクア教授は、「グラスゴーでの取り組みは非常に重要で、このような報告で気落ちする必要はない。一つ一つの問題に対処することが重要」だと強調する。
新たな報告書では、地球温暖化を1.5℃に留める目標を50%の可能性とするには、各国は420兆トン以上の排出をしないことだという。これは2021年を基準とし11年間続けた排出量となる。来年を排出ピークにしないよう、今年中の早急な対策が求められている。
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アメリカ、中小企業が深刻な人材不足に直面(2021/04/26)
新型コロナウイルスの影響で何百万人もの人が失業したアメリカ。ワクチン接種がすすみ、通常の生活に戻ろうとする人が増えている一方で、中小企業が雇用に苦戦している。思うように採用できない事態に直面している企業は、製品やサービスの需要に追いつくことができなくなっている。
米
『AP通信』 によると、アメリカでは今、中小企業の求人が増えているにもかかわらず、人材確保に困っているという。人々の新型コロナウイルスへの感染の不安や、パンデミックの影響で増額された失業手当への依存、または休校で自宅での育児が必要になるなど、さまざまな要因が重なり、仕事を探す人が減っていることが原因だと見られている。
サウスカロライナ州でレストランを営むスティーブ・クラットとブランドン・ラップは、レストランと屋台ビジネスを営んでいる。...
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米
『AP通信』 によると、アメリカでは今、中小企業の求人が増えているにもかかわらず、人材確保に困っているという。人々の新型コロナウイルスへの感染の不安や、パンデミックの影響で増額された失業手当への依存、または休校で自宅での育児が必要になるなど、さまざまな要因が重なり、仕事を探す人が減っていることが原因だと見られている。
サウスカロライナ州でレストランを営むスティーブ・クラットとブランドン・ラップは、レストランと屋台ビジネスを営んでいる。ビジネスをうまくまわすためには20人のスタッフを必要としているが、現在5人しか採用できていないという。面接を行っても、応募者15人のうち1人でも面接を受けに来てもらえたらラッキーだという。クラットさんは、面接を受けに来てくれる人はみな、失業手当がもうなくなるという人ばかりだと述べている。
サウスカロライナ州の失業手当は、連邦政府のコロナウイルス救済金300ドル(約3万2千円)を含めると週に最大626ドル(約6万7千円)になる。他の州では、最大失業額が週700ドル(約7万5千円)を超えるところもある。
また、3月下旬に行われた国勢調査によると、630万人が子供の世話をしなければならないという理由で、410万人はウイルスに感染したり、ウイルスを広めたりする恐れがあるという理由で仕事を探していないと回答している。
全米独立企業連盟(National Federation of Independent Business)が3月に会員企業へのアンケートを行ったところ、42%の企業が採用の困難な求人を抱えていることが判明した。その要因のひとつとして、失業手当の増加が挙げられている。全米経済研究所が先月発表した調査によると、パンデミックの際に失業手当を10%増額したところ、求職者数が3.6%減少したという。調査を共同執筆したペンシルバニア大学のマリネスク教授は、「失業手当は、労働者が再び仕事を求めるまでの期間を延ばすことを可能にするため、雇用を困難にさせる可能性がある」と述べている。
コンサルティング会社RSMのチーフエコノミストであるジョー・ブルスエラス氏は、育児も採用の壁の1つとしてあげている。「学校が再開し、保育園などが正常に戻るまでは、一般的な中小企業、特に食品、飲料、レジャー、サービス業は、早くても今年の秋の終わりまでは人材確保の問題に直面するだろう」と述べている。
また、人々が家で過ごす時間が増え、家やアパートの消耗が激しくなっているため、住宅関連のサービスに対する需要が高まっている一方で、配管工、建設請負業者、害虫駆除業者など、室内の仕事を請け負う企業では、仕事中にコロナに感染することへの恐れから雇用が困難となっているという。
米ニュースサイト『ビジネスインサイダー』 によると、フロリダ州タンパで60のマクドナルド店舗を経営しているブレイク・キャスパー氏は、応募者が面接に現れるだけで50ドル(約5千円)を支払うようにしているという。それでも応募者を見つけるのに苦労している。キャスパー氏によると、全米で雇用が再開したことに加え、連邦失業手当が充実したことで、応募者の数が減ったという。これほど労働者の雇用が難しくなったのは、90年代後半以来だという。
人手不足のため、キャスパー氏のようなフランチャイズ加盟者は、賃金の引き上げを余儀なくされている。キャスパー氏は、より多くの従業員を獲得するために、初任給をフロリダ州の最低賃金を3ドル(約300円)上回る12ドル(約1300円)から13ドル(約1400円)に引き上げることを検討しているという。キャスパー氏は、「最大の課題は、連邦政府と州政府がこの失業状態を続けていくことだ。失業者であることのほうが儲かるのだから、(採用するためには)少なくともその上をいかなければならない」と語った。
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