この公開聴聞会では2016年の米大統領選挙へのロシアの干渉の疑惑に関する委員会の調査と自身がトランプ米大統領に突然解任された状況について尋ねられる見込みだ。引用されたThe New York Timesによれば5月10日トランプ米大統領はロシア政府高官との会談時にコミー前米FBI長官は変人であり、彼を解任したことで大きな圧力を和らげた、彼はフリン元米国家安全保障問題担当大統領補佐官の捜査を中止できたのにしなかったと報じたているが、トランプ米大統領とラブロフ露外相は否定している。
トランプ米政権とロシアの問題に関する米露会談でのこのような暴言は、トランプ米大統領の政策課題の実行を遅らせ、現在実施中の9日間の外遊に影響が出る可能性がある。また米下院情報委員会はカプト前トランプ米大統領候補選挙陣営顧問に対し2016年の米大統領選挙へのロシアの干渉問題に関し米下院情報委員会での証言を要請するとともに、必要な書類の提出を求めた。
カプト氏はトランプの米大統領の政治顧問を長年務めたロジャー・ストーンと親しく1990年代にロシアで働いたことがある。ロシアのエネルギー企業ガスプロムで広報の仕事をした後、2007年のウクライナ国会議員選挙でコンサルタントを務めた。また2015年11月から2016年6月まで、トランプ米大統領候補選挙陣営顧問を務めたが、トランプ米大統領候補選挙陣営前マネージャーのルワンダフスキーが解雇された後辞任した。
5月17日ミュラー元米FBI長官が2016年の米大統領選挙へのロシアの干渉と、トランプ米大統領候補陣営とプーチン露政権間の共謀を調査するために特別顧問に任命された。情報筋によればトランプ米政権はミュラー特別顧問の調査を弱体化させるため曖昧な倫理規定が適用できるかどうか検討したが、ペロシ米民主党下院議長は5月20日これを防ぐための法案を作ると発表した。
米司法省規則の下、特別顧問は調査を開始し、召喚状を出し、刑事訴追を行う権限を含む、米国の検事の持つすべての権限を有する。ただ特別顧問は米司法省に自分の調査内容を知らせるかどうかは本人に任されるが、重要な措置を取る前は米司法長官に通知しなければならない。また特別顧問はロシアとの関係以上のことを調査する場合、許可を求めなければならない。
特別顧問、特別検事、独立検事の違いは以下の通り。特別検事、独立検事はウォーターゲート事件に伴う法律で制定された役職で、1999年に期限切れで廃止となりもう存在しない。米司法省はこれらを引継ぐ形で特別顧問制度を設けた。米司法省は特別顧問に職員を派遣することになっているが、特別顧問は特定の人物の雇用を要請したり米司法省外から職員を雇用することができ、任命後60日以内に米司法省に予算を請求し、毎年更新する必要がある。特別顧問の任期の期限は無い。
トランプ米大統領に特別顧問の解任権は無いがローゼンシュタイン米司法副長官により無能、不正行為等の「個人的行為」があるとみられた場合のみ書面による通知で解任される。特別顧問による調査結果は必ずしも公開されず、調査終了時に米司法長官に犯罪を立証するか、この問題を取り下げるかの決定を説明する秘密の報告書を提出する必要がある。米司法長官はこの結論を米議会に通知しなければならないが、特別顧問の報告書を公開するかどうかは米司法長官の判断による。
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