1月28日付
『AP通信』は、「核攻撃管掌の米軍トップ、配下の将兵のガン罹患症例について医学的検証を要求」と題して、核兵器の管理・運用を管掌する米空軍トップが、配下の将兵が血液のガンに罹患する症例が多くみられるとして、専門家による医学的検証を要求する旨発信したと報じている。
空中及び地上発射の核兵器搭載ミサイルの管理・運用を管掌する米空軍トップが、北西部モンタナ州在のマルムストローム空軍基地(1942開設)で核兵器管理を担当している将兵に血液のガン罹患の症例が多く発生しているとして、専門家による医学的検証を公式に要求した。...
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1月28日付
『AP通信』は、「核攻撃管掌の米軍トップ、配下の将兵のガン罹患症例について医学的検証を要求」と題して、核兵器の管理・運用を管掌する米空軍トップが、配下の将兵が血液のガンに罹患する症例が多くみられるとして、専門家による医学的検証を要求する旨発信したと報じている。
空中及び地上発射の核兵器搭載ミサイルの管理・運用を管掌する米空軍トップが、北西部モンタナ州在のマルムストローム空軍基地(1942開設)で核兵器管理を担当している将兵に血液のガン罹患の症例が多く発生しているとして、専門家による医学的検証を公式に要求した。
『AP通信』が取得した軍事関連報告によると、少なくとも9人の将兵が非ホジキンリンパ腫(注1後記)に罹患していて、うち1人は既に死亡しているという。
彼らはいずれも、ミニットマンⅢ大陸間弾道ミサイルが据えられているミサイルサイロ近くの掩体壕(注2後記)で執務していて、もし(非常事態で大統領から命令が下されれば)同ミサイル発射を司る任務も帯びている。
そこで、核兵器の管理・運用を管掌する地球規模核攻撃軍団(AFGSC、2009年新設)司令官のトーマス・A.・バッシェール大将(59歳、2022年就任)が1月27日、米空軍航空宇宙医学校(1918年設立)に対して専門的検証を行うよう要求する書簡を出状した。
同大将は書簡の中で、“AFGSC及び米空軍は、所属する航空兵らの安全と健康を擁護する責任があり、自身にとってそれが最優先事項である”と言及している。
空軍のアン・ステファネック報道官は1月28日、今回対象とされた将兵に加えて、更に医学的検証がなされることになる、との追加情報を発信した。
上記と同様の核弾頭搭載ミサイル設備は、中西部ノースダコタ州在のマイノット空軍基地(1957年開設)及び中部ワイオミング州在のF.E.ウォレン空軍基地(1947年開設)にも設置されている。
そこで同報道官は、“バッシェール大将は、ミサイル施設で従事し、健康被害のリスクを抱える全ての航空兵らについても医学的検証を求めている”と言及している。
米空軍は1月22日、『AP通信』のインタビューに答えて、医学チームが目下調査・検証に着手していると言及していたが、同大将は、航空宇宙医学校の専門家による検証も必要だと一歩踏み込んだ要求を出している。
『AP通信』が先週一週間にわたって取材したところ、マルムストローム基地のミサイル設備で勤務する更に多くの将兵や家族が、当該悪性リンパ腫やその他のガンに罹患していると回答している。
なお、米ガン協会(1913年設立の非営利団体、全米3,400ヵ所に支部所有)によると、米国内では毎年10万人に19人(0.019%)が当該悪性リンパ腫と診断されている。
(注1)非ホジキンリンパ腫:ホジキンリンパ腫以外の全ての多様な悪性リンパ腫を含む一群。和訳はやや無理やりで、医療現場では通常英語名を使用するか、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と呼称。
(注2)掩体壕(えんたいごう):軍用機などの装備・物資や人員を、砲爆撃など敵の攻撃から守るために山に掘った横穴や、コンクリートなどで造った横穴状の施設。
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