1月25日付英国
『Guardian』:「米、ロシアからの天然ガス供給遮断に備え、欧州の供給増へ最終調整」:
ロシアからの供給が停止した際の欧州のエネルギー危機に備え、米高官が各国のサプライヤーと協議。プーチン氏の最強経済武器である、天然ガス供給が途絶えた場合に向け、供給元変更の支援をしようと米国は準備を行っている。
ロシアによるウクライナ侵攻への懸念が高まる中、米高官は25日、各国のサプライヤーと協議を重ねた結果、「欧州が冬と春を乗り越え、大規模なエネルギー不足にならないよう代替供給の準備が整っている」と述べ、突如エネルギー不足に陥ることはないと確信しているとしている。...
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1月25日付英国
『Guardian』:「米、ロシアからの天然ガス供給遮断に備え、欧州の供給増へ最終調整」:
ロシアからの供給が停止した際の欧州のエネルギー危機に備え、米高官が各国のサプライヤーと協議。プーチン氏の最強経済武器である、天然ガス供給が途絶えた場合に向け、供給元変更の支援をしようと米国は準備を行っている。
ロシアによるウクライナ侵攻への懸念が高まる中、米高官は25日、各国のサプライヤーと協議を重ねた結果、「欧州が冬と春を乗り越え、大規模なエネルギー不足にならないよう代替供給の準備が整っている」と述べ、突如エネルギー不足に陥ることはないと確信しているとしている。
ガスの供給はウクライナ侵攻を阻止しようとする米と欧州同盟国の協力関係を示し、バイデン氏は25日、プーチン氏個人への制裁を検討すると発言している。ロシアが攻撃したら、「第二次世界大戦以来の大侵略」であり、「世界を変えるもの」だと述べている。
ジョンソン英首相は、ドイツはロシアへの天然ガス依存のため、制裁を懸念しているとし、マクロン仏大統領は、25日ベルリンで協調関係の確認のためドイツの新大統領と会談した。また、マクロン大統領は28日にプーチンに電話し、ロシアの立場を明確に伝えるとした。「フランスとドイツは、ロシアとの対話を決して放棄しないが、侵攻した場合は報復を科し、その代償は非常に大きなものとなるだろう」としている。
米高官によると、ロシアは既にウクライナへのパイプライン天然ガスを制限しているが、たとえパイプラインが停止されても、別のルートで早急に供給可能なところまで準備が来ているという。主な代替供給元の一つはカタールで、25日タミーム・カタール首長は1月末に「世界的なエネルギー供給の安定」の協議でホワイトハウスを訪問する予定だ。
一方、協議は企業、国、数か所のサプライヤーに限定せず、世界各国と行われているという。また、個々による大規模な供給でなく、複数からの小規模な供給を視野に入れているという。欧州へはLNGでの輸送がよいが、LNGの世界市場ではウクライナ経由での欧州への天然ガス供給補填には不足し賄いきれない。
バイデン氏はプーチン氏への個人制裁も検討。米国はロシアへのハイテク分野の輸出制限も検討しており、この政策はロシアの宇宙研究、防衛、レーザー、海洋技術、IT,量子コンピュータ分野での野心をくじく狙いがあるという。
同日付米国『CNN』:「ロシアのウクライナ侵攻を懸念しガス供給増に向けたグローバル戦略」:
米高官によると、ロシアがウクライナへ侵攻した場合の天然ガス不足に備え、バイデン政権は欧州、中東、北アフリカそしてアジア諸国の多くの国と、欧州むけの天然ガス供給強化に関し協議を重ねている。
米政府は、米国務省のホシュタイン上級顧問を中心に、天然ガス供給ルートの変更のため、過去6~8週間にわたり、予備オプションを含めグローバル戦略をまとめ上げてきた。先週のエネルギー企業との協議では、企業側は増産についてはリスクが高く時間も要するとの認識だったという。参加したのはノルウェーやカタールだが、実に様々な国との協議が進展しているという。
米国は主に消極的な国々に対し、米国と協力してロシアに制裁を科すことは、概して欧州の経済への負の影響に至らないとの説得に当たっているという。
ロシアは欧州の天然ガスの4割を担っており、ロシアとウクライナが戦争となる緊急事態が起きると、液化天然ガス不足し、グローバルなエネルギー市場に混乱が生ずる。ロシアはまたウクライナ経由で天然ガスを輸出しているため、インフラへの致命的ダメージも大きいものと予想される。そのため、米国は過去2か月にわたり、戦争や制裁、その世界経済への影響について調査を行ってきた。いかなる決定をしても、集団的利益と安全保障を優先した選択であり、深刻な波及影響を最小限に抑え、ロシア経済への制裁を行うとしている。
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