8月13日付Globali「中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムでの南シナ海海洋活動中止との会見が米シンクタンク衛星写真で嘘と暴露される」の中で、“ASEAN地域フォーラムで、南シナ海の人工島建設等の追加の海洋活動は中断しているとの中国会見に対して、米シンクタンクの衛星写真報道でその嘘が暴かれる事態となっている”と報じた。しかし、そのような批判にもかかわらず、中国は、「一帯一路」新シルクロード政策の錦の旗印の下、中国企業によるASEAN他周辺諸国への海外投資を活発化して、同地域を着々と席巻し始めている。
8月17日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「中国、東南アジアのインフラ開発への投資急増」
アジア開発銀行(ADB)の試算では、東南アジア地域において、2030年までに26兆ドル(約2,860兆円)の資金が必要となるという。これは、同地域における経済成長、貧困撲滅、更には気候変動対策のために必要な、輸送ネットワーク構築から水の浄化までの多くのインフラ開発に充てられるものである。...
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8月17日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「中国、東南アジアのインフラ開発への投資急増」
アジア開発銀行(ADB)の試算では、東南アジア地域において、2030年までに26兆ドル(約2,860兆円)の資金が必要となるという。これは、同地域における経済成長、貧困撲滅、更には気候変動対策のために必要な、輸送ネットワーク構築から水の浄化までの多くのインフラ開発に充てられるものである。
ANZ銀行の分析によると、中国企業による同地域への投資が急増しているという。2015年現在では、ASEANへの海外投資のうち僅か6.8%にしか過ぎなかったが、直近では、主にインフラ開発への投資が増えている。ANZデータによると、2005~2017年前半の期間での中国企業の同地域への総投資額のうち、エネルギー・輸送・不動産分野で78%を占めるという。
特にASEAN10ヵ国は、今後の経済成長率が6%と高い。世界経済フォーラムの予想では、現在総人口6億2,000万人、総経済規模2兆6,000億ドル(約286兆円)のASEANは、2020年までに世界で5番目の経済圏になるという。
そして、中国政府が掲げる“一帯一路”政策と相俟って、中国企業による同地域への海外投資が更に活発化しているものと考えられる。
同日付シンガポール『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙(『ロイター通信』配信):「中国企業、当局取り締り強化の中、“一帯一路”政策に伴う買収促進」
中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は2013年、新シルクロード開発と呼ばれる“一帯一路”政策を打ち出した。これによって、中国から海と陸を通じて、東南アジア・パキスタン・中央アジア、更には中東・欧州・アフリカまでも含めた一大経済圏を創り上げようというものである。
この政策の下、中国企業による海外投資が活発化しており、8月14日現在、“一帯一路”政策傘下の68ヵ国において、今年だけで既に合計330億ドル(450億シンガポールドル、約3兆6,300億円)の投資・買収が行われている。これは、昨年1年間の310億ドル(約3兆4,100億円)を遥かに凌ぐ。
但し、人民元安を食い止めたい当局は、資本流出を制限する方針を取っている。特に、2016年において、米映画スタジオや欧州サッカークラブの買収等で、史上最高の2,200億ドル(約24兆2,000億円)の資本流出が起こったことから、今年6月から更に制限を強化している。
しかし、習主席肝いりの“一帯一路”政策に関わる海外投資は例外のようで、今年既に109件が対象になっている。これは、2015年の134件、2016年の175件を上回るペースである。
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