5月20日、中国で諜報活動をしていたCIA(米中央情報局)の協力者が、2010年からの2年間で、中国当局により12人以上殺害されたと米ニューヨーク・タイムズ誌が報じ、話題になっている。投獄された協力者も含めると最多で20人に上り、このため長年かけて構築した現地での諜報ネットワークが破壊されて、活動が不可能な状態になったとされる。
CIAやFBIは公式のコメントを拒否している。CIA内部の二重スパイなどの裏切り行為等が原因として疑われたものの、今のところ明確な証拠はなく、中国側がいかにスパイ行為を発見したのかについて、情報機関は必死になって突き止めようとしているという。
中国当局がいかにしてそれほど多くのCIA協力者を標的にすることができたのか、その原因を探ると、当時中国側がスパイ活動やCIA内の権力闘争を監視する能力を高めた時期に、内部から通報者が出たとか、関係者の仕事ぶりがずさんであったとか、様々なことが考えられている。...
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CIAやFBIは公式のコメントを拒否している。CIA内部の二重スパイなどの裏切り行為等が原因として疑われたものの、今のところ明確な証拠はなく、中国側がいかにスパイ行為を発見したのかについて、情報機関は必死になって突き止めようとしているという。
中国当局がいかにしてそれほど多くのCIA協力者を標的にすることができたのか、その原因を探ると、当時中国側がスパイ活動やCIA内の権力闘争を監視する能力を高めた時期に、内部から通報者が出たとか、関係者の仕事ぶりがずさんであったとか、様々なことが考えられている。
米国政府の人事管理部門の高官は、過去や現在の公務員を含む2,500万人分もの個人情報がハッカーにより盗まれたことを認めた。CIA内の犯行を疑う人もおり、調査人たちはすぐに中国担当部門の元情報員に狙いを定めた。二重スパイの犯行と信じない人々は、情報流出をずさんな米国のスパイ技術のせいにした。ミーティングに使用されたレストランに盗聴器がセットされ、中国の諜報員がウェイターをしていたと言う人もいる。
一方、ニューヨーク・タイムズの記事が出た翌日、中国共産党の機関紙人民日報系の環球時報が社説で、「もし同記事が真実であるとすれば、それは中国にとっての勝利である。」として、自国の反スパイ活動を称賛した。「CIAの諜報活動のネットワークが破壊されただけでなく、米国は何が起きたのか、ネットワークのどの部分に問題があったのかわかっていなかった。」「それは完全な勝利と言えるだろう。たとえCIAが中国で再度諜報ネットワークを構築しようとしても、同じ結果となるだろう。」と同紙は報じている。中国政府は本件について、まだ反応していない。
ニューヨーク・タイムズのホームページは、他の多くの主要な西側のニュース媒体同様、中国では閲覧が禁じられており、アクセスできないが、本件は広く話題となっており、その内容がオンラインのニュース・ポータルサイトなど、他の中国メディアでも取り上げられている。中国版ツイッターである微博(Weibo)などでは、スパイ組織が崩壊したことを喜ぶ投稿が多く寄せられている。
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