ドナルド・トランプ前大統領は在任中、不法移民を取り締まる一環でメキシコ国境に壁を建設しようとしただけでなく、「合衆国法典第42編(タイトル42、注後記)」を適用して、新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大防止を理由に不法移民を追放してきた。国際人権団体等から人道問題と糾弾されているが、ジョー・バイデン現大統領も、タイトル42適用を中止した途端に不法移民が急増することを懸念して、同法適用を継続している。そうした中、直近2ヵ月で摘発された不法移民の数は減少しているが、依然高止まりしている。
8月15日付
『AP通信』は、「7月の不法移民検挙数減少も依然高止まり」と題して、タイトル42に基づく不法移民の取り締まりが続き、直近では検挙数が減少傾向にあるが依然高止まりだと報じている。
米当局発表によると、メキシコ国境で摘発された不法移民数は6月、7月と2ヵ月連続で減少したという。
しかし、依然高止まりしているのは、タイトル42適用によって、COVID-19感染拡大防止の一環で亡命や人道支援を求めての入国を厳しく制限していることから、不法侵入に走る人が多くいるとされている。...
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8月15日付
『AP通信』は、「7月の不法移民検挙数減少も依然高止まり」と題して、タイトル42に基づく不法移民の取り締まりが続き、直近では検挙数が減少傾向にあるが依然高止まりだと報じている。
米当局発表によると、メキシコ国境で摘発された不法移民数は6月、7月と2ヵ月連続で減少したという。
しかし、依然高止まりしているのは、タイトル42適用によって、COVID-19感染拡大防止の一環で亡命や人道支援を求めての入国を厳しく制限していることから、不法侵入に走る人が多くいるとされている。
米国税関・国境警備局(CBP、2003年設立)によると、7月に摘発された不法移民件数は19万9,976件で6月の20万7,933件より▼3.8%、また、2021年7月の21万3,593件より▼6.8%減少しているという。
CBPのクリス・マグナス局長(61歳、2021年就任)は、“検挙数は依然高止まりしているが、2021年10月以来2ヵ月連続で減少しているのは良い兆候だ”とコメントした。
当局データによると、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルからの7月の不法移民数が6月より減少しているが、特にメキシコ人が減っているのは、メキシコ政府が正式に、タイトル42適用によって不法移民が追放されることに同意したことから、CBPにとってもメキシコ国境管理局の協力によって対応がスムーズに運んでいるとする。
一方で、ベネズエラの不法移民摘発件数は1万7,603件と、6月より+34%、また、2021年7月比約3倍と増えている。
また、キューバからも2万80件と、6月比+25%、2021年6月比約6倍と急増している。
なお、最も摘発件数が多かったのは、デル・リオ国境警備署(テキサス州南西端)の4万9,563件で、次に多かったのがこれまで長い間最多となっていたリオ・グランデ・バレー国境警備署(同州最南端)の3万5,180件であった。
(注)タイトル42:合衆国法典(米連邦法律のうち一般的かつ恒久的なものを主題別に集めた公式法令集)の第42編に分類されている公衆衛生法(1944年制定)で、伝染病を持つ可能性のある国の人の米入国を阻止することができると定めた法律。トランプ前大統領がこの法律を盾に、COVID-19感染拡大防止を理由として2020年3月以降、不法移民を追い返すように指示。バイデン現大統領も、同法の適用中止を決めた途端に不法移民が急増することを懸念して、適用継続。
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