これまで、メイ首相は「2020年に予定されている総選挙まで選挙は行わない」と公言していた。しかし、急遽選挙を前倒しすることについて、メイ首相は「英国の将来に対する確かさ、安定、強いリーダーシップが必要である」と強調した。
また、メイ首相は、ハードブレグジットは強い国民の信任を必要とするとの意向を示し、かつ野党の意見が与党である保守党の意見と必ずしも一致していないとの認識を示し、総選挙を行うことに対する正当性を強く主張した。...
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これまで、メイ首相は「2020年に予定されている総選挙まで選挙は行わない」と公言していた。しかし、急遽選挙を前倒しすることについて、メイ首相は「英国の将来に対する確かさ、安定、強いリーダーシップが必要である」と強調した。
また、メイ首相は、ハードブレグジットは強い国民の信任を必要とするとの意向を示し、かつ野党の意見が与党である保守党の意見と必ずしも一致していないとの認識を示し、総選挙を行うことに対する正当性を強く主張した。
今回、総選挙を行う場合、下院議会で3分の2の賛成を要するが、最大野党である労働党は賛成する姿勢を見せており、総選挙となる可能性が高い。
実のところ、選挙実施の背景には、1.与党である保守党の支持率が高く野党である労働党との支持の差が大きいこと 2.今後の選挙とブレグジットの日程との関係 3.現在の経済状況が好調であること等があるものと考える。
まず、1.については、近時の世論調査によると保守党の支持率44%に対して労働党の支持率が23%に対して大きく保守党がリードしていること2.については、2019年3月にEU離脱の期限が到来し、もし離脱協議がまとまらない場合、総選挙で保守党にとって厳しい選挙が予想されること3.については、当初ブレグジット後は景気後退に陥るのではとの予想に反して、英国経済は年1.8%の経済成長を達成しているとの事実背景が存在する。
しかし、依然EU離脱の賛否は拮抗しており、選挙結果は予断を許さないものと考える。現状、下院議席650の内訳は、保守党331議席、労働党232議席、スコットランド民族党56議席、自由民主党8議席等となっており、保守党が過半数をかろうじて確保している状況である。今回の選挙は、メイ首相の思惑どおり与党である保守党が議席数をさらに増やして安定した基盤を確保できるどうかが焦点になるものと考える。
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