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【Globali】
米国の新たなタバコ問題:喫煙をやめられない低所得、低学歴、地方在住層
WHOによる5月30日の発表によれば現在、世界の喫煙による死者の数は肥満によるものよりも高く年間700万人で2000年の2倍に達しており、今世紀末までに喫煙関連の死者は10億人に達するとしている。米国では過去数十年にわたる反タバコ訴訟、運動、闘争により大部分の米国人は喫煙をやめ、数百万人の命が救われ、癌患者を大幅に減らした。ただし低所得、低学歴、地方在住層は例外となる。近年禁煙率は着実に減少している中で、タバコが貧困層の習慣となっている。...
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WHOによる5月30日の発表によれば現在、世界の喫煙による死者の数は肥満によるものよりも高く年間700万人で2000年の2倍に達しており、今世紀末までに喫煙関連の死者は10億人に達するとしている。米国では過去数十年にわたる反タバコ訴訟、運動、闘争により大部分の米国人は喫煙をやめ、数百万人の命が救われ、癌患者を大幅に減らした。ただし低所得、低学歴、地方在住層は例外となる。近年禁煙率は着実に減少している中で、タバコが貧困層の習慣となっている。米国の喫煙率は過去最低を記録しているが、まだ喫煙率は15%ある。喫煙はハリウッド映画で魅力に溢れた高級品の象徴として20世紀初頭に人気を博した。1964年に米軍医総監がタバコによる重大な影響に関する報告を行ったことで、その後35年で米国の富裕層の喫煙率は62%減少し、タバコによる害の悪影響をほとんど免れている。しかし、最貧困層ではわずか9%減少したに過ぎない。喫煙率の減少幅を学歴別に見ると、大学卒、大学中退、高校卒、高校中退ではそれぞれ、83%、61%、52%、39%となっている。米国の下層階級の人々はお金の問題、家庭の問題等のストレスから逃れ、気分をよくするために喫煙している。喫煙の社会経済的な格差はこれまでにないほど大きくなっている。高校中退者等の教育を受けていない米国民の喫煙率は40%以上となっている。地方在住者は都市居住者よりも18?20%も高く肺がんとなっている。ほぼすべての統計から、米国の下層階級の人々は他の上中層階級よりも高い喫煙率とタバコによる死亡率となっている。
タバコ企業は顧客基盤維持のために下層階級の人々を最後のよりどころとして、南部の州等社会経済的に下層の貧しい農村部の地域社会を対象にマーケティングを集中している。主要なタバコ企業はタバコの使用に関する社会経済格差についてのコメントを拒否している。米最大のタバコ会社アルトリアは、農村部、地方、都市部の小売店舗で法規制に従った同じマーケティング手法を採用しているとし、1998年の米司法長官と米タバコ4社との基本合意の一環として、タバコ会社は喫煙防止のために112億ドル以上支払ったが、この資金は各州で喫煙防止以外の他の予算に使われたと述べた。
階級間の格差の広がりは米国民の健康に大きな影響を及ぼし、タバコ問題への対策の見直しが必要となっている。禁煙を支援する団体は、禁煙支援プログラムを下層階級向けに改良している。タバコ規制を推進する団体は、タバコ問題は解決済みとして禁煙推進のための政府の予算が減少していると指摘し、タバコ規制への政治的な取り組みが衰えていることを懸念している。また下層階級の地域社会は他の階層のようにきちんとした健康管理プログラムで保護されていないと指摘している。予算規模が縮小しても非営利団体や保健機関は新しい社会経済的傾向に合わせて喫煙防止へのアプローチを始めている。ある非営利団体は黒人と低所得層地域を対象としてタバコ企業を批判する広告を出した。米疾病予防管理センター(CDC)は低所得者、農村、米先住民、精神病者、マイノリティの喫煙者の地域などを対象に独自の全国広告キャンペーンを行っている。タバコ規制の世界では「格差」と「健康資本」が新たなキャッチワードとなり、一部の州では試験的なプログラムが開始された。
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