今回の協議は、15か月間の凍結状態の末に再開された。11月26日にはベネズエラ政権と野党の代表団が協議の末に同意書にサインした。メキシコのエブラード外務大臣は「全ラテンアメリカ諸国の希望となる出来事で、政治的な勝利だ。」と絶賛した。
この同意によりベネズエラ政府への米国の原油輸出禁止を中心とする制裁は徐々に緩和されることになる。米国は、同意が発表されてから直ぐに次のアクションを起こした。...
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今回の協議は、15か月間の凍結状態の末に再開された。11月26日にはベネズエラ政権と野党の代表団が協議の末に同意書にサインした。メキシコのエブラード外務大臣は「全ラテンアメリカ諸国の希望となる出来事で、政治的な勝利だ。」と絶賛した。
この同意によりベネズエラ政府への米国の原油輸出禁止を中心とする制裁は徐々に緩和されることになる。米国は、同意が発表されてから直ぐに次のアクションを起こした。すなわち米国財務省は、石油開発の大手企業シェブロンにベネズエラでの石油開発活動をベネズエラ国有石油会社PdVSAと共同で部分的に再開することを許可した。そのため米国政府はシェブロン社に対して、ベネズエラでの将来の石油開発活動に関してベネズエラと協議することを許可した。これは、2019年に米国が当初、マドゥロ大統領政権排除のため、ベネズエラに課した原油輸出禁止措置に対する最初の逸脱行為となる。
15か月間のベネズエラ原油輸出禁止措置の後、コロンビアと米国の介入で原油輸出措置の緩和に向けた交渉が再開された。米国の西半球担当のブリアン・ニコルス副国務長官は、ベネズエラに政権側と野党側が人道的な見地で和解し自由な、公正な選挙を行うことに同意することを交渉条件として要求していた。
なおベネズエラでは独裁的なマドゥロ大統領が政権を取った後、米国と欧州による原油輸出禁止措置で経済危機と政治的な危機が継続してきた。その後、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格の高騰により米国の対ベネズエラ政策に変化が見られ、5月からベネズエラ原油の輸出禁止措置の緩和交渉が関係国間で進められてきたという経緯がある。
これまでの経済危機でベネズエラから国外脱出した約700万人のベネズエラ人の多くが今後、母国に戻れる日が来ることを願いたい。
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