ロシアにおける新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題が依然深刻である。再び感染者増に遭っているのは、その他の国々同様オミクロン変異株の蔓延が理由とされるが、多くの国民が信頼していないロシア製ワクチン接種を拒んでいることが背景にある。そこで、プーチン政権としても、支持率を更に下げないためにも、感染拡大状況下でも新たな行動規制導入に慎重になっている。
1月14日付
『ロイター通信』:「ロシア政府、国民に不人気のCOVID-19感染防止規制に消極的」
ロシア政府は1月14日、オミクロン変異株出現もあってCOVID-19感染拡大に歯止めがかからない状況下にも拘らず、感染防止のための新たな行動規制導入を見送ることを決めた。
ロシア全土では、感染者数が2万3,820人と前日比+12%も増え、死者も739人に上っている。
モスクワ市内では、12月20日以来オミクロン変異株の感染者が729人となっており、僅か2日前にタチアナ・ゴリコワ副首相(55歳)が全国のオミクロン株感染者が698人と発表したばかりなのに、前日比2倍以上の増加となっている。...
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1月14日付
『ロイター通信』:「ロシア政府、国民に不人気のCOVID-19感染防止規制に消極的」
ロシア政府は1月14日、オミクロン変異株出現もあってCOVID-19感染拡大に歯止めがかからない状況下にも拘らず、感染防止のための新たな行動規制導入を見送ることを決めた。
ロシア全土では、感染者数が2万3,820人と前日比+12%も増え、死者も739人に上っている。
モスクワ市内では、12月20日以来オミクロン変異株の感染者が729人となっており、僅か2日前にタチアナ・ゴリコワ副首相(55歳)が全国のオミクロン株感染者が698人と発表したばかりなのに、前日比2倍以上の増加となっている。
同市のセルゲイ・ソビャーニン市長(63歳)は、新規感染者のうち半分近くがオミクロン株であるとし、1月15日には感染者が7千人に達する見込みと懸念している。
オミクロン株はこれまでの変異株よりも感染力が強く、多くの国の新規感染者がオミクロン株で占められてきている。
更に、オミクロン株はワクチン接種者も感染(ブレークスルー感染)する事態を引き起こしているが、ただ、初期段階の研究結果では、致死率はデルタ株程高くはないとみられる。
当初、ロシア政府は、公共施設の入館者は全て、ワクチン接種記録か、直近でCOVID-19感染から快復したばかりか、あるいはワクチン接種回避に関わる医療機関の証明書を示すQRコードを携行することを義務付ける規制を導入することを考えていた。
しかし、この見送りを発表したゴリコワ副首相は、当該規制がデルタ株防止を前提としていたため、オミクロン株という“新たな試練”に対して同規制が有効か“非常に不確か”と考えたためと説明した。
ただ、これ以前に、同政権が導入しようとした国内線及び国際線の飛行機・列車利用者への規制について、ワクチン接種に疑問を抱いている多くの国民から強い抵抗に遭ったこともあって、先月、連邦議会国家院(下院に相当)への法案提出が見送られている。
ワクチン接種等を証明する媒体としてのQRコード携帯規制は、既に多くの地域で導入されていて、国内旅行や博物館・劇場入館の際に求められている。
そこで、ウラジーミル・プーチン大統領(69歳)も、ロシアにおけるCOVID-19感染状況は“非常に困難な”局面を迎えているとして、可及的速やかな防止策を立案・実施するよう指示を出している。
ロシア公衆衛生局ロスポーターナゾールのアンナ・ポポワ局長(61歳)も1月11日、このままいくとロシア国内の一日当たり新規感染者は6桁(数十万人)に達する恐れがあると警鐘を鳴らしていた。
従って、ゴリコワ副首相も、新たな行動規制法案を今週末までに策定すると表明せざるを得なかった。
なお、これまでのロシアにおける総感染者数は1千70万人超、死者数は31万9,911人と報告されている。
しかし、ロシア統計局によれば、COVID-19関連死の疑いがあるケースまで対象を広げると、同国の2020年4月から2021年10月の間の死者総数は62万5千人まで跳ね上がるとする(編注;この数値とすると、ロシアの死者数は世界4位から米国に続く2位へとジャンプアップする)。
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