ECBのドラギ総裁は18日開催されたECB年次会議で、欧州地域のインフレが目標とするレンジに達しない場合、ECBは金利を引き下げるか資産購入を行う必要があるかもしれない、と述べ、金融緩和政策を再開する可能性を示唆した。これにより、ユーロは米ドルに対して約0.25%下落した。
これをうけ米国のトランプ大統領は「ドラギ総裁は、さきほど一層の金融緩和を行う可能性があると語った。これによりユーロはドルに対して即座に下落した。...
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ECBのドラギ総裁は18日開催されたECB年次会議で、欧州地域のインフレが目標とするレンジに達しない場合、ECBは金利を引き下げるか資産購入を行う必要があるかもしれない、と述べ、金融緩和政策を再開する可能性を示唆した。これにより、ユーロは米ドルに対して約0.25%下落した。
これをうけ米国のトランプ大統領は「ドラギ総裁は、さきほど一層の金融緩和を行う可能性があると語った。これによりユーロはドルに対して即座に下落した。欧州の競争力が高まり不公平だ。欧州は中国や他の国と同じように何年もこんな政策を続けてきた。」とコメントした。またトランプ大統領はその後、ドイツの株式指標DAXがドラギ総裁の発言後に上昇したことを指摘し、「米国にとって、とてもアンフェアだ」と強調した。
トランプ大統領は他国が為替操作を行っていると繰り返し批判している。他国が通貨を安く誘導していることはアンフェアで、これにより米国が貿易赤字になり、米国の労働者を痛めつけている、と語っていた。欧州のユーロに対してだけでなく、トランプ大統領は中国やロシアについても通貨安を批判していた。さらにトランプ大統領は自国のFRBの直近の利上げも批判し、今週にも利下げを行うよう圧力をかけている。
トランプ大統領のコメントを受け、ドラギ総裁は次のように反応した。「我々には我々の権限と、委託された責務がある。我々に与えられた責務は、インフレ率を2%に近くそれを上回らない水準に維持することだ。」と述べた。また、ドラギ総裁は「ECBはこの目標を達成するために、すべての手段を用いる用意がある。そして我々は為替レートを目標としていない。」とも述べた。
アイスランド中央銀行のグズムンドソン総裁は「ECBには独立性がある」とドラギ総裁を擁護している。「必ずしもユーロの実質為替レートが大きく減価するとは限らない。レートがどのように動くかはその時の状況により違っている。あるときは米ドルがユーロより強かったし、またあるときは逆だった。それはおかしなことではまったくない。」
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