1月29日付
『アジア・ニュース・インターナショナル』紙(1971年設立)は、「中国富裕層、習近平国家主席の“共同富裕”政策強硬に失望して一斉に海外逃避」と題して、異例の3期目続投を決めた習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)が「共同富裕」政策を益々強硬に推進しようとしていることから、直近1年間で1万人以上の富裕層が海外移住に踏み切ったと報じている。
『ザ・シンガポール・ポスト』オンラインニュース報道によると、中国富裕層が習近平国家主席の政策に嫌気して、中国本土からの逃避を図っているという。
同報道によると、習国家主席が大手IT企業・不動産会社・教育産業の取り締まりを強化し、その上で2年前に打ち出した「共同富裕」政策を益々強硬に推進していこうとしていることから、富裕層が膨大な資産減少を懸念して、北米等への移住を促進しているという。
特に、昨年10月の中国共産党第20回全国代表大会で同国家主席の異例となる3期目の続投が決まって以降、富裕層の懸念は益々増大したという。
英国の投資移住コンサルタント会社ヘンリー&パートナーズ(1997年設立)が支援している、世界富裕層関連データ収集を行う「ニュー・ワールド・ウェルス」(南ア本拠)によると、昨年1年間に約1万800人の富裕中国人が海外移住していて、2019年以来最多となっているという。
なお、上記の数字は世界2番目で、海外移住最多はロシア人富豪である。
中国政府は昨年12月、「ゼロコロナ政策」を突然緩和し、海外渡航制限を停止したが、それに乗じて、特に富裕実業家が移住を加速すると同時に、現金資産を海外の不動産等への投資に注ぎ込んでいる。
上海・香港本拠の国際不動産グループ「居外IQI」によると、「ゼロコロナ政策」継続中の2021年には中国本土顧客からの不動産照会数は前年比26%も減少したが、2023年になって一挙に55%も急増しているという。
特に、習国家主席が「共同富裕」政策を強化しようとしていることを懸念して、多くの中国人富裕層が日本や米国への資産移転を加速しているとする。
米外交専門誌『フォリン・アフェアーズ』(1922年創刊)の1月11日号によると、中国富裕層が海外移住しようとするのは、これまでは“より良い環境”を求めてであったが、直近数週間では、中国警察や政府関係者を直接攻撃する暴動が頻発していることから、富裕層自身の資産のみならず安全までも脅かされることを懸念してのこととされている。
閉じる